こんにちは。
ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの鈴木智大です。
今回はスキマスイッチのボーカル・大橋卓弥さんの歌い方と歌声の特徴について、ボイストレーナーの視点から詳しく解説していきます。
大橋卓弥さんといえば、一度聴いたら忘れられない唯一無二の歌声の持ち主です。
「奏(かなで)」「全力少年」「ボクノート」など、数々の名曲を世に送り出してきたスキマスイッチですが、その楽曲の魅力を最大限に引き出しているのが大橋さんの歌声であることは間違いありません。
カラオケでスキマスイッチの曲に挑戦したことがある方は、その難しさを実感したことがあるのではないでしょうか。
この記事では、大橋卓弥さんの歌声がなぜこれほど人の心を掴むのか、そしてその歌唱から私たちが学べるポイントは何かを掘り下げていきます。
大橋卓弥さんの歌声が持つ圧倒的な個性
まず最初にお伝えしたいのは、大橋卓弥さんには他のアーティストにはない圧倒的な声の個性があるということです。
もちろん、人の声は一人ひとり異なりますから、十人いれば十通りの個性があります。
しかし「特徴的」であるかどうかという話になると、これはまた別の問題です。
大橋さんの声は、単語を一つ歌っただけでも「大橋卓弥の声だ」とすぐに分かるくらい、はっきりとした個性を持っています。
具体的には、大橋さんの声には以下のような特徴があります。
柔らかさと芯が同居する独特の声質
大橋卓弥さんの声質の最大の特徴は、柔らかく温かみのある声でありながら、しっかりとした芯があるという点です。
一般的に、柔らかい声を出そうとすると声の芯が弱くなりがちですが、大橋さんの場合はその両方を高いレベルで両立させています。
この声質は、声帯の閉鎖バランスが非常に優れていることを示しています。
息の量と声帯の閉じ具合が絶妙にコントロールされているからこそ、あの包み込むような温かさと、聴く人の心に届く芯のある声が生まれるのです。
ボイストレーニングの観点から言えば、このようなバランスの取れた発声は一朝一夕で身につくものではありません。
ただし、正しいトレーニングを積むことで、自分の声にも柔らかさと芯を両立させることは可能です。
高音域での表現力
大橋さんのもう一つの大きな特徴として、高音域でも声質の魅力が失われないという点が挙げられます。
多くの方がカラオケなどで高音に挑戦すると、声が細くなったり、力んで叫ぶような声になってしまいがちです。
しかし大橋さんは、高音域に入っても声の温かみや柔らかさを保ったまま、さらにそこに力強さを加えることができています。
これはファルセット(裏声)と地声の切り替え、そしてそれらを滑らかにつなぐ歌唱方法であるミックスボイスを高いレベルで使いこなしているからです。
大橋さんのミックスボイスは非常に自然で、地声から裏声への切り替わりポイントがほとんど分からないほどスムーズです。
ミックスボイスという歌唱方法は、現代のポップスを歌ううえで非常に重要な技術の一つです。
米津玄師さんのように高音域を多用するアーティストの楽曲を歌う際にも、このミックスボイスの習得が大きな鍵を握っています。
「奏(かなで)」に見る大橋卓弥さんの歌の難しさ
スキマスイッチと言えば、やはり代表曲の「奏(かなで)」を外すことはできません。
この楽曲は発売から何年も経っていますが、今なおカラオケで非常に高い人気を誇っています。
しかし、実はこの「奏(かなで)」は非常に難易度の高い楽曲です。
私もボイストレーナーとして多くの方がこの曲を歌うのを見てきましたが、上手に歌いこなせている方にはなかなか出会えません。
なぜ「奏」は難しいのか
「奏」が難しい理由はいくつかあります。
まず一つ目は、音域の広さです。
サビに向かって音域が徐々に上がっていく構成になっており、低音から高音まで幅広い音域をカバーする必要があります。
音域が広い楽曲では、低音部分と高音部分で発声のアプローチを変えなければならないため、技術的な難易度が高くなります。
二つ目は、大橋卓弥さんの声の個性が楽曲と強くリンクしていることです。
「奏」という曲は、大橋さんの声質に合わせて作られているといっても過言ではありません。
そのため、元歌を一度でも聴いたことがある人が他の人の声で聴くと、どうしても違和感が出てしまいやすいのです。
三つ目は、繊細な表現力が求められるという点です。
バラードという楽曲の特性上、ただ正しい音程で歌えばよいというものではありません。
感情の込め方、声の強弱、息の使い方など、細部にわたる表現のコントロールが必要になります。
「奏」を歌いこなすためのポイント
「奏」をより上手に歌うためには、以下のポイントを意識してみてください。
1. 無理に大橋さんの声を真似しない
大橋さんの声の個性は唯一無二のものです。
無理に真似をしようとすると、不自然な発声になってしまいます。
自分の声の特性を活かしながら、楽曲の世界観を表現することを意識しましょう。
2. Aメロの低音をおろそかにしない
「奏」はサビの高音部分に注目が集まりがちですが、実はAメロの低音部分がとても重要です。
ここで丁寧に歌い込むことで、サビへの盛り上がりがより効果的になります。
3. ブレスコントロールを意識する
バラードを美しく歌うには、息の使い方が非常に大切です。
フレーズの終わりまで息が持つように、腹式呼吸をしっかり行いましょう。
「全力少年」に見る大橋卓弥さんのパワフルな一面
大橋卓弥さんの歌声は柔らかいバラードのイメージが強いかもしれませんが、「全力少年」のようなアップテンポでパワフルな楽曲でも素晴らしい歌唱力を発揮しています。
「全力少年」では、声の張りや強弱のメリハリ、リズム感をしっかり作り上げ、さらに自身の声質の特徴を存分に活かした完成度の高い歌に仕上げています。
バラードとは異なるアプローチでありながら、大橋さんらしさが一貫して感じられるのは、基礎的な歌唱力がしっかりと備わっている証拠です。
パワフルな歌唱と声質の両立
パワフルに歌おうとすると、声を張り上げて叫ぶような歌い方になってしまう方が少なくありません。
しかし大橋さんの場合、力強い歌唱の中にも声質の柔らかさや温かみが失われないという点が特筆すべきポイントです。
これは声帯に過度な負担をかけずに声量を確保する技術が身についていることを示しています。
喉を締めて無理に声を出すのではなく、体全体を使った効率的な発声ができているからこそ、パワフルでありながら聴いていて心地よい歌声が実現できるのです。
大橋卓弥さんの歌唱テクニック分析
ここからは、大橋卓弥さんの歌唱に見られる具体的なテクニックについて分析していきます。
フレーズ処理の丁寧さ
大橋さんの歌の大きな魅力の一つが、フェイクやアタックなどのフレーズ処理を怠らず、一つひとつのフレーズを丁寧に歌い上げていることです。
フェイクとは、メロディを即興的に崩して歌う技法のことで、楽曲に感情的な深みを加える効果があります。
大橋さんのフェイクは決して大げさなものではなく、楽曲の世界観に寄り添った自然なもので、聴く人の感情を揺さぶります。
また、音の出だしである「アタック」の処理も非常に巧みです。
柔らかくスッと入る部分と、しっかりとアタックを効かせる部分を使い分けることで、歌にメリハリと表情が生まれています。
ビブラートの使い方
大橋さんのビブラートにも注目すべき特徴があります。
フレーズの語尾にかかる自然なビブラートが、楽曲全体に温かみと余韻を加えています。
ビブラートは音を揺らす技術ですが、大橋さんの場合は揺れ幅やスピードが非常にコントロールされており、バラードではゆったりと深いビブラート、アップテンポの曲では軽やかで速いビブラートと、楽曲に合わせて使い分けているのが分かります。
ビブラートは正しい練習方法を知ることで、多くの方が習得できる技術です。
興味のある方は、ビブラートの出し方・練習方法の記事もぜひ参考にしてみてください。
ダイナミクス(強弱表現)の巧みさ
大橋さんの歌唱で見逃せないのが、ダイナミクス(声の強弱)のコントロールが非常に優れている点です。
「奏」を例にとると、Aメロでは語りかけるように優しく歌い、Bメロで徐々に感情を高め、サビで一気に開放するという構成になっています。
この強弱の付け方が曲の展開と完璧にマッチしているため、聴く人は自然と楽曲の世界に引き込まれていくのです。
声の強弱をつけるというのは、単に声の大小を変えるということではありません。
息の量、声帯の閉鎖度合い、共鳴のバランスなど、複数の要素を同時にコントロールする必要があります。
大橋さんはこれらの要素を高いレベルで統合し、楽曲の感情表現に活かしているのです。
大橋卓弥さんの歌声から学べること
最後に、大橋卓弥さんの歌声や歌い方から、私たちが学べるポイントをまとめていきましょう。
自分の声の個性を活かすことの大切さ
大橋さんの最大の魅力は、自分自身の声質とテクニックを、楽曲とうまくリンクさせていることです。
これはご本人が意図的に行っているかどうかは分かりませんが、楽曲の魅力が彼のボーカルによって最大限に引き出されていることは確かです。
歌が上手くなりたいと思ったとき、好きなアーティストの歌い方を真似しようとする方は多いと思います。
もちろん、お手本として参考にすることは大切です。
しかし最終的には、自分の声の特性を理解し、それを活かす歌い方を見つけることが、歌の上達において非常に重要なポイントになります。
基礎力の重要性
大橋さんの歌を聴いていると、すべての技術が自然体で行われているように聞こえます。
しかし、その自然さの裏には、しっかりとした基礎的な歌唱力があるのです。
正しい呼吸法、適切な声帯のコントロール、共鳴の活用など、基礎をしっかり固めることで、初めてテクニックが自然に使えるようになります。
逆に言えば、基礎が不十分なまま応用テクニックに取り組んでも、なかなか思うような成果は得られません。
練習曲としてのスキマスイッチ
ぜひ、歌の練習をされている方はスキマスイッチの楽曲を課題曲にしてみてください。
大橋さんの歌唱には、音域の広さ、声の強弱、フレーズ処理、ビブラートなど、歌の上達に必要な要素がたくさん詰まっています。
最初は難しく感じるかもしれませんが、一つひとつの技術を意識しながら練習を重ねることで、確実にステップアップしていけるはずです。
歌いこなせるようになったとき、あなたの歌唱力はワンランクもツーランクもアップしていることでしょう。
スキマスイッチの歌い方を学ぶならボイトレがおすすめ
ブラッシュボイスでは、生徒さんお一人おひとりの声質や目標に合わせたレッスンを行っております。
スキマスイッチのような難易度の高い楽曲に挑戦したい方にも、段階を踏んで無理なく上達できるカリキュラムをご提案します。
生徒さんに合った楽曲選びや歌い方のアドバイスはもちろん、ミックスボイスなどの歌唱方法の習得、ビブラートやファルセットといったテクニックの強化まで、一歩でも上達できるように精一杯お手伝いさせていただきます。
興味のある方は、ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンにお越しくださいませ。
あなたの声の個性を活かした歌い方を、一緒に見つけていきましょう。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木 智大
