こんにちは、ボイストレーナーの青木亮です。
今回は、ブラッシュボイスのウェブサイトに寄せられた、ボイストレーニングに関するご質問にお答えしていきます。
普段の会話では問題ないのに、「人前での発表や音読になると喉が苦しくなる」「声が震えてしまう」というお悩みを持つ方は意外と多いものです。
今回はその原因と、自分でできる改善のためのチェック方法について解説します。
YouTubeの方で動画でも回答をしていますので、お好きな方で確認してみて下さい。
いただいたご質問:発表や音読時の喉の苦しさについて
まずは、今回いただいたご質問をご紹介します。
ハンドルネーム:キラキラ初めて相談させていただきます。
私は普段の会話では感じないのですが、授業内で発表や音読をするとなると、話し始めて割とすぐに喉が痛くなってきてしまいます。
風邪を引いた時の喉の痛みとはまた違って、徐々に喉が締められていくような苦しい感覚で声も震えてきてしまいます。
緊張しているというのもあると思うのですが、家で練習している時でもこの感覚になってしまいます。
腹式呼吸を意識してはいるのですが、立っている状態で話すとお腹が膨らむ感覚がわからず、肺に空気がたくさん入っている感覚になりません。
この感じが嫌で発表も音読もすごく億劫で気が重いです。
長文になりましたが、よろしければご回答いただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
キラキラさん、ご質問ありがとうございます。
「喉が締め付けられる」「お腹が膨らむ感覚が分からない」という症状、とてもお辛いと思います。
このご質問に対して、私なりの分析と改善策を回答させていただきます。
なぜ喉が痛くなるのか?考えられる3つの原因
今回のケースにおいて、喉が苦しくなる原因はほぼ間違いなく以下の3点に集約されると考えられます。
1. 時間経過とともに「呼気(息)」の量が過剰になっている
スピーチや音読をしている際、時間が経過するにつれて無意識のうちに声のボリュームが大きくなったり、発声に使う息の量そのものが増加してしまっている可能性が高いです。
必要以上の息が声帯を通過することは、喉への大きな負担となり、痛みや枯れの原因になります。
2. 腹式呼吸が崩れ、胸式呼吸に移行している
最初は腹式呼吸を意識できていても、スピーチの時間が長くなればなるほど、そのフォームが崩れていきます。
特に「立っていると感覚が分からない」とのことですが、苦しくなってくると呼吸が浅くなり、喉や首周りに力の入りやすい「胸式呼吸」へとシフトしてしまっていることが想定されます。
これが喉の締め付け感を助長させています。
3. 「不特定多数」に向けた力の使いすぎ
1対1の会話と、大勢の前での発表では、力の使い方が全く異なります。
不特定多数の人に声を届けようとすると、どうしてもテンションが上がり、気持ちの面でも身体の面でも「力み」が生じます。
この「伝えるための過剰な力み」が、身体や喉への負担を大きく変えてしまっているのです。
自分の喉の状態を知る!2つの改善チェック法
原因が「力み」や「呼吸の乱れ」にあることが分かったところで、では具体的にどう改善していけば良いのでしょうか?
まずは、現状のご自身の喉の状態(力みの度合い)を把握することが重要です。そのための簡単なチェック方法を2つご提案します。
1. ハミングで「息漏れ」をチェックする
授業中や発表の最中にチェックするのは難しいと思いますので、喉が疲れてきたと感じた後や、授業が終わって一人になれたタイミングで行ってください。
【チェック方法】
口を閉じて「んー」とハミングをしてみましょう。
この時、普段の状態と比べて「息漏れ」がどれくらいあるかを確認してください。
おそらく、喉が苦しい時は、普段よりも息がたくさん漏れている(スースーする感じが強い)はずです。
息漏れが極端に増えている場合は、声帯がうまく閉じられておらず、過剰な力が入っている証拠です。
まずは「あ、今力んでいるな」と自覚することが、力を抜くための第一歩になります。
2. 「舌(ベロ)」の位置を確認する
意外と見落としがちなのが、舌の位置です。
発声において、舌は非常に重要な役割を持っています。
【チェック方法】
「あ・い・う・え・お」と発音する際、舌の先端(舌先)はどこにありますか?
理想的なのは、舌先が常に「下の歯の裏側」に軽く触れている状態です。
しかし、喉に力が入ってくると、舌が奥へ奥へと引っ込んでしまい(後退し)、舌先が下の歯から離れて浮いてしまう現象が起こります。
これが喉の空間を狭め、苦しさの原因になります。
発表中や練習中に、舌が後ろに下がっていないか、意識的にチェックしてみてください。
今後のトレーニング方針
息の量や舌の力み具合を確認できれば、おのずとやるべき改善策も見えてきます。
キラキラさんの場合、以下のトレーニングが有効です。
- 腹式呼吸の再確認: 立った状態でもお腹の動きを感じられるよう、基礎からやり直してみる。
- 共鳴の練習: 喉に負担をかけずに声を響かせる感覚を養う。
- ハミングでのロングトーン: 一定の息の量で、力まずに声を出し続ける練習。
やれることは沢山ありますが、まずは「余計な力を抜くトレーニング」を集中的に行っていくことで、発表や音読時の苦しさは必ず改善されていくと思います。
まずはご自身の身体の状態に目を向けることから始めてみてください。応援しています。








