こんにちは。ブラッシュボイスです。
今回はビブラートの出し方について、仕組みから練習方法、きれいにかけるコツまで徹底的に解説していきます。
「ビブラートを出したいけど、どうしてもできない」「練習しているのに声が震えるだけで、きれいに揺れない」というお悩みは、ボイストレーニングの現場でも非常に多く頂きます。
実際、ビブラートは歌唱技術の中でも習得に時間がかかるテクニックの一つです。しかし、正しい方法で練習を積み重ねれば、どなたでも必ずかけられるようになります。
文章だけではどうしてもお伝えしきれない部分もございますが、ビブラートの仕組みやできない原因、効果的な練習方法をできる限り丁寧にご紹介していきますので、ぜひ最後まで参考にして頂ければと思います。
ビブラートとは?声が揺れる仕組みを理解しよう
ビブラートの基本的な仕組み
ビブラートとは、声の高さ(ピッチ)が一定の周期で規則的に上下する現象のことです。
一般的には1秒間に5~7回程度の揺れが、聴いていて心地よいビブラートとされています。
身体の仕組みとしては、横隔膜の細かい動きによって息の圧力が波のように変化し、それが声帯の振動に伝わることで声にゆらぎが生まれます。
イメージとしては、水面に石を落としたときに広がる波紋のように、お腹の奥から自然に波が生まれて声に乗っていく感覚です。ビブラートは「喉で揺らすもの」と思われがちですが、実際には身体の奥深くから生まれる動きなのですね。
ビブラートと「声の震え」の違い
ビブラートを練習し始めたばかりの方がよく悩まれるのが、「これはビブラートなのか、ただ声が震えているだけなのか分からない」というポイントです。
ビブラートは規則的で安定した揺れ、声の震えは不規則でコントロールできない揺れです。
声の震えは、緊張や力みによって喉や顎が不安定になっている状態で起こります。揺れの間隔がバラバラだったり、揺れ幅がどんどん大きくなってしまったりするのが特徴です。
一方、正しいビブラートは身体全体がリラックスした状態で、横隔膜を中心とした呼吸のコントロールによって生まれます。揺れの幅も速さも一定で、自分の意志で「かける・止める」を選べるのが大きな違いです。
ビブラートに関わる身体の部位
ビブラートをかける際に関わる身体の部位は、主に以下の3つです。
横隔膜(おなかの奥にある呼吸筋)、声帯、そして顎や喉まわりの筋肉です。
横隔膜は呼吸の圧力をつくる「エンジン」の役割、声帯はその圧力を受けて振動する「弦」の役割、そして顎や喉まわりの筋肉はそれらの動きを邪魔しないよう「リラックスしている」必要があります。これらが連動して初めて、美しいビブラートが生まれるのですね。
ビブラートができない原因を知ろう
腹式呼吸が安定していない
ビブラートができない最も多い原因は、腹式呼吸が安定していないことです。
ビブラートは息の圧力を細かくコントロールする技術ですから、そもそも呼吸の土台がぐらついていては揺れを生み出すことができません。
風船を膨らませるとき、息の量が安定していないと風船がうまく膨らまないのと同じです。呼吸の安定なくしてビブラートは成り立ちません。
胸式呼吸が中心になっている方は、息を吐くときにお腹が自然にへこんでいく感覚を確認してみて下さい。まだ腹式呼吸に自信がないという方は、まず腹式呼吸の基本をしっかり身につけることをおすすめします。
喉や顎に力が入りすぎている
喉や顎に無駄な力が入っていると、声帯まわりの筋肉が固まってしまい、自然な揺れが阻害されます。
特に高い声を出そうとするときに、無意識に顎を突き出したり、首に筋が浮き出るほど力んだりしていませんか。ビブラートにとって最大の敵は「力み」です。
力が入っている状態でビブラートをかけようとすると、声がガクガクと不安定に揺れてしまいます。喉まわりはできるだけリラックスした状態を保ち、お腹の支えだけで声を出す意識を持つことが大切です。
ロングトーンが安定していない
一つの音をまっすぐ長く伸ばす「ロングトーン」が安定していない場合も、ビブラートは難しくなります。
ロングトーンはいわばビブラートの土台です。
まっすぐ伸ばせない声に揺れを加えようとしても、ただ不安定に震えるだけになってしまいます。建物に例えるなら、基礎がしっかりしていない地面の上に家を建てようとしているようなものです。まずは5秒、10秒とロングトーンを安定させることから始めましょう。
ビブラートの種類と特徴
ビブラートと一口に言っても、そのかけ方や揺れ方にはいくつかのタイプがあります。自分が目指すビブラートのイメージを持つためにも、それぞれの特徴を知っておきましょう。
横隔膜を使ったビブラート
最も理想的とされるのが、横隔膜を使ったビブラートです。
おなかの奥にある横隔膜を細かく動かすことで、息の圧力に自然な波が生まれ、声にゆらぎが加わります。
このタイプのビブラートは音程が安定しやすく、聴いていて心地よい揺れになるのが特徴です。喉への負担も少ないため、長時間歌っても声が枯れにくいという利点もあります。プロの歌手の多くがこのビブラートを使っており、ボイストレーニングで目指すべきゴールもこの横隔膜ビブラートです。
横隔膜のビブラートを身につけるには、まず腹式呼吸がしっかりできていることが前提になります。おなかの奥の筋肉を意識的に動かせるようになることが、このビブラートへの第一歩です。
喉を使ったビブラート
喉の筋肉を使って声を揺らすタイプのビブラートもあります。
比較的手軽にできるため、「とりあえずビブラートっぽく聞こえる」という段階で使われることが多いです。
ただし、喉に負担がかかりやすく、長時間歌うと声が枯れる原因にもなります。また、揺れが浅くなりやすく、表現の幅に限界があるという面もあります。最終的には横隔膜を使ったビブラートを目指すことをおすすめします。
揺れ幅の違いによるタイプ
ビブラートには、大きくゆったりした揺れと、小刻みな揺れの2タイプがあります。
大きな揺れのビブラートは、バラードや演歌など感情をたっぷりと込める場面で効果的です。揺れの周期が長く、深い感情表現に向いています。
一方、小刻みなビブラートは、ポップスやロックのフレーズの中でさりげなく使えるため、応用の幅が広いのが魅力です。短い音符の語尾にもかけられるので、テンポの速い楽曲でも活用できます。自分が歌いたいジャンルに合わせて、両方のタイプを練習しておくとよいでしょう。
ビブラートの出し方|基本の練習方法
ここからは、実際にビブラートを出すための具体的な練習方法をステップごとにご紹介します。いきなりビブラートをかけようとするのではなく、段階を踏んで練習することが大切です。
まずはロングトーンを安定させる
ビブラートの練習に入る前に、まずロングトーンを安定させましょう。
自分の出しやすい音の高さで「あー」と声を出し、5秒以上まっすぐ安定して伸ばせるかどうかを確認して下さい。
このとき、音程がふらついたり、息が途中で足りなくなったりする場合は、まだ呼吸の支えが不十分です。腹式呼吸の練習に戻りましょう。
ロングトーンを出すときは、声を「前に押し出す」イメージではなく、「身体の中に響かせる」イメージを持つと安定しやすくなります。胸のあたりに手を当てて、振動を感じながら練習するのもおすすめです。
おなかに手を当てて揺れを感じる練習
ロングトーンが安定したら、いよいよビブラートの練習です。
おなかに手を当てながら「あーーー」と声を出し、息を「はっはっはっ」と細かく区切るように意識してみて下さい。
最初はぎこちなくて構いません。おなかの動きと声の揺れが連動する感覚をつかむことが大切です。
このとき、喉や顎で揺らそうとしないように注意しましょう。あくまでおなかの奥から波が生まれるイメージで行います。手でおなかの動きを確認できることで、正しく横隔膜が使えているかどうかの判断材料にもなります。
ハミングを使ったビブラート練習
ハミングはビブラートの練習にもとても効果的です。
口を閉じて「んーーー」とハミングしながら、おなかの動きで声を揺らしてみましょう。ハミングは口を閉じている分、喉に余計な力が入りにくく、横隔膜の動きに集中しやすいというメリットがあります。
また、ハミングでは声の響きが鼻腔に集まるため、ビブラートの揺れを頭の中で感じ取りやすくなります。ハミングでビブラートの感覚がつかめたら、口を開けて「あー」の発声に移行していきましょう。この段階でも、喉に力が入らないように注意して下さい。
ビブラートをきれいにかけるコツ
基本の練習方法を押さえたところで、次はビブラートをより美しく安定してかけるためのコツをご紹介します。練習の質を高めるためにも、ぜひ意識してみて下さい。
脱力を最優先にする
ビブラートをきれいにかけるためのコツとして、最も重要なのが全身の脱力です。
肩、首、顎、舌――これらの部位に力みがあると、声の揺れが不自然になります。
練習の前に深呼吸をして、身体の力を抜くことを習慣にして下さい。肩をぐるぐる回したり、顎をゆっくり開閉したりするストレッチも効果的です。
ビブラートは「力を入れて揺らす」のではなく、「力を抜いた結果、自然に揺れる」ものだと意識を変えることが上達への近道です。力んでいるときの声と脱力しているときの声では、響きも伸びもまったく違ってきます。
音程ではなく音圧(息の強さ)を意識する
ビブラートを練習するとき、「音程を上下させよう」と考えがちですが、意識すべきは音程ではなく音圧(息の圧力)の変化です。
息の圧力を細かく変化させることで、結果として音程が自然に揺れます。
音程を意識しすぎると声帯に余計な負担がかかり、不自然な揺れになってしまうことが多いのです。お腹の奥で息をポンプのように「押す・戻す」を細かく繰り返す感覚を持つと、自然な音圧の変化が生まれやすくなります。
リップトリルで感覚をつかむ
リップトリル(リップロール)も、ビブラートの感覚をつかむのに非常に有効な練習方法です。
唇を「プルルル」と振動させながら声を出すリップトリルでは、息の流れが安定していないとそもそも唇が振動し続けません。
そのため、リップトリルを継続できるようになるだけで、ビブラートに必要な呼吸のコントロール力が自然と身につきます。リップトリルをしながら音程を上下させる練習を取り入れると、さらに効果的です。
ビブラートの練習で注意すべきポイント
ビブラートの練習は、正しい方法で行えば確実に上達しますが、間違ったやり方を続けてしまうと逆効果になることもあります。以下の注意点を押さえておきましょう。
喉で無理に揺らさない
繰り返しになりますが、喉や顎を使って無理に声を揺らすことは避けて下さい。
一時的にビブラートのように聞こえたとしても、声帯への負担が大きく、長期的に見ると喉を痛める原因になります。喉に力を入れて無理やり揺らすクセがついてしまうと、後から矯正するのにも時間がかかります。ビブラートの練習は「おなかから」を常に意識しましょう。
焦らずゆっくりした揺れから始める
最初から速い揺れを目指す必要はありません。
まずは1秒に2~3回程度のゆっくりした揺れから始めて、安定してきたら徐々にテンポを上げていきましょう。
ゆっくりした揺れを正確にコントロールできることが、速いビブラートへの最短ルートです。
急いで速く揺らそうとすると、結局喉に頼った不安定な揺れになりがちです。料理の基本が「弱火で丁寧に」であるのと同じで、ビブラートも「ゆっくり丁寧に」が上達の鍵になります。
裏声でのビブラート練習も有効
裏声(ファルセット)でビブラートを練習するのも効果的な方法です。
裏声は地声に比べて喉の力みが少ないため、横隔膜の動きだけで声を揺らす感覚がつかみやすいという利点があります。
まず裏声で「ふーーー」と伸ばしながら、おなかの動きでゆっくり揺らしてみて下さい。地声よりも格段に揺れやすいことを実感できるはずです。裏声でビブラートがかけられるようになったら、その感覚を保ったまま地声に移行していくとスムーズです。
ビブラートを歌に活かすために
練習でビブラートの感覚がつかめてきたら、いよいよ実際の歌の中で使っていく段階です。ここでは、楽曲の中でビブラートを効果的に活用するためのポイントをお伝えします。
フレーズの語尾でかけることから始める
練習でビブラートがかけられるようになっても、実際の歌の中で使うのはまた別の難しさがあります。
まずはフレーズの語尾(ロングトーンの部分)でビブラートをかける練習から始めましょう。
歌い出しやフレーズの途中でいきなりかけようとすると、音程やリズムが崩れてしまうことがあります。語尾の伸ばし部分は比較的余裕があるため、ビブラートを入れやすいのです。
好きな曲の中から、語尾がしっかり伸びるフレーズを選んで、その部分だけビブラートをかける練習を繰り返しましょう。一曲の中で2~3カ所でも安定してかけられるようになれば、大きな進歩です。
ビブラートを「かけない」選択肢も大切にする
ビブラートが上手になると、つい全てのフレーズにかけたくなるものです。しかし、あえてビブラートをかけない「ノン・ビブラート」の表現も、歌の魅力を引き出す重要な技術です。
ストレートに伸ばす部分とビブラートをかける部分を意図的に使い分けることで、歌全体にメリハリが生まれます。
ビブラートを自在にコントロールできるようになるということは、「かける・かけない」を選べるようになるということでもあるのです。楽曲の雰囲気やフレーズの感情に合わせて使い分けられることが、歌唱表現の幅を広げます。
カラオケでのビブラート活用
カラオケの採点機能では、ビブラートは加点要素として評価されることが多いです。
ただし、不安定な揺れは減点になることもあるため、無理にかけるよりも安定した揺れを心がけましょう。
採点で高得点を狙う場合は、語尾のロングトーンで1~2秒程度の安定したビブラートをかけるのが効果的です。全てのフレーズでかける必要はなく、サビの終わりなどインパクトのある場面で確実にかけることを意識してみて下さい。
また、カラオケでビブラートの練習をする場合は、採点画面の波形表示を参考にしてみるのもよいでしょう。自分のビブラートがどの程度規則的に揺れているかを視覚的に確認することで、練習の方向性が見えてきます。
まとめ|ビブラートは正しい練習で必ず身につく
ビブラートは決して生まれ持った才能ではなく、正しい練習を積み重ねることで必ず身につく歌唱技術です。
今回の内容をまとめると、以下のポイントが重要です。
・腹式呼吸を安定させることがビブラートの土台になる
・喉ではなく横隔膜を使って声を揺らす意識を持つ
・脱力を最優先にし、ゆっくりした揺れから始める
・ハミングやリップトリルを補助的な練習として活用する
・実際の歌ではフレーズの語尾から取り入れていく
ビブラートの練習は時間がかかるものですが、ビブラートを練習すること自体が、腹式呼吸・脱力・声のコントロールといった歌唱の基礎力を高めることに直結しています。
焦らず丁寧に取り組んで頂ければと思います。
文章だけではお伝えしきれない細かなニュアンスや、お一人おひとりの声の状態に合わせたアドバイスは、やはり直接お伝えするのが一番です。
ビブラートの出し方でお悩みの方は、ぜひ一度ブラッシュボイスの無料体験レッスンにお越し下さい。
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