輪状甲状筋の鍛え方5選|裏声が出ない人でもできるトレーニング

    こんにちは。ブラッシュボイスです。

    「輪状甲状筋を鍛えれば高音が出る」と聞いたことはありませんか?
    ボイストレーニングに興味がある方なら一度は目にしたことがあるフレーズだと思います。でも、いざ鍛え方を調べてみると「裏声を出しましょう」としか書かれていなくて、そもそも裏声が出せない自分はどうすればいいの?と行き詰まってしまう方は本当に多いのです。

    安心して下さい。輪状甲状筋は裏声だけで鍛えるものではありません。この記事では、裏声が苦手な方でも取り組める段階的なトレーニングを中心に、輪状甲状筋の仕組みと鍛え方をできるだけ分かりやすくまとめました。

    文章だけで発声のすべてをお伝えするのには限界がありますが、「何から始めればいいか」の道筋が見えるような内容を心がけています。ぜひ最後まで読んでみて下さい。

    目次

    輪状甲状筋とは|高音を出すカギとなる筋肉の正体

    輪状甲状筋の位置と役割

    輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)とは、喉仏の中にある声帯の下部に位置する小さな筋肉です。英語では「Cricothyroid muscle(CT筋)」と呼ばれ、ボイストレーニングの世界では非常によく登場する用語です。

    この筋肉が収縮すると甲状軟骨が前方に傾き、声帯が引き伸ばされます。ちょうど輪ゴムをピンと張ると高い音が出るように、声帯が薄く引き伸ばされることで高い音が生まれる——これが輪状甲状筋の基本的な働きです。

    つまり、高音を出すためには声帯を適度に伸展させる必要があり、その伸展を担うのが輪状甲状筋ということになります。

    輪状甲状筋と裏声の関係

    裏声(ファルセット)を出しているとき、輪状甲状筋は大きく収縮しています。高い裏声を出す歌手が自然と顎を引いて歌っている姿をテレビなどで見たことはないでしょうか。あれは輪状甲状筋が甲状軟骨を傾けるときに、無意識に顎が引かれるためだと考えられています。

    このように裏声と輪状甲状筋は深い関係がありますが、だからといって「裏声を出さないと鍛えられない」わけではありません。地声の高音域でも輪状甲状筋はしっかり働いています。ここが大きなポイントです。

    輪状甲状筋だけでは高音は完成しない

    ここでひとつ大切な視点をお伝えします。輪状甲状筋だけを鍛えれば高音が出るというのは、実は半分だけ正解です。

    高音発声は輪状甲状筋だけでなく、声帯を閉鎖する閉鎖筋群、上咽頭での共鳴、腹式呼吸による腹圧のコントロールなど、複数の要素が組み合わさって成立します。体に例えるなら、輪状甲状筋は「エンジン」のひとつですが、ハンドルやタイヤ(呼吸・共鳴・脱力)がなければ車はまっすぐ走れませんよね。

    全体の体のバランスをうまく使って裏声や高音を出せるようにする、というのがプロフェッショナルな視点からのアドバイスです。この記事では輪状甲状筋にフォーカスしつつも、関連する要素についても触れていきます。

    裏声が出せなくても大丈夫!輪状甲状筋の鍛え方5選

    鍛え方1:地声の高音域をじわじわ伸ばす

    裏声が出せない方にまず試して頂きたいのが、地声で出せる範囲の高音を少しずつ伸ばしていくアプローチです。

    目安として、男性ならC5(高いド)、女性ならE5(高いミ)あたりまで地声で出せるようになれば、輪状甲状筋は十分に働いています。実際に、裏声が出ないシンガーがまず地声で高音にアプローチし、声がひっくり返る体験を通じて裏声の感覚をつかんだケースは非常に多いです。

    やり方はシンプルで、ピアノやキーボードアプリで半音ずつスケール練習を上げていくだけです。無理に張り上げず、喉に痛みが出ない範囲で止めることが最も重要です。

    鍛え方2:リップロール(リップトリル)で負荷を軽くする

    リップロールは唇を「ブルルル……」と振動させながら発声する練習法です。声帯への負担が大幅に軽減されるため、高音域のトレーニングに最適です。

    リップロールをしながら低い音から高い音へ滑らかにスライドさせてみて下さい。地声から裏声に切り替わるポイント(換声点)を越えやすくなり、輪状甲状筋がスムーズに働く感覚をつかめます。

    コツは、お腹の支えを意識しながら、唇の振動が途切れないようにすること。振動が止まるのは力みのサインですので、もう少しリラックスして再トライしましょう。

    鍛え方3:ハミングで共鳴と筋肉を同時に刺激する

    ハミングは口を閉じたまま「ンー」と声を出す練習です。鼻腔共鳴を使いながら輪状甲状筋を自然に活性化できるため、ウォーミングアップにもトレーニングにもおすすめです。

    最初は楽に出せる音程で始め、徐々に音を上げていきましょう。ハミングで高い音が出せるようになったら、そこから口を開けて「マー」や「ミー」に変えてみると、声としての高音域も伸びていきます。

    ハミングの利点は、力みに気づきやすいこと。口を閉じているぶん、喉だけで頑張ろうとする癖が出にくく、自然な発声を体で覚えることができます。

    鍛え方4:裏声の「入り口」をつかむエクササイズ

    「裏声が出せない」という方の多くは、実は裏声の出し方が分からないだけで、筋肉自体は動くという状態です。次のステップを試してみて下さい。

    まず、息だけの「フー」を出します。次にその「フー」にほんの少しだけ声を混ぜます。「フゥー……」と、息7割・声3割くらいの感覚です。そこからじわじわ声の割合を増やしていくと、ふわっとした裏声に近い声が出る瞬間があります。

    もうひとつの方法として、フクロウの鳴きまねで「ホー」と高い音を出してみるのも効果的です。遊び感覚で力を抜いて出すのがコツです。「きれいに出そう」と思うと力んでしまうので、最初は雑でまったく問題ありません。

    裏声の出し方をもっと詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせて参考にしてみて下さい。

    裏声・ファルセットの出し方・コツや練習方法まとめ

    鍛え方5:腹式呼吸で「土台」を固める

    輪状甲状筋を活かすには、安定した呼気(息の流れ)を送り続けることが必要不可欠です。その土台となるのが腹式呼吸です。

    声帯は息の圧力で振動しますから、息の量やスピードが不安定だと、輪状甲状筋がいくら働いても高音は安定しません。胸式呼吸の浅い息だと、特に高音域で息が足りなくなりやすいです。

    お腹に手を当てて、吸ったときにお腹が膨らみ、吐くときにゆっくりしぼんでいく感覚を確認しましょう。この呼吸で「スー」と息を細く長く吐く練習を日常的に行うだけでも、発声の安定感は大きく変わります。

    輪状甲状筋トレーニングの効果的な進め方

    練習の頻度と時間の目安

    輪状甲状筋のトレーニングは毎日10~15分程度、短く継続するのが最も効果的です。筋肉は急には育ちませんので、1日に長時間やるよりも、コツコツ積み重ねるほうが結果につながります。

    おすすめの順番は次のとおりです。

    • リップロールで3分ウォーミングアップ
    • ハミングで3分、低音から高音へスケール
    • 地声の高音域を5分、半音ずつチャレンジ
    • 裏声エクササイズを3分(出せる範囲で)

    この流れなら15分以内に収まりますし、喉への負担も最小限に抑えられます。

    やってはいけないNG練習

    輪状甲状筋を鍛えたい一心で、やってしまいがちなNG練習があります。

    まず、喉を締めて無理やり高音を出す「張り上げ」は絶対に避けて下さい。輪状甲状筋ではなく、喉周りの外喉頭筋が過剰に緊張するだけで、むしろ逆効果です。

    また、長時間ぶっ通しで高音練習を続けるのも危険です。声帯は非常にデリケートな組織ですので、違和感や痛みを感じたら即座に練習を中断することが大前提です。「痛みを我慢して出し続けたら慣れる」ということは絶対にありません。

    輪状甲状筋が鍛えられると何が変わる?

    高音域が楽に出せるようになる

    輪状甲状筋が適切に機能するようになると、今までキツかった高音が「力を入れなくても出る」感覚に変わります。声帯が効率よく伸展するようになるため、無駄な力みがなくなるのです。

    カラオケで言えば、原曲キーで歌えなかった曲が歌えるようになったり、サビで声が裏返っていたのが安定したりと、実感できる変化が出てきます。

    裏声がきれいに出せるようになる

    裏声がかすれる、弱々しい——こうした悩みも輪状甲状筋の強化で改善が期待できます。声帯をしっかり伸展させながらコントロールする力がつくことで、芯のあるファルセットや、響きのあるヘッドボイスに近づいていきます

    歌唱表現の幅が広がる

    地声と裏声の行き来がスムーズになると、ミックスボイスなどの歌唱方法にも応用できるようになります。高音域だけでなく、声のダイナミクス(強弱のコントロール)が格段に向上するのも大きなメリットです。

    ピアニッシモからフォルテまで自在に操れるようになると、歌の表現力はまるで別人のように変わります。

    輪状甲状筋トレーニングでよくある質問

    Q. 裏声がまったく出ないのですが、輪状甲状筋が弱いのでしょうか?

    必ずしもそうとは限りません。裏声が出ない原因は、輪状甲状筋の未発達だけでなく、喉の力み・呼吸の浅さ・声帯閉鎖のバランスなど複数の要因が考えられます。まずは上で紹介したリップロールやハミングなど、喉に負担の少ない方法から取り組んでみるのがおすすめです。

    Q. どれくらいの期間で効果を実感できますか?

    個人差がありますが、毎日10~15分のトレーニングを続けた場合、早い方で2~3週間、一般的には1~3か月で変化を感じ始める方が多いです。「昨日より半音高い音が楽に出た」という小さな変化の積み重ねが大切です。

    Q. 年齢を重ねてからでも鍛えられますか?

    もちろんです。輪状甲状筋は年齢に関係なくトレーニングで強化できます。ただし、若い頃より回復に時間がかかる場合がありますので、無理をせず休息を十分に取りながら進めることが重要です。焦らずコツコツ続けていきましょう。

    まとめ|輪状甲状筋を正しく鍛えて高音域を手に入れよう

    輪状甲状筋の鍛え方について、仕組みから具体的なトレーニング法、注意点までお伝えしてきました。最後にポイントを整理しておきます。

    • 輪状甲状筋は声帯を伸展させ、高音・裏声を生み出すカギとなる筋肉
    • 裏声が出せなくても、地声の高音域・リップロールハミングで鍛えられる
    • 輪状甲状筋「だけ」を鍛えるのではなく、呼吸や共鳴など全体のバランスが大切
    • 毎日10~15分、短く継続するのが最も効果的
    • 喉の痛みや違和感があったら即座に中断すること

    この記事でご紹介した内容はあくまで基本的な考え方とトレーニングの入り口です。実際の発声は一人ひとり体の使い方が異なりますので、文章だけでは伝えきれない細かなニュアンスは、やはり直接のレッスンでこそお伝えできる部分です。

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    株式会社ブラッシュボイス

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