こんにちは。ブラッシュボイスです。
「ウィスパーボイスで歌ってみたいけど、男性でも出せるのかな?」「男性のウィスパーボイスはハスキーな声しかないの?もっと澄んだ感じの声で歌いたいんだけど…」――こうしたご質問を、レッスンやお問い合わせの中でよく頂きます。
結論から申し上げると、男性でもウィスパーボイスは十分に出せますし、澄んだニュアンスのウィスパーボイスも練習次第で身につけることができます。
この記事では、以前頂いたボイトレ受講者の方からのご質問を元に、男性のウィスパーボイスについて具体的な歌手の実例を挙げながら詳しく解説していきます。
ウィスパーボイスとハスキーボイスの違いや、男性が澄んだウィスパーで歌うための練習方法まで、順を追ってお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみて下さいね。
頂いたご質問:男性でもウィスパーボイスは出せるのか?
質問投稿者:まさきちさん
質問タイトル:『ウィスパーボイス』
以下質問内容:
質問です。
ウィスパーボイスについてなんですが、ぼくは「囁くような」歌い方だと思ってました。
カヒミ・カリィさんの様な歌手はウィスパーボイスなんだと思っています。
先日、ルルティアと言う歌手がウィスパーボイスの歌手だと聞き、聴いてみたんですが、驚きました。
今まで自分が考えていたウィスパーボイスというものとは、違うように感じられたんです。
彼女達の違いは何なのでしょうか?
またぼくは男性なんですが、今まで聴いた男性のウィスパーボイスの方々はハスキーな歌声でした。
ぼくはハスキーというよりは、もっと澄んだ感じのウィスパーボイスを出したいと考えています。
そのイメージに合致するのは、今まで聴いた中では女性のほうが多いのですが、男性では無理なのでしょうか?
長文申し訳ありません。
一応チェックは入れましたが、既出のでしたらすみません。
よろしくお願いします。
まさきちさん、ご質問ありがとうございます。
ウィスパーボイスに関する非常に良い着眼点ですね。順を追って回答させて頂きます。
そもそもウィスパーボイスとは?基本の定義を確認
まず、ウィスパーボイス=囁くような声という認識は正解です。
一般的に広く認知されている解釈としてもこの通りで、まさきちさんの理解はまったく間違っていません。
ウィスパーボイスとは、声帯をわずかに開いた状態で息を混ぜながら歌う歌唱方法のことです。
英語の「whisper(ささやく)」が語源で、息の成分が声に混じることで、柔らかく温かみのある質感が生まれます。
バラードや静かな楽曲で多用されることが多く、聴く人に親密で繊細な印象を与えるのが特徴です。
ただし、一口に「ウィスパーボイス」と言っても、実は歌手によってそのニュアンスはかなり異なります。
純粋に息だけを多く混ぜたウィスパーもあれば、歌い回しの中で部分的にウィスパー感を取り入れるスタイルもあり、その度合いやアプローチはさまざまです。
ここからは具体的な歌手を挙げながら、この違いを詳しく見ていきましょう。
ウィスパーボイスの出し方や練習方法については、ウィスパーボイスの出し方の記事で詳しくまとめていますので、併せて参考にしてみて下さい。
女性歌手のウィスパーボイス:純正型とアレンジ型の違い
まさきちさんが挙げて下さったカヒミ・カリィさんとルルティアさんは、同じ「ウィスパーボイス」と括られることがあっても、実はかなりタイプが異なります。
この違いを整理しておくと、ウィスパーボイスの理解がぐっと深まるはずです。
カヒミ・カリィ:純正ウィスパーボイスの代表格
カヒミ・カリィさんは、完全にウィスパーボイスの歌い手と言って良いでしょう。
楽曲全体を通して息の比率が非常に高い歌唱スタイルが特徴的で、「ウィスパーボイス」というイメージにもっとも近い存在です。
声帯を大きく開いた状態でたっぷりの息を混ぜて歌うため、囁くような親密感が一貫して保たれます。
いわば「純正ウィスパー」であり、まさきちさんが最初にイメージしていた「囁くような歌い方」はまさにこのスタイルに該当します。
ルルティア:歌い回しでウィスパー感を演出するタイプ
一方、ルルティアさんは純正なウィスパーとは少し違います。
歌い回しの中で語尾を息っぽくしたり、フレーズの一部でウィスパー的なニュアンスを取り入れたりする歌唱スタイルです。
全体的にウィスパー気味ではありますが、声にしっかりとした芯がある部分も多く、純正ウィスパーと通常の歌声を行き来するような歌い方と言えるでしょう。
まさきちさんが「イメージしていたウィスパーボイスとは違う」と感じたのは、とても正しい感覚です。
このように、ウィスパーボイスには「全体をウィスパーで歌う純正型」と「部分的にウィスパーのニュアンスを取り入れるアレンジ型」があるということをまず押さえておきましょう。
男性歌手のウィスパーボイス:実例で見る多様なスタイル
さて、ここからが本題です。
男性のウィスパーボイスについて、具体的な歌手を例に挙げて解説していきます。
EXILE ATSUSHI:ウィスパー寄りの歌唱スタイル
男性のウィスパーボイスとしてまず挙げたいのが、EXILEのATSUSHIさんです。
ATSUSHIさんの歌唱スタイルは、ミックスボイスという歌唱方法よりもウィスパーに近い要素が強いと言えます。
純正なウィスパーではありませんが、男性でウィスパーに近い歌い方をする最近の歌手の中では、まず挙げておきたい存在です。
特にバラード曲での表現には、息を繊細にコントロールした美しいウィスパー感が漂っています。
力強い声量を持ちながらも、必要に応じて息混じりの柔らかいトーンに切り替えられるのが、ATSUSHIさんの大きな魅力です。
男性がウィスパーボイスを目指すうえで、一つの良いお手本になるでしょう。
玉置浩二:純正ウィスパーを使いこなした男性歌手
もう一人、男性のウィスパーボイスとして外せないのが玉置浩二さんです。
中期の安全地帯の玉置浩二さんは、純正なウィスパーボイスで歌っていると言って良いでしょう。
声帯を適度に開いた状態で息を混ぜ、囁くような質感を見事にコントロールした歌唱です。
安全地帯の楽曲「ワインレッドの心」や「じれったい」などで聴けるあの独特の声は、まさにウィスパーボイスの美しさを堪能できる好例です。
ただし、現在の玉置さんの歌唱スタイルはウィスパーではありません。
時期によって歌唱スタイルが変化しているので、ウィスパーボイスのお手本として聴く場合は、安全地帯の中期の楽曲を参考にすることをおすすめします。
ウィスパーボイスとハスキーボイスの違い
まさきちさんが「今まで聴いた男性のウィスパーボイスの方々はハスキーな歌声だった」とおっしゃっていましたが、ここは重要なポイントです。
例えば、徳永英明さんのような歌手は、ウィスパーボイスというよりもハスキーボイスに分類するのが正しいでしょう。
ハスキーボイスとウィスパーボイスは似ているようで、実は本質的に異なります。
| 声のタイプ | 特徴 | 声帯の状態 |
|---|---|---|
| ウィスパーボイス | 息を意図的に混ぜた柔らかい声。息の量をコントロールして表現する歌唱方法 | 意図的にわずかに開いている |
| ハスキーボイス | かすれた質感のある声。声質そのものの特徴であることが多い | 構造的に完全に閉じきらない |
「息っぽい」という要素がウィスパーのポイントです。
息を意図的にコントロールして混ぜるのがウィスパーボイスであり、声帯の構造上かすれた声質になっているのがハスキーボイスです。
徳永英明さんの場合はハスキーな声質という特徴であり、ウィスパーボイスという歌唱方法とは区別して考える方が理解しやすいですね。
男性でも澄んだウィスパーボイスは出せるのか?
まさきちさんのもう一つの疑問、「ハスキーではなく、もっと澄んだ感じのウィスパーボイスを男性でも出せるのか?」というポイントについてお答えします。
結論としては、男性でも澄んだニュアンスのウィスパーボイスを身につけることは十分に可能です。
確かに女性歌手の方が澄んだウィスパーの例は多いですが、それは声帯の構造上の違いによるものであり、「男性には出せない」ということでは決してありません。
澄んだウィスパーボイスのポイントは以下の通りです。
- 声帯の閉じ具合を繊細にコントロールする:ガバッと開くのではなく、ほんのわずかだけ隙間を作るイメージ
- 息の量を必要最小限にする:大量の息を吐くと「ため息声」になってしまいます
- 喉まわりの脱力を徹底する:力みがあると声がこわばり、澄んだ質感が損なわれます
- 腹式呼吸で息を安定させる:お腹の支えがあることで、少ない息でも安定した声が出せます
特に3つ目と4つ目は非常に重要です。
腹式呼吸がしっかり身についていないと、息のコントロールが不安定になり、澄んだウィスパーの質感を維持するのが難しくなります。
また、脱力と発声の関係も大切なポイントですので、併せてチェックしてみて下さいね。
男性がウィスパーボイスを練習するときのコツ
ここからは、男性がウィスパーボイスを練習するときの具体的なコツをお伝えしていきます。
ステップを踏んで取り組むと、効率よく身につけていけますよ。
コツ1:まずは息だけの「ため息」から始める
声を出さずに「はぁー」と温かい息だけを吐いてみましょう。
冬に手を温めるときのようなイメージです。
このとき、喉や首、肩に力が入っていないことを丁寧に確認して下さい。
脱力ができていない状態では、ウィスパーの柔らかいニュアンスは出せません。
コツ2:息に少しずつ声を「乗せる」
息だけの状態から、ほんの少しだけ声を加えていきます。
「はぁー」→「はぁ〜(うっすら声入り)」というグラデーションをイメージして下さい。
このとき大切なのは、声を「出す」のではなく、息の上に声を「乗せる」という感覚です。
声を張ろうとする必要はまったくありません。
コツ3:声と息の比率を意識する
ウィスパーボイスの質を決めるのは声と息のバランスです。
澄んだウィスパーを目指すなら、「息6〜7:声3〜4」くらいの比率を目安に調整してみると良いでしょう。
息が多すぎるとただの「ささやき」になり、声が強すぎるとウィスパー感が失われます。
練習のポイントとして、口の前にティッシュをかざして歌ってみるのがおすすめです。
ティッシュが大きく揺れる場合は息が出すぎているサインですので、わずかに揺れる程度を目安にしてみて下さい。
コツ4:お手本となる歌手を聴き込む
練習と同じくらい大切なのが、お手本となる歌手の歌唱をしっかり聴き込むことです。
先に挙げた中期の玉置浩二さんやEXILE ATSUSHIさんのバラード曲を、「息の使い方」に注目して聴いてみましょう。
どのタイミングで息を多く混ぜているのか、どこで声の比率を上げているのか。
耳を「息の質感」に集中させて聴くと、ウィスパーボイスの表現の引き出しが増えていきます。
コツ5:腹式呼吸を土台にする
ウィスパーボイスは息の消費量が多い歌唱方法です。
そのため、腹式呼吸がしっかりできていないと、すぐに息が足りなくなったり、酸欠のようにクラクラしてしまうことがあります。
お腹の支えを使って息を安定供給できるようになると、少ない息の量でもウィスパーのニュアンスを維持できるようになります。
ウィスパーボイスの練習に取り組む前に、まず腹式呼吸が自然にできているかを確認しておくと良いでしょう。
ウィスパーボイスの注意点:喉を傷めないために
ウィスパーボイスは美しい歌唱方法ですが、練習の際にいくつか注意しておきたい点があります。
力みは大敵
ウィスパーボイスはリラックスした状態が大前提です。
「息を混ぜなきゃ」と意識しすぎると、かえって喉に力が入ってしまうことがあります。
脱力と発声の関係を理解して、まずは身体全体をリラックスさせる意識を持つことが大切です。
長時間の練習は避ける
ウィスパーボイスは声帯を完全に閉じ切らない状態で発声するため、通常の歌唱よりも声帯に負担がかかりやすい側面があります。
1回の練習は15〜20分程度にとどめ、喉に違和感を感じたらすぐに休憩するようにしましょう。
ウィスパー「だけ」にこだわりすぎない
ウィスパーボイスはあくまで歌唱表現の一つです。
一曲まるごとウィスパーで歌うスタイルもあれば、サビでは声量を上げてAメロだけウィスパーにするなど、他の歌唱方法と組み合わせて使うことで表現の幅がぐっと広がります。
ウィスパーボイスの出し方の記事でも、段階的な練習方法をご紹介していますので、参考にしてみて下さい。
まとめ:男性のウィスパーボイスは練習で身につく
最後に、今回の内容をまとめます。
- ウィスパーボイスは「囁くような声で歌う歌唱方法」であり、純正型とアレンジ型がある
- 男性でもウィスパーボイスは出せる。玉置浩二さん(中期)やEXILE ATSUSHIさんが好例
- ハスキーボイスとウィスパーボイスは別物。息を意図的に混ぜる歌唱方法がウィスパー
- 澄んだウィスパーは声帯の繊細なコントロールと脱力がカギ
- 腹式呼吸を土台にすると、息の安定感が増して練習効率が上がる
ウィスパーボイスは生まれ持った声質ではなく、練習で身につけていける歌唱方法です。
男性だからといって諦める必要はまったくありません。
今回ご紹介したポイントを意識しながら、焦らず少しずつ練習を積み重ねていって下さいね。
ブラッシュボイスでは、ウィスパーボイスをはじめとする歌唱方法のトレーニングを、受講者の方の声質や目標に合わせて個別にサポートしています。
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