こんにちは。ブラッシュボイスです。
「ボイトレに興味はあるけど、自宅で大きな声を出すのはちょっと……」「マンションだから近所迷惑が心配で練習できない」——そんな悩みをお持ちの方、実はとても多いんです。
レッスンでもこうしたご相談をよく頂きます。
安心して下さい。自宅でできるボイトレには、防音設備がなくても取り組めるメニューがたくさんあります。
声をほとんど出さずにできるトレーニングだけでも、歌の土台はしっかり作れるのです。
この記事では、防音なしでもOKな自宅ボイストレーニングの方法を、声を出さないものから小さな声で行うものまで段階的にご紹介していきます。
特別な道具は一切不要ですので、読みながらすぐに試して頂けますよ。
文章だけでお伝えするには限界もありますが、まずはご自身で試してみる道しるべになれば嬉しいです。
自宅ボイトレが効果的な理由|毎日の積み重ねが大切
歌は「身体の使い方」のトレーニング
歌が上手くなるには、筋力トレーニングやスポーツと同じように身体の使い方を繰り返し覚えさせることが欠かせません。
週に一度スタジオで練習するだけよりも、毎日10分でも自宅でコツコツ取り組む方が、圧倒的に上達が早いです。
呼吸に使う筋肉、唇や舌の柔軟性、姿勢の意識——これらはすべて、声を出さなくても鍛えることができます。
つまり、自宅でのボイトレは「声を出す以外の部分」を集中して磨ける貴重な時間なのです。
スタジオでは声を出す練習に集中し、自宅では身体の土台作りに集中する。この使い分けができると、上達のスピードがぐっと変わってきます。
防音がなくても練習できるメニューは多い
ボイトレというと「大きな声で発声練習をする」イメージが強いかもしれませんが、実はプロのトレーナーが推奨する基礎メニューの多くは、小さな声や息だけで行えるものです。
声量を上げることだけが練習ではありません。
むしろ、小さな声で正確にコントロールする練習の方が、歌の上達につながるケースも少なくないんですよ。
声を出せない環境だからこそ身につく技術もあるのです。「家ではボイトレができない」と諦めていた方にこそ、ぜひ最後まで読んで頂きたい内容をまとめました。
声を出さないボイトレ|呼吸トレーニング編
腹式呼吸の練習
自宅ボイトレの基本中の基本が腹式呼吸です。
声を一切出す必要がないのに、歌の安定感に直結する最重要メニューと言っても過言ではありません。
やり方はシンプルです。仰向けに寝転がるか、椅子に座った状態で、お腹に手を当てて下さい。
鼻からゆっくり4秒かけて息を吸い、お腹がふくらむのを確認します。
次に口から8秒かけてゆっくり息を吐き、お腹がへこんでいくのを感じて下さい。これを5~10回くり返すだけで立派なトレーニングになります。
最初はお腹の動きがよく分からない方もいらっしゃいますが、焦る必要はありません。
寝転がった状態だと自然に腹式呼吸になりやすいので、まずは寝た姿勢から始めてみるのがおすすめです。
慣れてきたら座った状態、立った状態へとステップアップしていきましょう。立った状態でも安定して腹式呼吸ができるようになると、歌っている最中のブレスが格段に楽になります。
腹式呼吸の詳しいやり方はこちらで解説しています。
腹式呼吸のやり方・練習方法について
ロングブレス(長く吐く練習)
腹式呼吸に慣れてきたら、次は息を長く安定して吐き続ける「ロングブレス」に挑戦してみましょう。
歌のフレーズを最後まで安定させるために欠かせない練習です。
「スーーーーー」と歯の隙間から細く息を吐きます。このとき声は出さなくて大丈夫です。
最初は15秒を目標に、慣れてきたら30秒、さらに45秒と伸ばしていきましょう。
息のスピードを一定に保つことがポイントで、最初に勢いよく出して最後に息切れする、というパターンは避けたいところです。
お腹に手を当てたまま行うと、横隔膜が少しずつ上がっていく感覚がつかめます。
この「息を支える」感覚は、歌うときのブレスコントロールにそのまま活きてきますよ。
ティッシュを顔の前に垂らして、揺れ方が一定になるように吐く練習もおすすめです。道具は身の回りのものだけで十分ですからね。
息の瞬発力を鍛えるスタッカートブレス
ロングブレスが「長く吐く」練習なら、スタッカートブレスは「短く鋭く吐く」練習です。
「シュッ!シュッ!シュッ!」と歯の隙間から短い息を連続で吐いてみて下さい。テンポはメトロノームの60~80BPMくらいが目安です。
このとき、お腹がポンポンと弾むように動くのを感じて頂けると思います。
この動きは横隔膜の瞬発的な運動で、力強い発声やリズム感のある歌い方の土台になります。
声は出さず息だけで行えるので、完全に無音のボイトレメニューです。最初は10回を1セットとして2~3セットから始めてみて下さい。慣れてきたらテンポを上げたり、1セットの回数を増やしたりしていきましょう。
小さな声でできるボイトレ|リップロール・ハミング編
リップロール(リップトリル)
リップロールは、唇を軽く閉じた状態で息を送り込み「ぶるるる~」と唇を振動させるエクササイズです。
自宅ボイトレの定番中の定番と言えるでしょう。
このエクササイズの素晴らしいところは、音量がとても小さいという点です。
隣の部屋にもほぼ聞こえないレベルなので、マンションやアパートにお住まいの方でも安心して取り組めます。
それでいて、呼気のコントロール・唇周辺の脱力・声帯のウォーミングアップと、歌に必要な要素を同時にトレーニングできる非常に優れた練習です。
最初は息だけで唇を振動させるところから始めて下さい。
うまく振動が続かない場合は、両手の人差し指で頬を軽く持ち上げるとやりやすくなります。それだけでリップロールが格段にやりやすくなる方が非常に多いです。
安定してきたら小さく声を乗せて、音程を上下させてみましょう。練習曲のメロディをリップロールでなぞるのも効果的です。
リップロールの詳しいやり方とコツはこちらをご覧下さい。
リップロールのやり方とコツについて
ハミング
口を閉じたまま「ん~~~」と音を出すハミングも、自宅向きのボイトレメニューです。
口を閉じているため音量はかなり小さく抑えられますし、鼻腔(びくう)に声を響かせる感覚をつかむのに最適です。
ハミングのポイントは、鼻の奥や顔の前面がビリビリと振動する感覚を探すことです。
唇や鼻先に軽く指を触れると、振動が伝わってくるのを確認できます。
この「共鳴」の感覚が身につくと、無理に声量を上げなくても響きのある声が出せるようになっていきます。よく「声が通らない」と悩まれる方がいらっしゃいますが、共鳴のコツをつかむだけで印象がガラッと変わることも多いんですよ。
まずは楽な音域で一つの音を伸ばすところから始めて、慣れてきたら好きな曲のメロディをハミングでなぞってみて下さい。
音程の練習にもなって一石二鳥です。夜遅い時間でも気兼ねなくできるメニューですので、ぜひ日々の習慣に加えてみて下さい。
ハミングの効果的な練習方法はこちらで詳しく解説しています。
ハミングの練習方法について
タングトリル(巻き舌)
リップロールが唇の振動なら、タングトリルは舌先を上顎に当てて「トゥルルルル…」と振動させるエクササイズです。
こちらも音量はとても小さいので、自宅ボイトレにぴったりです。
タングトリルは舌の柔軟性を高める効果があり、滑舌の改善や、高音域で舌が力んでしまう癖の矯正にも役立ちます。
リップロールと組み合わせて練習することで、口周り全体のコントロール力がぐんと向上しますよ。
最初はタングトリルが難しいという方も多いので、まずリップロールをマスターしてから挑戦するのがおすすめです。
タングトリルの詳しいやり方はこちらをどうぞ。
タングトリル(巻き舌)のやり方・コツについて
声を出さないボイトレ|身体づくり編
表情筋ストレッチ
歌うときに顔や口周りが固いと、口が十分に開かなかったり、発音がこもったりします。
声を出さなくても、表情筋のストレッチで顔の柔軟性を高めておくことは大いに意味があります。
おすすめは「あ・い・う・え・お」の口の形を、声を出さずに大げさに作る練習です。
「あ」で口を大きく縦に開き、「い」で横に引き、「う」で唇をぎゅっとすぼめる——それぞれの形を5秒ずつキープしてみて下さい。
3周もやると顔がぽかぽかしてくるのを感じるはずです。普段あまり使わない筋肉が動いている証拠ですね。
テレビを見ながらでもできますし、お風呂の中で行うと筋肉がほぐれやすくなるのでおすすめです。
表情筋が柔らかくなると、歌うときの口の開きが自然と大きくなり、声が前に飛びやすくなります。
舌のトレーニング
舌の動きは発声において非常に重要ですが、普段の生活では意識して動かす機会が少ない部位です。
舌を意識的に動かすトレーニングを行うと、滑舌がよくなり、高音域も出しやすくなります。
簡単にできるメニューとしては、口を閉じたまま舌先で歯茎の表面をぐるりとなぞる「舌回し」があります。
右回り・左回りそれぞれ10周ずつ行って下さい。
思った以上に舌の付け根がだるくなると思いますが、それは舌の筋肉がしっかり動いている証拠です。
もう一つ、舌を思いきり前に出してから上下左右に動かすストレッチも効果的です。
見た目はちょっと恥ずかしいかもしれませんが、自宅ならではの練習ですよね。
舌の可動域が広がると、母音や子音の発音がクリアになり、歌詞がはっきり聴こえるようになります。特に早口の曲やテンポの速いフレーズで歌詞がもつれてしまう方には、ぜひ試して頂きたいメニューです。
姿勢の確認と体幹トレーニング
意外と見落とされがちですが、姿勢は声の出しやすさに大きく影響します。
猫背の状態では胸郭が狭まり、十分に息を吸えません。
壁に後頭部・肩甲骨・お尻・かかとをつけて立ち、その姿勢を身体に覚えさせてみて下さい。
また、プランク(腕立て伏せの姿勢をキープする運動)を30秒~1分行うだけでも、歌に必要な体幹が鍛えられます。
体幹がしっかりすると、声を支える力が安定し、ロングトーンやビブラートの質が変わってきますよ。
身体全体で声を支えるという感覚は、ボイトレの上級者になっても基本として大切にされている考え方です。
自宅ボイトレの効果を高めるコツと注意点
毎日少しずつが最も効果的
自宅ボイトレで最も大切なのは継続することです。
週末にまとめて1時間やるよりも、毎日10~15分取り組む方が確実に上達します。身体が感覚を忘れないうちに次の練習ができるからです。
おすすめは、朝の身支度の合間やお風呂の時間など、日常のルーティンにボイトレを組み込んでしまう方法です。
「歯を磨いたらリップロール」「湯船に浸かったら腹式呼吸」のように決めてしまうと、自然と習慣になっていきます。
最初は2~3分からでも十分ですので、「毎日やる」ことだけを意識してみて下さい。
練習メニューの組み立て方
いくつかのメニューを紹介しましたが、「全部やらなければ」と思う必要はありません。
まずは腹式呼吸+リップロール(またはハミング)の2つから始めれば十分です。
慣れてきたら表情筋ストレッチやタングトリルを追加して、自分だけの練習メニューを作っていって下さい。
例えば「腹式呼吸2分→リップロール3分→ハミングで好きな曲1曲」のような流れを決めておくと、迷わず取り組めます。
飽きたらメニューを入れ替えるのもよいですね。楽しく続けることが何より大切です。
喉のケアと水分補給
小さな声での練習であっても、喉に違和感や痛みを感じたらすぐに中断して下さい。
声を出さないメニュー(呼吸・表情筋・体幹)に切り替えるか、その日は休むことも大事な判断です。無理を続けて声帯を傷めてしまっては本末転倒ですからね。
また、声帯は粘膜で覆われているため乾燥は大敵です。ボイトレの前後にはしっかり水分を取りましょう。
常温の水がベストです。冷たすぎる飲み物は喉周辺の筋肉を硬くしてしまうことがあるので、避けた方が無難です。
スマートフォンで録音して練習の成果を聴き返す習慣もつけると、自分では気づかなかった変化が見えてきますよ。
まとめ|自宅でもボイトレは十分にできる
この記事のポイント
- 自宅ボイトレは声を出さないメニューだけでも歌の土台を作れる
- 腹式呼吸・ロングブレス・スタッカートブレスは完全無音で行える
- リップロール・ハミング・タングトリルは音量が小さく近所迷惑になりにくい
- 表情筋ストレッチ・舌回し・姿勢改善も立派なボイトレ
- 毎日10~15分の継続が最も効果的
独学に限界を感じたら
自宅でのボイトレはとても有意義ですが、「自分のやり方が正しいか分からない」「練習しているのに上達を感じない」という壁にぶつかることもあるかと思います。
文字だけでお伝えできることにはどうしても限界があります。
実際に声を聴かせて頂いて、お一人おひとりの課題に合わせたアドバイスができるのがレッスンの強みです。
何かご質問がありましたらお気軽にご質問頂くだけでも構いません。ブラッシュボイスでは60分の無料体験レッスンも行っておりますので、ご興味がありましたらぜひ一度お越し下さい。
裏声の出し方についても自宅で練習できるポイントをまとめていますので、あわせて読んで頂けると練習の幅が広がります。
裏声・ファルセットの出し方・コツや練習方法まとめ

