ロングブレス・ロングトーンの練習方法|何秒続けばOK?コツをプロが解説

    こんにちは。ブラッシュボイスです。

    「ロングブレスって何秒できれば合格ラインなの?」「ロングトーンをやっても声がブレて安定しない……」そんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

    ロングブレスとロングトーンは、ボイトレの基本中の基本でありながら、呼吸・発声・共鳴のバランスがすべて問われる奥の深いトレーニングです。正しいやり方とコツを押さえるだけで、声の安定感が一気に変わりますよ。

    文章だけですべてをお伝えするのには限界がありますが、できるだけ分かりやすくまとめましたので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

    目次

    ロングブレスとロングトーンの違いとは

    ロングブレスは「息だけ」のトレーニング

    ロングブレスとは、声を出さずにできるだけ長く安定した息を吐き続けるトレーニングです。「スーーー」と歯の隙間から細く一定の息を吐き続けるイメージですね。

    このとき大切なのは、息の太さや強さを一定に保つこと。最初はドッと勢いよく出て、途中からスカスカになってしまう方がとても多いのですが、それでは練習効果が半減してしまいます。風船をゆっくり均等に空気を抜いていくようなイメージを持つと分かりやすいかもしれません。

    ロングブレスは声帯に負担をかけずに呼吸のコントロール力だけを鍛えられるので、ボイトレの土台づくりとして非常に重要な位置づけです。腹式呼吸がしっかりできているかどうかの確認にもなりますので、練習の最初に取り入れるのがおすすめですよ。

    ロングトーンはロングブレスの応用

    一方、ロングトーンとは一つの音(声)をできるだけ長く安定して出し続けるトレーニングです。例えば「アーーーーー」と、一定の音程・音量で30秒、40秒と伸ばしていきます。

    つまり、ロングブレスの応用がロングトーンなんです。息を安定して吐けなければ、そこに声を乗せても安定するはずがありませんよね。ロングブレスがしっかりできてこそ、ロングトーンの精度も上がるという関係性です。

    ロングトーンはその名の通り「声を長く伸ばすだけ」のシンプルな練習に見えますが、実際にやってみると音程がフラフラしたり、声がかすれてきたり、息が足りなくなったりと、意外なほど難しいものです。だからこそ、身体の使い方や呼吸の質が正直に反映される、とても奥の深いトレーニングなのです。

    ロングトーンがロングブレスより短くなる理由

    実際に計ってみると、ロングトーンのタイムはロングブレスより必ず短くなります。これは自然なことですので心配しないで下さい。

    声を出すとき、声帯を振動させるためにエネルギーを使います。さらに、発声時に余計な力みが入ると必要以上に息を消費してしまうのです。勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、これは胸式呼吸になっているサインとも言えます。

    理想としては、ロングブレスの3分の2程度のタイムをロングトーンで出せれば上出来です。例えばロングブレスが30秒の方なら、ロングトーンで20秒出せれば息と声のバランスが良い状態と言えるでしょう。それ以下に大きく落ち込んでしまう場合は、発声時の力みや呼吸法に改善の余地があると考えて頂いて良いかと思います。

    ロングブレスは何秒続けばOK?目安のタイム

    レベル別の合格ライン

    「ロングブレスって結局、何秒できればいいの?」という疑問にお答えします。あくまでも目安ですが、以下のようにお考え下さい。

    【ロングブレスの目安タイム】
    ・初心者:15〜20秒
    ・中級者:25〜35秒
    ・上級者:40秒以上

    【ロングトーンの目安タイム】
    ・初心者:10〜15秒
    ・中級者:20〜25秒
    ・上級者:30秒以上

    初めてやる方は15秒もたなくても落ち込む必要はありません。正しい練習を続ければ数週間で大幅に伸びる方がほとんどです。大事なのは「今の自分の実力を知ること」ですので、まずは現時点のタイムを計測してみて下さい。

    ちなみに、体格や肺活量には個人差がありますので、他人と比較してもあまり意味はありません。昨日の自分よりも少しでも伸びていれば、それは確実に成長しているということです。

    秒数よりも「安定度」を意識する

    ただし、ここで一つ注意して頂きたいのが、秒数を伸ばすことだけが目的ではないということです。

    ロングブレスもロングトーンも、本来の目的は「安定して一定の息・声を維持するコントロール力」を身に付けること。息を限界までギリギリ絞り出すように吐いても、それは実際の歌には活かせません。

    タイムを計るときは、息や声が乱れ始めたポイントまでを「有効タイム」として計測するのがおすすめです。そのほうが自分の実力を正確に把握できますし、練習の方向性も見えやすくなりますよ。

    ロングブレスの効果的な練習方法

    まず腹式呼吸を確認する

    ロングブレスの練習に入る前に、まず腹式呼吸が正しくできているか確認しましょう。

    仰向けに寝転がって、お腹に手を置いて呼吸してみて下さい。息を吸ったときにお腹がふくらみ、吐いたときにへこむ感覚があればOKです。この「身体の中に空気が入って膨らむ」感覚を、立った状態でも再現できるようにしていきます。寝ている状態では自然とできるのに、立つと胸式呼吸に戻ってしまう方は非常に多いので、まずはここを丁寧に確認することが大切です。

    腹式呼吸ができていない状態でロングブレスを練習しても、なかなかタイムは伸びません。急がば回れ、まず土台からしっかり固めることが上達への近道です。

    「スー」で細く長く吐く練習

    腹式呼吸を確認できたら、実際にロングブレスの練習に入ります。

    ・背筋を伸ばして自然に立つ
    ・鼻からゆっくり4秒かけて息を吸う
    「スーーー」と歯の隙間から細く一定に息を吐き出す
    ・息の太さと強さが変わらないよう意識する

    ポイントは、最初から全力で吐かないこと。「まだ余力がある」くらいの息の細さを保つのがコツです。手のひらを口の前10cmくらいにかざして、当たる息の量が常に同じかどうかセルフチェックしてみて下さい。息が手のひらに「フォーーー」と一定に当たり続けていれば正解です。

    また、お腹の動きにも意識を向けて頂きたいのですが、息を吐くにつれてお腹が少しずつへこんでいく感覚があるはずです。このとき急激にお腹がペタンコになるのではなく、ゆっくりと均等にへこんでいくのが理想的な状態です。お腹の動きが安定しているということは、横隔膜のコントロールがうまくいっている証拠ですね。

    タイマーで計測・記録する

    練習するときは、必ずタイマーで計測して記録をつけることをおすすめします。スマホのストップウォッチ機能で充分です。

    数値で可視化すると成長が実感できますし、モチベーションにもつながります。1日5回程度、朝と夜に分けて取り組むのが理想です。毎日続ければ、1〜2週間で目に見えてタイムが伸びるはずですよ。

    ノートやスマホのメモ帳に「日付・タイム・気づいたこと」を簡単にメモしておくと、あとから振り返ったときに自分のクセや改善ポイントが見えてきます。地味な作業ですが、これをやるかやらないかで上達スピードがかなり変わります。

    ロングトーン練習のコツと注意点

    ハミングから始めるのが安全

    ロングトーンの練習を始めるとき、いきなり「アー」と口を開けて発声するより、まずハミングから始めるほうが効果的です。

    ハミングは口を閉じた状態で「ンーーー」と発声するので、余計な力みが入りにくく、息の使い過ぎを防げるのがメリットです。もしハミングのロングトーンで鼻から息がたくさん漏れてしまう場合は、力んでいるサインですので注意して下さい。鼻息が漏れているということは、ハミングとして成立しておらず、声が上咽頭にうまく共鳴していない状態だと考えられます。

    ハミングのロングトーンが安定してきたら、そのまま口を少しずつ開けていく練習に移行します。「ンーーー」から「ナーーー」へ、そして「アーーー」へとグラデーション的に移行していくイメージです。いきなり大きく口を開けるのではなく、段階を踏むことで力みが入るポイントを自分で感知しやすくなります。

    力まない発声がロングトーン上達のカギ

    ロングトーンがうまくいかない最大の原因は、喉や首まわりの力みです。力むと声帯に余分な負荷がかかり、息を大量に消費してしまいます。

    プロのボーカリストが「口元にろうそくの火をかざしても消えない」と言う話を聞いた事がありませんか?あれは、必要最小限の息で効率的に声帯を振動させているからこそできること。逆に言えば、力んで大量の息を使っている状態ではろうそくの火は一瞬で消えてしまうわけです。

    力みをチェックする方法として、リップロールでロングトーンをやってみるのもおすすめです。リップロールは脱力できていないと唇の振動が止まってしまうので、「今、自分は力んでいるかどうか」の客観的な指標になります。リップロールでスムーズに声が出せるなら、その感覚をそのまま通常のロングトーンにも持ち込んでみて下さい。

    音程を安定させるコツ

    ロングトーンはただ長く声を出すだけではなく、一定の音程を安定してキープすることも非常に重要なポイントです。

    チューナーアプリを使って、音程のブレ幅をチェックしてみましょう。最初は「ド」や「ソ」など自分が出しやすい音で練習し、慣れてきたら少しずつ音域を広げていくのがコツです。

    特に注意して頂きたいのが、声の出し始めと終わり際です。出し始めは音程が定まるまでに一瞬ブレることが多く、終わり際は息が少なくなって音程が下がりがちです。この「始まり」と「終わり」を丁寧にコントロールできるようになると、実際の歌でもフレーズの入りと語尾が格段に安定しますよ。高音域でのロングトーンは裏声(ファルセット)の安定にもつながります。

    段階的なロングトーン・トレーニングメニュー

    STEP1:ロングブレス基礎(1〜2週間)

    まずはロングブレスだけに集中する期間です。

    ・「スー」で20秒安定して吐けることを目標にする
    ・1日朝晩5回ずつ、計10回
    ・毎回タイムを記録する

    この段階では声を出す必要はありません。腹式呼吸と息のコントロールを身体に覚え込ませるのが目的です。2週間ほど続ければ、息を吐くときのお腹の使い方が自然と安定してくるはずです。焦って次のステップに進むよりも、この基礎を徹底したほうが結果的に上達が早くなります。

    STEP2:ハミング → 母音へ移行(3〜6週間目)

    ロングブレスで20秒以上安定したら、いよいよ声を出す段階に進みます。

    まずはハミングのロングトーンから始め、15秒安定させることを目標にして下さい。出しやすい音程で1日10回程度取り組みましょう。鼻息の漏れがないか、常にセルフチェックすることが大切です。

    ハミングが安定してきたら、母音でのロングトーンに挑戦します。「アー」「オー」で20秒安定を目指しましょう。チューナーで音程もモニタリングして下さい。

    母音によって口の開き具合が変わるため、「ア」は息が漏れやすく、「オ」「ウ」は比較的安定しやすい傾向があります。苦手な母音を見つけて重点的に練習すると、歌全体のクオリティ向上につながりますよ。ロングブレスのときと同じ呼吸のコントロール感覚をそのまま維持するのがコツです。声を出した途端に力んでしまう方は、「息の延長線上に声がある」とイメージしてみて下さい。

    STEP3:音域拡大と実践応用(7週間目〜)

    基本の音域でロングトーンが安定してきたら、少しずつ音域を広げていきます。

    低音から高音まで半音ずつ上げながらロングトーンを行う「スケール式ロングトーン」が効果的です。自分の声がブレ始める音域を把握することで、苦手なポイントを集中的に鍛えることができます。

    また、この段階では実際の楽曲のロングトーン部分を使った練習も取り入れてみましょう。サビの最後に長く伸ばすフレーズがある曲を選び、その部分だけを繰り返し練習するのです。基礎練習で身に付けた安定感を実際の歌に落とし込む大切な段階ですので、ここまで到達したらぜひ挑戦してみて下さい。

    ロングトーンを歌に活かすために

    息と声のバランスがオリジナリティをつくる

    ロングトーンの練習を通じて身に付くのは、息の量と声帯の振動のバランス感覚です。このバランスこそが、歌の安定感・表現力・持久力のすべてに直結しています。

    必要最小限の息で効率的に発声できるようになると、自分本来の声——つまり最も「自分らしい」声が出やすくなるとされています。力任せの発声ではどうしても画一的な声になりがちですが、脱力した状態で出る声にはその人ならではの個性が宿ります。オリジナリティのある歌声を目指す上でも、ロングトーンの基礎練習は欠かせないものなのです。

    毎日のウォームアップに取り入れる

    ロングブレスとロングトーンは、歌の練習前のウォームアップとして毎日取り入れるのが理想的です。

    ・歌う前に:ロングブレス3回 → ハミングロングトーン3回 → 母音ロングトーン3回
    ・所要時間:5〜10分程度

    たったこれだけのルーティンで、その日の発声がグッと安定します。プロのボーカリストでも本番前にこうしたウォームアップを行っている方は少なくありません。毎日コツコツ続けることで基礎力が着実に積み上がりますので、焦らず取り組んでみて下さい。

    まとめ

    ロングブレスとロングトーンについて、目安のタイムから練習方法・コツまで一通りお伝えしてきました。最後にポイントをおさらいします。

    ・ロングブレスは息だけのトレーニング、ロングトーンはその応用
    ・ロングブレスの目安は20〜35秒、ロングトーンはその3分の2程度
    タイムよりも「安定して一定を保てるか」が大切
    ・腹式呼吸 → ロングブレス → ハミング → 母音の順で段階的に練習する
    力まず、最小限の息で発声する意識がロングトーン上達のカギ

    今回の記事でお伝えした内容は基本的な部分ではありますが、正直なところ、文章だけでは伝えきれない「身体の感覚」の部分も多いです。自分一人では力みに気づけなかったり、正しくできているかどうか判断が難しいこともあるかと思います。

    もし「一度ちゃんとプロに見てもらいたい」とお思いでしたら、ブラッシュボイスの無料体験レッスンもございますので、お気軽にお申し込み下さい。あなたの声の状態に合わせた練習メニューを、トレーナーが一緒に組み立てます。

    株式会社ブラッシュボイス

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    目次