こんにちは。
ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの鈴木智大です。
今回はKREVAさんの歌い方・ラップ技術について、ボイトレの観点から徹底的に解説していきたいと思います。
KREVAさんといえば、KICK THE CAN CREWのメンバーとしてシーンに登場し、ソロでも数々のヒットを生み出してきた日本を代表するラップアーティストです。さまざまなアーティストとのコラボレーションや革新的な音楽的挑戦を続け、常にシーンの最前線に立ち続けています。
「ラップにボイトレは必要なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。実はラップこそ、発声の基礎がしっかりしているかどうかで表現力に大きな差が出るジャンルです。KREVAさんのパフォーマンスを分析すると、その理由がよくわかります。
それでは、KREVAさんの歌い方の特徴をボイトレの視点から詳しく見ていきましょう。
ラップのボイトレは歌のボイトレと基本は同じ
ボイストレーニングのレッスンの中で、私はよく「歌声=話し声」とお伝えしています。これは歌声を出すときも、普段話すときと同じ質感で発声したほうが自然で良い声になるという意味です。
ラップは「歌う」というよりも「発音」「発声」としての側面が強いため、歌のボイトレとは別のトレーニングが必要だと思われがちです。しかし、基本となる発声の土台はまったく同じなのです。
歌のボイトレで注意する主なポイントを挙げてみましょう。
・音程
・リズム
・声量
・アクセント
・表現
これらはすべて、ラップにおいても同様に重要です。ラッパーの中には、メロディーのある歌を歌わせるとまったく音程が取れないという方もいます。しかし、ラップの中でも音程の変化は非常に大切な要素です。フロウ(ラップの節回し)は音の高低があってこそ成り立つものですし、フックやサビでメロディアスに歌い上げる場面では、正確な音程コントロールが求められます。
リズムやアクセント、表現力にばかり意識が向きがちですが、通常の歌のボイトレをしっかり行うことがラップの上達にも直結するのです。
KREVAさんのラップはまさにその好例で、リズム・アクセント・表現はもちろんのこと、音の取り方や声の使い分けがとても洗練されています。だからこそ、多くの人を惹きつけ続けることができるのです。
ラッパーを目指す方には、メロディー中心の歌唱トレーニングとラップのトレーニング、双方のボイトレをバランス良く行うことを強くおすすめします。
KREVAさんの発声の特徴|整数次倍音を活かしたクリアな声
KREVAさんの声を聴いてまず印象的なのは、非常にクリアで通りの良い声質です。
専門的に言うと、KREVAさんの声には「整数次倍音」が豊富に含まれています。整数次倍音とは、基音(声の基本となる周波数)の整数倍にあたる倍音のことで、この成分が多い声は明るく澄んだ響きを持ちます。
整数次倍音が豊かな声にはカリスマ性があり、人々を惹きつける力があると言われています。KREVAさんの声がライブ会場でもひときわ映え、多くのリスナーの心に響くのは、この整数次倍音の豊かさが大きく関係しています。
この声質を支えているのが、しっかりとした腹式呼吸による安定した発声の土台です。ラップは長いフレーズを一息で歌いきる場面が多いため、呼吸のコントロールが非常に重要になります。KREVAさんの声がブレずに安定しているのは、呼吸の基礎がしっかりしている証拠です。
ボイトレでクリアな声を目指すためには、まず喉に余計な力を入れずにリラックスした状態で発声する練習が大切です。喉を締めた発声では整数次倍音が出にくくなり、声がこもったり潰れたりしてしまいます。
早いテンポの中でも丁寧さを失わない滑舌の技術
KREVAさんの楽曲を聴くと、言葉のひとつひとつがとても丁寧に発音されていることに気づきます。
テンポの速いラップでは、勢いに任せて言葉が流れてしまいがちです。しかしKREVAさんは、どれだけテンポが速くても一語一語をハキハキとクリアに発音しています。さらに、韻を踏む部分のアクセントがしっかりしているため、聴いている側にリリックの内容がストレートに伝わってきます。
この丁寧な発音を支えているのが、優れたタンギングの技術です。タンギングとは舌の動きを使った発音技術のことで、子音をはっきり発音するために欠かせないスキルです。KREVAさんのラップで子音がくっきり聞こえるのは、舌の動きが非常に正確でスピーディーだからです。
聴き取りやすく伝わりやすい日本語で、ストレートに歌い上げるスタイルは、ラッパーとしては実は珍しいと言えるかもしれません。海外のラッパーとは異なる、日本語の美しさを活かしたKREVAさん独自の魅力がそこにあります。
滑舌を良くするためのボイトレでは、早口言葉の練習だけでなく、母音と子音をそれぞれ意識して分離する練習が効果的です。特にラップでは子音の立ち上がりの速さが重要なので、舌や唇の筋肉を鍛えるトレーニングも取り入れると良いでしょう。
KREVAさんに学ぶリズム感の鍛え方
ラップにおいてリズム感は生命線とも言える要素ですが、KREVAさんのリズム感は群を抜いています。
ビートに対して正確に乗りながらも、微妙なタメやズラしで独自のグルーヴを生み出すのがKREVAさんのリズムの特徴です。機械的に拍に合わせるのではなく、ほんの少しだけ前や後ろにずらすことで、聴く人の体を自然に揺らすようなノリを作り出しています。
このようなリズム感を身につけるためには、リズムトレーニングが非常に有効です。メトロノームを使った基本的なリズム練習はもちろん、さまざまなビートパターンに合わせて声を出す練習を繰り返すことで、体にリズムが染み込んでいきます。
具体的な練習方法としては、以下のようなステップが効果的です。
・まずはメトロノームに合わせて手拍子を打つ(4拍子・8拍子・16拍子)
・拍の裏(オフビート)を意識して手拍子を打つ
・メトロノームに合わせて簡単なフレーズを声に出す
・好きなビートに合わせてフリースタイルで声を出す
KREVAさんの楽曲をよく聴いて、どのタイミングでどのように言葉を乗せているかを分析することも、リズム感を養う良い練習になります。耳で聴いて感覚をつかみ、実際に真似してみるという繰り返しが上達への近道です。
ラップにおける表現力とダイナミクス
KREVAさんの楽曲を聴いていると、同じ曲の中でも声の質感やボリュームが巧みに変化していることに気づきます。
たとえば、ヴァース(Aメロにあたる部分)では比較的落ち着いたトーンで語りかけるように歌い、サビやフックではエネルギーを一気に解放するような力強い声に切り替える。この声のダイナミクス(強弱の幅)が、楽曲に起伏とストーリー性を与えています。
ラップにおける表現力を高めるためには、以下のような点を意識してみましょう。
・声のボリュームを意識的にコントロールする
・ウィスパーのような小さな声から、力強いシャウトまで使い分ける
・感情に合わせて声のトーン(明るい・暗い・鋭い・柔らかい)を変える
・フレーズの中で重要な単語にアクセントを置く
声のダイナミクスをコントロールするためには、やはり発声の基礎が重要です。腹式呼吸で安定した息のコントロールができていれば、小さな声でも芯のある響きを保つことができますし、大きな声でも喉を傷めることなく力強く発声できます。
KREVAさんはこうした声の使い分けを自在に行っているからこそ、一本調子にならず、聴く人を飽きさせないパフォーマンスが可能になっているのです。
KREVAさんのように歌うためのボイトレのポイントまとめ
ここまでKREVAさんの歌い方の特徴を分析してきましたが、ラップを上達させたい方が取り組むべきボイトレのポイントをまとめてみましょう。
1. 歌のボイトレの基礎を大切にする
ラップだからといって特別なことをする必要はありません。音程・リズム・声量・アクセント・表現という歌の基本要素をしっかり練習することが、ラップの上達にも直結します。
2. クリアな発声を身につける
整数次倍音を豊かに含んだ、通りの良い声を目指しましょう。喉をリラックスさせ、腹式呼吸で安定した息のコントロールを身につけることが第一歩です。
3. 滑舌と発音の精度を高める
速いテンポの中でも一語一語を丁寧に発音できるよう、タンギングや滑舌のトレーニングを日常的に行いましょう。母音と子音を分けて意識する練習が効果的です。
4. リズム感を徹底的に鍛える
リズムトレーニングを継続的に行い、ビートに正確に乗る力と、グルーヴを生み出す感覚を養いましょう。メトロノームを使った練習は基本中の基本です。
5. 声のダイナミクスと表現力を磨く
一本調子にならないよう、声の強弱やトーンの変化を意識しましょう。さまざまな声色を使い分ける練習をすることで、表現の幅が格段に広がります。
ラップのボイトレならブラッシュボイスへ
ブラッシュボイスでは、ラップの発声やパフォーマンスについても細かく指導することが可能です。「ラップにボイトレは必要なの?」と思っている方こそ、一度プロのトレーナーによるレッスンを体験してみてください。
歌の基礎からラップ特有のテクニックまで、お一人おひとりのレベルや目標に合わせたレッスンをご提供しています。KREVAさんのようなクリアで表現力豊かなラップを目指したい方は、ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンにお越しください。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木 智大
