玉置浩二さんの歌い方について‏

    皆様、こんにちは。
    ブラッシュボイスのボイストレーナー、青木亮です。

    「玉置浩二のように歌いたい」──ボイストレーニングに通う生徒さんから、そんな声をいただくことが少なくありません。
    玉置浩二氏は日本のポップス・ロック史において、まさに唯一無二の存在です。
    その歌い方は聴く人の心を根底から揺さぶる表現力に満ちており、多くのアーティストやボイストレーナーからも敬意を集めています。

    今回は、ボイストレーナーの視点から玉置浩二氏の歌い方を分析し、私たちが学べるポイントを整理してみたいと思います。
    もちろん、玉置浩二氏の歌はボイストレーニングの枠を超えた次元にありますが、その土台にある基礎的な要素を理解することは、歌を学ぶすべての方にとって大きなヒントになるはずです。

    目次

    玉置浩二の歌い方が「別格」と言われる理由

    最近の玉置浩二氏の歌い方は本当に凄いです。
    正直に言えば、15年ほど前まではここまでの衝撃は感じていませんでした。しかし近年のライブパフォーマンスを聴くと、明らかに別次元の域に到達しています。

    以前、何かの番組で「歌のワールドカップがあるなら僕が優勝」といった趣旨の発言をされていたそうですが、あの歌い方であれば優勝で異論はないでしょう。
    歌に優劣をつけるつもりは毛頭ありませんが、玉置浩二氏の歌は理屈をぶち抜いていると断言できます。

    ワールドクラスで見ても圧倒的な歌唱力を持つアーティストは存在しますが、「日本で今、最も凄い歌い手は誰か?」と問われたら、私は迷わず「玉置浩二さんです」と答えます。

    ボイストレーナーが分析する玉置浩二の歌い方の特徴

    そんな玉置浩二氏の歌い方を、あえて技術的な視点から解析してみましょう。
    以下は、彼がしっかりと歌っているパフォーマンスを対象にした分析です。

    1. 圧倒的なピッチの正確さ

    玉置浩二氏の歌い方で最初に注目すべきは、ピッチ(音程)の正確さです。
    ライブでも音程がブレることがほとんどなく、繊細なビブラートの中でも芯となる音程がしっかりと安定しています。

    ピッチの正確さは、歌の基本中の基本です。
    どれほど表現力があっても、音程がずれていては聴く人に違和感を与えてしまいます。玉置浩二氏はこの基本を完璧に押さえた上で、自由な表現を展開しているのです。

    ピッチを安定させるためには、腹式呼吸による安定した息の支えが欠かせません。
    呼吸のコントロールが土台にあってこそ、正確な音程を維持しながら歌うことができます。

    2. グルーヴ感あふれるリズム

    玉置浩二氏はリズム感も抜群です。
    バラードの繊細なタメから、サンバのような軽快なリズムまで自在に乗りこなします。

    リズムの良さは「歌が上手い人」に共通する要素ですが、玉置浩二氏の場合は体全体でリズムを感じていることが伝わってきます。
    頭で数えるのではなく、身体の奥底からリズムが湧き出ているような歌い方です。

    3. 唯一無二の声質と発声

    玉置浩二氏のあの声は、一度聴いたら忘れられません。
    温かみがありながらも芯のある声質、そしてどの音域でも変わらない声の響き。これは生まれ持った要素も大きいですが、長年の音楽活動で磨き上げられた発声の賜物でもあります。

    ボイストレーニングでは、まず脱力した状態で発声することの重要性をお伝えしています。
    余計な力みを取り除くことで、声帯が本来持っている響きを最大限に引き出すことができるのです。玉置浩二氏の歌声を聴くと、まさにその理想的な脱力と響きのバランスが実現されていることがわかります。

    4. 楽器演奏の素養が生む音楽的深み

    玉置浩二氏はギターが非常に上手いことでも知られています。
    ドラムも手数こそ少ないものの、的確なリズムワークを見せます。

    楽器が弾けるボーカリストは、ハーモニーやリズムの解像度が違います。
    バンド全体のサウンドの中で自分の声がどう響くかを直感的に理解しているため、バックバンドとの一体感が段違いなのです。

    5. 楽曲・歌詞の力

    玉置浩二氏はシンガーソングライターでもあります。
    自ら作る楽曲の完成度の高さ、歌詞に込められた想い──これらが歌い方と一体になることで、聴く人の心に深く刺さるパフォーマンスが生まれます。

    ここで挙げた特徴をまとめると、以下のようになります。

    ・ピッチが正確
    ・リズム感が抜群(サンバもイケる)
    ・ギターが非常に上手い
    ・ドラムも的確
    ・声質が唯一無二
    ・楽曲の完成度が高い
    ・歌詞に魂がこもっている
    ・バックバンドとの一体感が凄い

    挙げればキリがありません。
    今更ロングブレスがどうこう、リップトリルがどうこうと言えるレベルではないのです。ロングトーンの話も、ここでは議論の余地がありません。

    玉置浩二の歌い方はボイトレで再現できるのか

    結論から言えば、玉置浩二氏の歌い方をそのまま再現することは、ボイストレーニングだけでは不可能だと考えています。

    玉置浩二氏はボーカリストであると同時に、生粋の音楽家です。
    彼の歌い方のレベルは、ボイストレーニングの範疇では論じきれないものがあります。

    私自身、「日本人には本物のブラックソウルは歌えない」と長年思っていました。
    しかし、玉置浩二氏はそれを歌えてしまう。ハートから歌う歌、ハートを謳う表現力──それを「技術」と呼ぶのかどうか。
    私は、あれは技術ではないと思います。

    もしそれを技術と呼ぶのであれば、正直なところボイストレーナーの手には負えない領域です。
    最終的には、人間からほとばしる魂や命の旋律というものがあります。
    そこまで到達すると、ピッチもリズムも発声方法も関係なくなってしまいます。

    なぜか?
    それは人間そのものの表現力が要求されるからです。

    玉置浩二の歌い方から学べるボイトレのポイント

    とはいえ、玉置浩二氏の歌い方には、ボイストレーニングの観点から学べる基礎的なポイントが数多く含まれています。
    「真似できない」と諦めるのではなく、その土台にある要素を一つひとつ磨いていくことが大切です。

    呼吸のコントロール

    玉置浩二氏のロングトーンやフレーズのつなぎ方を聴くと、呼吸のコントロールが極めて高いレベルにあることがわかります。
    息の量を一定に保ちながら、必要な場面で瞬時に息を補給する──この呼吸の土台がなければ、あの自由な歌い方は不可能です。

    腹式呼吸のトレーニングは、すべての歌唱の基本です。
    横隔膜を使った安定した息の支えを身につけることで、音程の安定やフレーズの持続力が大きく向上します。

    脱力と自然な発声

    私がよく生徒さんに指導する「舌の位置による喉の開き方」についても触れておきましょう。
    実は、玉置浩二氏にはこの法則が当てはまらないことがあります。
    舌が上がった状態でも素晴らしい声が出てしまうのです。

    ただし、体調が悪い時にはその影響が出ることもあります。
    唯一そういった部分は改善して、末永く歌い続けていただきたいと心から思います。

    一般的なボイストレーニングにおいては、脱力した発声を身につけることが非常に重要です。
    喉や肩、顎などに余計な力が入っていると、声が硬くなり、表現の幅が狭まってしまいます。リラックスした状態で声を出す習慣をつけることが、豊かな声質への第一歩です。

    ビブラートの表現力

    玉置浩二氏のビブラートは、楽曲の感情に合わせて揺れ幅や速度が自在に変化します。
    機械的なビブラートではなく、フレーズの流れの中で自然に生まれるビブラートだからこそ、聴く人の心に響くのです。

    ビブラートは練習で必ず上達するテクニックです。
    まずは安定したロングトーンを出せるようになった上で、少しずつ音程の揺れを加えていく練習が効果的です。焦らず、自然なビブラートを目指しましょう。

    「伝えたい」という気持ち

    玉置浩二氏がライブで歌う時、おそらくボイストレーニングのことなど一切考えていません。
    考えているのは「伝えたい」という想いだけだと思います。

    テクニックはあくまで手段であり、歌の本質は「何を伝えたいか」にあります。
    ボイストレーニングで基礎を固めた上で、自分自身の想いを歌に乗せること──これが歌を学ぶ上で最も大切なことではないでしょうか。

    だからこそ、玉置浩二氏の歌を私は本当に尊敬しています。

    玉置浩二の歌い方に近づくための練習ステップ

    玉置浩二氏のような歌い方を目指す方に、段階的な練習ステップをご提案します。

    ステップ1:呼吸の土台を作る

    まずは腹式呼吸を徹底的に身につけましょう。
    仰向けに寝た状態で呼吸の感覚をつかみ、立った状態でも同じ呼吸ができるように練習します。
    息を吐く時にお腹がゆっくりへこんでいく感覚を意識してください。

    ステップ2:脱力した発声を習得する

    喉に力を入れずに声を出す練習を重ねましょう。
    リップロールやハミングから始めて、徐々に母音を乗せていく方法が効果的です。
    脱力と発声のバランスが取れるようになると、声の響きが格段に変わります。

    ステップ3:ビブラートを磨く

    安定したロングトーンが出せるようになったら、ビブラートの練習に入りましょう。
    最初はゆっくりとした揺れから始め、少しずつ自然な速度に近づけていきます。
    玉置浩二氏のように感情に合わせたビブラートを使い分けられるようになることが目標です。

    ステップ4:楽曲を「自分の言葉」として歌う

    技術が身についてきたら、歌詞の意味を深く理解し、自分自身の感情として表現する練習をしましょう。
    玉置浩二氏の歌が心に響くのは、テクニックの先にある「伝えたい想い」があるからです。
    楽曲を単なる音符の羅列としてではなく、自分の言葉として歌うことを意識してみてください。

    まとめ:玉置浩二の歌い方から学べること

    玉置浩二氏の歌い方は、ボイストレーニングの範疇を超えた次元にあります。
    しかし、その土台には正確なピッチ、優れたリズム感、安定した呼吸、そして脱力した発声という、ボイトレの基礎が完璧に備わっていることを忘れてはなりません。

    「玉置浩二のように歌いたい」という目標を持つことは素晴らしいことです。
    まずは基礎をしっかりと固め、その上で自分だけの表現を追求していきましょう。

    ブラッシュボイスでは、一人ひとりの目標やレベルに合わせたボイストレーニングを行っています。
    玉置浩二氏のような豊かな歌声に近づきたい方は、ぜひボイトレ無料体験レッスンにお越しください。
    経験豊富なトレーナーが、あなたの声の可能性を一緒に引き出します。

    株式会社ブラッシュボイス
    ボイストレーナー/青木 亮

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