【ボイトレノウハウ7】喉のケア (図解あり)


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ボイストレーニング・ボイトレ方法をまとめました


ブラッシュボイス代表取締役の青木秀敬です。

最近、夏なのにインフルエンザが流行っていますね…皆さん大丈夫ですか?
さて、今日はボーカリストの『喉をケアする方法』についてボイトレノウハウを書きます。

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ボイトレ簡単質問箱

ボイストレーニングをするに当たって、目的は大きく分けて2つあります。
1:歌が上手くなる為
2:喉を壊さない為
です。

で、今日はこの『2』の方を考えて行きたいと思います。
文章が長くなりますが、お付き合い宜しくお願いします。

冒頭でも書きましたが、風邪は喉の大敵です。
先日もメールを戴きましたが、「風邪ですが、明日はライブです!どうしたら上手く歌えますか?」とか。
風邪じゃなくても「普段の喉のケアの仕方はどうしたらいいんですか?」とか。
質問は様々ですが、喉のケアは風邪の時だけじゃなくても歌が好きな方は気にされるようですね。
私も例外ではありません。
そこでこのボイトレノウハウを書いてみる事にしました。

風邪の時に歌い込むと喉がガラガラになりますね。
お酒を飲んでもそうなる方はいると思います。
喉のケアをする事は喉のメカニズムを知る事から始めないといけません。

喉をケアすると言うと、一般的には声帯のケアを意味します。
声帯というのは軟骨(喉仏)の中に割り箸みたいに二本左右にあります。
この割り箸が発声する時に合わさるのです。
それで草笛みたいにぶるぶる振動して音が出るという仕組みです。

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 この声帯には色々な病気があります。
もっとも知られているのが声帯ポリープです。
この声帯ポリープについては…たぶん皆さんの多くは誤解されているんじゃないでしょうか。
ポリープというのは医学的には腫瘍の事です。
ですので、例えばボーカルが喉を壊した、だからポリープだと言うのは殆どの場合は間違い。
正確には声帯結節という病気です。
でもこれも病気というのはどうかと…。
どんなものかと言うとですね、声帯にタコが出来るんですよ。
筆ダコみたいなものです。
でもタコってボツボツしてるでしょ?
だからこのボツボツが声帯の発声時の噛み合わせを悪くしちゃう。
そうなったら草笛みたいに声帯が合わさって声が出ない…ガラガラになるわけです。
ちなみにガラガラになったからと言って、声帯結節だというのは早とちりなので耳鼻科でスコープを使って診てもらって下さい。

さて、この声帯結節にならない為にはどうしたら良いんでしょうか?
ここから本題です。

声帯結節というのは喉に負担をかける事によって出来る病気ですね。
直すのに数ヶ月かかる事もあります…出来ればそんな病気にはなりたくはないでしょう。
ではどうすればいいんだろうと。

以下はその対策です。

1:基本的に風邪をひかない事。
2:喉歌いしないで喉を開けて歌う事。
3:腹式呼吸を完全にマスターする事。
4:お酒を飲んで歌わない事。タバコの煙の中で歌わない事。

以上。

さて、順番に説明します。

1:基本的に風邪をひかない事。について
風邪はボーカリストはひいてはいけません。
風邪をひくと上咽頭から悪い時には気管支まで真赤に腫れ上がります。
そうなれば上手い歌など歌えるわけがありません。
風邪をひくとさらに無理やり声を出そうと身体が働くので本当に悪循環です。
喉も当然締まってしまいます。
これにより声帯結節を招く例は多々あります。
対策としてはうがいをちゃんとする事。
手を洗う事。
子供の頃からの基本です。
風邪をひかないで下さい。

2:喉歌いしないで喉を開けて歌う事。
喉を開けて歌う。
方法は『共鳴』のボイトレノウハウ
https://brushvoice.net/column/post_4
でも説明しています。
男性は喉仏を下げるとか。
女性は言葉を発する時の舌の位置を安定させるなど。
そういうアプローチで喉が開けます。
またそうする事で上咽頭での共鳴も可能になります。
喉を開けて共鳴させる…これらは声帯への負担を軽くする手法でもあるのです。
楽器的に歌ったり、発声する事で声帯への負担を大幅に減らす事が可能です。

3:腹式呼吸と共鳴を完全にマスターする事。
腹式呼吸は絶対に必要。
なぜなら胸から吐き出す胸式の発声だと上咽頭で共鳴出来ないからです。
あー共鳴できないって思って、更に力を思い切り使ってしまいます。
そうするとまた声帯に負担がかかってしまいます。
腹式呼吸と共鳴をマスターして下さい。

4:お酒を飲んで歌わない事。タバコの煙の中で歌わない事。
基本です。
お酒は喉を腫らかします。
血流が良くなり過ぎて声帯も充血します。
つまり風邪をひいた状態に似てきます。
もちろんこの状態で歌うのはNG…楽しいんですけど、ほどほどに。
タバコはまずいですね。
タバコの煙のまん延している中では歌わない方が良い。
これは勿論呼吸器系にも良くない。
また、声帯にアレルギーがある人もいます。
タバコの煙で粘膜が真赤になっちゃう人。
もしくは、慢性的な上咽頭炎をわずらってるボーカルもいます。
そういう人はタバコの近くに行かない事が良いでしょう。

以上の大きく分けて4点を考えて喉のケアに役立ててみて下さい。
ただ、ボイトレをしてるからと言って、風邪をひいてる時に喉を酷使し過ぎてしまえば技術があっても声帯結節にはなり易いです。
あくまでケアする方法なので万全ではありません。
でも、安定させた状態を保つには自分の喉を知る事が大事ですね。

ボイストレーニングは歌が上手くなる為だけのものじゃありません。
『喉のケア』についても重要。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

 

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コメント (1件)

  1. ここでいろいろ勉強させていただいてます。
    ありがとうございます!
    質問なのですが、、、
    やはり、タバコは、ボーカリストはすうべきではないですか?
    くだらない質問ですいません・・・。

  2. こんばんは。
    管理人でボイストレーナーの青木です。
    >AKIさん
    そうですね、出来れば吸わない方が良いです。
    人の吸ってる煙を吸うのも良くないですね、当然。
    タバコには人によってはアレルギー体質の人もいます。
    そういう人は臭いだけでも声帯(というか喉全体的に)が赤みを帯びてきます。
    そうすると結節など出来やすくなります。
    あと、呼吸器にも影響があります。
    肺活量は多いに越した事はありませんので、やはりタバコは良くありません。
    しかし、プロのボーカリストでも吸ってる人は沢山いらっしゃいますよ。
    強い弱いというのがあるみたいですね。

  3. アパッチ

    はじめまして
    アパッチと申します(男性です)
    以前に声をからしてから
    やたらめったら、呪怨のような声(エッジボイス?)
    がでるようになりました
    意識してできたらよいのですが
    勝手に出てきます
    低音なロングトーンの練習をしていても
    以前は普通に安定していたのですが
    最近は10秒越えたあたりから
    裏返ったように、呪怨になります。
    いちよう自分なりに調べると
    エッジボイスは声帯が閉じた状態の発音ということだったので
    「単純に複式呼吸ができていないだけなのか」
    (いちようロングブレスは50秒くらいはもちます)
    「声がかれたときのダメージがまだ残っているのか」
    「基本的に喉が開けていないのか」
    素人なりに考えましたが
    せめて喉を休めるべきか、練習すべきかだけでも
    可能ならば知りたいということで
    質問させていただきました
    後、歌とは関係ないことなのですが
    普通にしゃべっているときでも、時々呪怨になってしまいます
    家庭教師をバイトでやっているので
    しゃべらないわけにはいかないのですが
    長時間しゃべると、喉が痛くなってしまします
    とりあえず、水分補給と飴をなめながらやっていますが
    地声(しゃべり声)で喉を痛めるのは以前からありました
    この場合、
    高さなどは変えず、息の量などに注意するべきか
    地声の高さを修正し、地声自体を変えるべきか
    どちらがベターなのでしょうか?
    長々と申し訳ありませんでした
    後半の質問などについては、専門外でいらっしゃるかもしれません
    可能な限りでかまわないので
    アドバイスいただければありがたいです

  4. ブラッシュボイス講師

    >アパッチさん
    こんばんは。
    ブラッシュボイス代表の青木です。
    色々とお悩みのようですね…。
    エッジボイスというのは、一般的ではないですがしゃがれた声ですね。
    この場合、声帯に何らかの負荷がかかってしまって、荒れた状態になっている可能性が高いと思います。
    そうであれば、少し喉を休めるなどの対応をした方が良いかもしれません。
    でも、本当に不安であれば、耳鼻科などで一度診て頂いた方が良いと思います。
    「声帯が閉じた状態がエッジボイス」
    というのは間違っています(50%ぐらい間違い)。
    というのも、本来の声自体声帯が閉じないと出ないからです。
    エッジボイス(しゃがれた声)は声帯は閉じるんですが、それが閉じ辛い状態になった時に出来る声です。
    それが結節が出来ていたりとか、腫れていたりとか、で閉じ辛いわけですね。
    ですから、クリアーな声を出したいボーカリストはしゃがれたら休むというのが鉄則です。
    喋っている時に声が枯れてくる場合も同じ事が言えます。
    声帯が疲れてしまっている。
    また腫れてしまった。
    そういう状態です。
    また咽頭全体も腫れてしまうので、響きも悪くなりますね。
    実は喋る声と言うのは場合によっては歌っている時よりも喉に負荷が掛かる場合がございます。
    気をつけて下さいね。
    基本、喉を痛めない声質。
    一番ベターなのは、自分の本来の声で喋りも歌も発声するという事でしょうか。
    また息が少ない声というのもそうですね。
    これについては別コラムで説明をさせて頂いておりますので、ご確認宜しくお願いします。
    【ボイトレノウハウ13】作らない声は大事

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