いつもボイストレーニング、お疲れ様です。
「新しい曲をなかなか覚えられない」「曲を覚えるのが早い人と自分は何が違うんだろう」——こうした悩みは、ボイトレに通う生徒さんからとても多く寄せられるご質問のひとつです。
若い方は「そんな苦労はない」と感じるかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて最新のトレンド曲になじめなくなってくるケースも少なくありません。
結論から言うと、楽曲を”手っ取り早く”覚える裏ワザのようなものは存在しません。
ただし、音楽に対する聴き方・感じ方を根本から見直すことで、曲を覚えるスピードは着実に上がります。
この記事では、曲を覚えるのが早い人に共通する特徴と、楽曲を効率よく覚えるための具体的な練習法を詳しく解説していきます。
曲を早く覚える方法についてのご質問
HN:Voru
質問タイトル:曲の覚え方
はじめまして。
ボイストレーニングに通っています。
新しい曲を覚える際、かなり時間がかかってしまいます。
曲の音程を早く正確に覚える方法と、新しく曲を覚える際にメロディ以外に意識して聴くべき音(リズムを覚えるためにドラムの音をよく聴く、など)がありましたら教えていただきたいです。
宜しくお願いします!
Voruさん、ご質問ありがとうございます。
曲を早く覚えたいというお気持ちはよくわかります。しかし、もし簡単な方法があるなら誰も苦労しませんし、音程やリズムを鍛える必要もなくなってしまいますよね。
まず大切な前提をお伝えしたうえで、具体的な練習の進め方をご案内していきます。
曲を覚えるのが早い人に共通する特徴
曲を覚えるのが早い人を観察していると、ある共通点が見えてきます。それは「音楽の3大要素」を自然に聴き取れているということです。
音楽は「メロディー」「リズム」「ハーモニー」という3大要素から成り立っています。
これは古くから現代に至るまでプロの音楽家が脈々と受け継いできた音楽理論の根幹であり、この3大要素なくして音楽を理解することはできません。
曲を覚えるのが早い人は、この3つの要素をバランスよく感じ取りながら音楽を聴いています。具体的に見ていきましょう。
- メロディー……ボーカルの音階(ピッチ)の上下の流れを正確に汲み取る力。音程の動きを”線”として捉えられる人は、メロディーの記憶が早くなります。
- リズム……ボーカルだけでなく、ドラムやベースを含む音源全体のリズムのフィーリングを把握する力。曲のノリやグルーヴを体で感じている人は、歌い出しのタイミングや休符の位置を自然に覚えられます。
- ハーモニー……楽曲のコード感(和音の流れ)を汲み取りながら、音楽全体の響きを感じる力。コード進行の展開を感覚的につかめる人は、次にどんなメロディーが来るかを予測できるため、記憶のスピードが格段に上がります。
この3大要素が子供の頃から自然に備わっているタイプの方は、楽曲を記憶する能力も高い傾向にあります。
逆に、これまであまり意識してこなかった方は、覚えるのに時間がかかりやすいと言えます。
しかし安心してください。音楽の聴き方は後天的に鍛えることが十分に可能です。
曲を覚える力と作曲の力は近い関係にある
意外に思われるかもしれませんが、楽曲を覚える能力は作曲する能力と非常に近いものがあります。
作曲において一番大切な能力は、優れたメロディーを思いつくことではなく、頭に浮かんだ音を録音するまで・譜面に書き起こすまで記憶し続けられることです。
どれほど素晴らしいメロディーが浮かんでも、帰宅するまでに忘れてしまっては何の意味もありません。
つまり楽曲を覚える能力も、作曲における「音の記憶力」と本質的に同じなのです。
そしてこの「音楽の記憶力」を支えているのが、先ほどお伝えしたメロディー・リズム・ハーモニーの3大要素です。
3つの要素を意識的に鍛えていくことが、曲を早く覚えるための最も確実なアプローチになります。
楽曲を効率よく覚えるための具体的な練習法
ここからは、3大要素を踏まえた実践的な練習法をご紹介します。
1. メロディーを”分解”して聴く
まずは歌詞を見ずにメロディーだけに集中して繰り返し聴いてみてください。
ポイントはAメロBメロサビなどセクションごとに区切って、メロディーの”形”を覚えることです。
一曲を丸ごと覚えようとするのではなく、セクション単位で音程の上がり下がりをイメージしながら聴くと、記憶の定着が早まります。
鼻歌で再現できるようになったら、そのセクションのメロディーは身についたと考えてよいでしょう。
また、録音して自分の歌を客観的に聴く練習も非常に効果的です。自分の歌と原曲を聴き比べることで、音程のズレに気づきやすくなります。
2. リズムを体で覚える
Voruさんがおっしゃるように、ドラムの音に注目するのはとても良い着眼点です。
加えて、手拍子や足踏みでリズムを取りながら聴く習慣をつけると、体がリズムパターンを記憶してくれます。
特にキックドラム(バスドラム)とスネアのパターンは曲の骨格を形作る部分なので、ここを体で感じられるようになると、歌の入りやブレスのタイミングが自然と掴めるようになります。
リズム感に不安がある方は、リズムトレーニングの基礎から取り組んでみることをおすすめします。基礎が固まると、新しい曲に出会ったときの対応力が大きく変わってきます。
3. ハーモニー(コード感)を意識して聴く
コード理論を本格的に学ぶ必要はありませんが、曲の中で「明るい響き」「暗い響き」「盛り上がる瞬間」「落ち着く瞬間」がどこで切り替わるかを意識して聴くだけでも効果があります。
コード進行の流れを”なんとなく”でも感じられるようになると、「次にメロディーが上がりそうだな」「ここでサビに入るな」という予測ができるようになります。
この予測力が、楽曲全体の記憶スピードを大幅に引き上げてくれるのです。
4. 好きなアーティストの歌い方を真似てみる
曲を覚える近道のひとつに、好きなアーティストの歌い方を真似る練習があります。
ただ音程をなぞるだけでなく、声の出し方やニュアンス、ブレスの位置まで丸ごと真似してみることで、メロディーとリズムの両方が体に染み込みやすくなります。
「この部分はこう歌っているんだ」と細部に意識を向けるほど、曲全体の構造が頭に入ってくるのを実感できるはずです。
年齢を重ねて曲が覚えにくくなった場合
年齢を重ねるにつれて「若い人が聴くような曲がなかなか頭に入らない」と感じる方も多いです。
これは記憶力の衰えというよりも、音楽の聴き方が長年の習慣で凝り固まっていることが原因であるケースが少なくありません。
自分が慣れ親しんだジャンルの音楽は聴き取れるけれど、テンポ感やリズムパターンが異なるトレンド曲には耳がついていかない——そんな状態です。
この場合、メロディー・リズム・ハーモニーという3つの視点から自分の聴き方を一度リセットしてみてください。
「自分はメロディーばかり追っていてリズムを感じていなかったかもしれない」「コードの変化にあまり注意を払っていなかった」といった気付きが得られることがあります。
聴き方の癖に気付くだけで、それまで苦手だったジャンルの曲もフラットな感覚で聴けるようになり、覚えやすさが変わってきます。
まとめ:曲を覚えるのが早い人になるために
楽曲を手っ取り早く覚える魔法のような方法はありませんが、音楽の3大要素——メロディー・リズム・ハーモニー——を意識した聴き方を身につけていけば、覚えるスピードは着実に向上します。
大切なのは「ただ何度も聴く」のではなく、「どう聴くかを変える」こと。
聴き方が変われば、同じ回数聴いても記憶への定着度が大きく変わります。
一朝一夕にはいかない話ですが、正しいアプローチでじっくり取り組めば必ず能力のボトムアップは可能です。
そして、こうした音楽の聴き方を具体的に指導してくれるトレーナーに出会えるかどうかも、成長スピードに大きく関わってきます。
ブラッシュボイスでは、メロディーの聴き取り方やリズムの感じ方といった基礎的なところから丁寧にレッスンを行っています。
曲を覚えるのが苦手だという方も、ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンにお越しください。
以上になります。
また何かご不明な点があれば、ご質問ください。
お待ちしています。

