こんにちは。ブラッシュボイスです。
「歌になると急に声が鼻にかかる」「録音を聴くと自分の歌声がこもって聞こえてショック……」
こうしたお悩みは、ボイトレのレッスン現場でもとても多いご相談のひとつです。
安心して下さい。歌声が鼻にかかる原因は、発声の癖や共鳴バランスの偏りによるものがほとんどで、正しいトレーニングを続ければ改善が十分に期待できます。
この記事では、鼻声やこもり声が起こる仕組みから、自宅でもできる実践的な改善トレーニングまでを丁寧に解説していきます。
もちろん文章だけで発声のすべてをお伝えするのには限界がありますが、「自分の歌声がなぜ鼻にかかるのか」「まず何から取り組めばいいのか」が見える内容を心がけました。
ぜひ最後までお読み下さい。
歌声が鼻にかかる・こもるとはどういう状態か
声と共鳴の基本的な仕組み
まず歌声が鼻にかかる状態を正しく理解するところから始めましょう。
私たちの声は、肺から送り出された息が声帯を振動させ、その振動音が口腔(口の中の空間)や鼻腔(鼻の奥の空間)で共鳴することによって、豊かな響きになります。
イメージとしては、声帯は小さなブザーのようなもので、口や鼻の空間がスピーカーの役割を果たしていると考えると分かりやすいですね。
この「スピーカー」のうち、鼻腔側への息の流れ方が極端に偏っているのが、いわゆる「鼻にかかった声」の正体です。
反対に鼻腔が詰まっていても独特のこもり声になります。どちらのケースも、歌声としてはぼやけた印象を与えやすくなるわけです。
鼻腔共鳴は「悪者」ではない
ここで大切なポイントをひとつ。鼻腔共鳴そのものは歌にとって必要な要素です。
適度に鼻腔が響いてくれることで、声に温かみや艶が生まれます。プロの歌手の歌声が心地よく響くのも、口腔と鼻腔の共鳴がバランスよく混ざっているからです。
つまり「鼻声を改善する」とは、鼻の共鳴をゼロにすることではなく、口腔と鼻腔の共鳴バランスを整えることだと理解して頂ければと思います。
歌うと鼻にかかる声になる原因
軟口蓋のコントロール不足
口と鼻の通り道を仕切っているのが、口の奥の天井にある「軟口蓋(なんこうがい)」という柔らかい組織です。
軟口蓋がしっかり持ち上がると鼻への通り道が閉じ、下がると鼻に息が抜けます。
歌のときに鼻にかかってしまう方の多くは、軟口蓋を引き上げる筋力や意識が不足していることが原因です。
普段の会話では問題なくても、歌で高い音域を出そうとしたり口を大きく開けようとしたりすると、軟口蓋が下がりやすくなるケースがよくあります。
口の開け方が小さい・浅い
口の奥の空間(口腔)が狭いと、行き場を失った息が鼻腔に逃げやすくなります。
口を十分に開けているつもりでも、唇だけが開いて喉の奥が狭いままという方は非常に多いです。
レッスンでよくお伝えするのですが、大事なのは唇の開きよりも口の奥の「縦の空間」を確保することです。
あくびの手前くらいの感覚で喉の奥がふわっと広がる状態をイメージしてみて下さい。
舌の位置が奥まっている
舌が口の奥に引っ込んでしまうと、喉の空間を塞いで声がこもりやすくなります。
また舌の付け根(舌根)に力が入っていると、軟口蓋の動きまで妨げてしまうため、結果として鼻に息が抜けやすくなります。
鏡の前で「あー」と口を開けてみて、喉の奥が見えないようであれば舌が奥に落ちている可能性があります。
理想は舌先が下の前歯の裏側に軽く触れ、舌全体がなだらかに低い位置にある状態です。
鼻詰まりなど身体的な原因
風邪やアレルギー性鼻炎で鼻が詰まっているときは、鼻腔が物理的に塞がれるため声が独特にこもります。
季節の変わり目や乾燥した環境では粘膜の状態が変わりやすく、歌声が鼻声になりやすい時期でもあります。
慢性的な鼻づまりが続いている場合は、副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症といった医学的な原因が隠れている可能性もあります。
そのようなケースでは、まず耳鼻咽喉科を受診して頂くことを強くおすすめ致します。ボイストレーニングの領域を超えている場合がありますので、専門の先生に診て頂くことが大切です。
鼻声・こもり声のセルフチェック法
鼻つまみテスト
まず自分の歌声がどのような状態なのかをチェックしてみましょう。やり方はとても簡単です。
鼻をつまんだ状態で「アー」と発声してみて下さい。
鼻をつまむ前と後で声の印象が大きく変わる場合は、鼻に息が抜けすぎている(開鼻声)傾向があります。
逆にほとんど変わらない場合は、もともと鼻腔が詰まり気味(閉鼻声)の可能性があります。
母音別チェック
「あ」「い」「う」「え」「お」をひとつずつゆっくり発声して、特定の母音だけ鼻にかかる感じが強くなるかどうかを確認してみましょう。
たとえば「い」「え」の狭い母音で鼻声が目立つ場合は、口腔の開きが不足している可能性が高いです。
すべての母音でまんべんなく鼻にかかる場合は、軟口蓋のコントロールや舌のポジションに課題があるかもしれません。
録音で客観的に確認する
自分では気づきにくいこもりや鼻声は、スマートフォンの録音機能で簡単にチェックできます。
普段の話し声と歌声を録り比べると、「歌のときだけ鼻にかかっている」ことが分かることも多いです。
録音による客観的な振り返りは、ボイトレの効果を実感するためにもとても有効ですので、ぜひ習慣にしてみて下さい。
鼻にかかる歌声を改善する基本トレーニング
軟口蓋を持ち上げる練習
歌声の鼻がかりを改善するうえで、最も重要と言っても過言ではないのが軟口蓋を意識的にコントロールする練習です。
まず大きなあくびをしてみて下さい。あくびの瞬間、口の奥の天井がぐっと持ち上がる感覚がありますよね。
その「あくびの少し手前」の開き具合をキープしたまま「ホー」と声を出してみましょう。
このとき鼻への息の抜けが減り、声が口の方からまっすぐ前に出る感覚が得られれば、軟口蓋が上がっている証拠です。
慣れてきたら「ホー」を「ハー」「ヘー」「ヒー」と母音を変えながら繰り返します。
狭い母音でも軟口蓋を保てるようになると、歌のなかで鼻にかかりにくくなっていきます。
腹式呼吸で息の支えを作る
息の支えが弱いと、喉まわりの力だけで声を出そうとしてしまい、結果として喉が締まったり鼻に逃げたりしやすくなります。
安定した腹式呼吸による息の土台があってこそ、喉や軟口蓋は力を抜いて正しく動けるのです。
仰向けに寝た状態でお腹に手を当て、息を吸うとお腹が膨らみ、吐くとへこむ感覚を確認しましょう。
この腹式呼吸の感覚を立った姿勢でも再現できるように繰り返し練習してみて下さい。
腹式呼吸のやり方とコツ|歌に活かせる練習法
ハミングで共鳴のバランスを感じ取る
口を閉じて「ンー」とハミングし、鼻の付け根や頬骨のあたりにビリビリとした振動を感じられれば、共鳴がうまくいっている証拠です。
ハミングは鼻腔共鳴と口腔共鳴のバランスを体感しやすいトレーニングです。
振動を感じたら、口を「ンー→アー」とゆっくり開けていき、ハミングの響きを母音に乗せ替える練習をしてみましょう。
ハミングの効果と練習方法
さらに効果を高める応用トレーニング
リップロールで脱力した発声を覚える
唇を「ぶるるる~」と振動させるリップロールは、喉に余計な力が入りにくいため、鼻声の原因になりがちな力みを取り除くのに最適な練習です。
リップロールをしながら音程を上下させてみましょう。喉がリラックスした状態のまま音域を行き来できるようになると、歌のなかでも力みによる鼻がかりが起きにくくなります。
リップロール(リップトリル)のやり方と効果
母音トレーニングで口腔の空間を確保する
「あ」「い」「う」「え」「お」の五つの母音を、口の奥の空間を意識しながらひとつずつ丁寧に発声する練習です。
特に気をつけたいのは「い」と「え」。口の開きが浅くなりやすく、鼻に逃げやすい母音です。
鏡を見ながら口の奥がしっかり開いているかを確認し、すべての母音で均一な響きが出るように繰り返しましょう。
母音ごとの癖をチェックしてもらうには、ボイストレーナーのレッスンが非常に効果的です。
裏声(ファルセット)で脱力感覚を掴む
裏声を出しているとき、喉には地声ほどの力が入りません。
この脱力した状態こそが、喉が開いて鼻への偏りが少ないバランスのよい共鳴に近い感覚です。
「ホー」「フー」と裏声で発声し、喉がリラックスしている感覚を覚えたら、そのまま地声に切り替えてみて下さい。
裏声の楽さを地声に持ち込むことで、歌全体の鼻がかりが軽減されていきます。
裏声・ファルセットの出し方とコツ
歌のなかで鼻声を出さないための実践ポイント
歌い出しの瞬間を意識する
歌のフレーズが始まる直前に、軽くあくびの形を作ってから歌い始める癖をつけてみましょう。
歌い出しの一瞬で軟口蓋のポジションが決まるため、ここを意識するだけでフレーズ全体の鼻がかりが大きく変わります。
慣れないうちは「息を吸ったときに口の奥を広げる」と意識するだけでも十分です。
ブレスのたびに軟口蓋をリセットするイメージで練習してみて下さい。
高音域での力みに注意する
高い音になると喉や顎に力が入り、口腔の空間が狭くなって鼻に声が逃げやすくなります。
高音域こそ力を抜いて、喉の空間を広く保つ意識が鼻声改善のカギです。
「高い音を出す=力を入れる」というイメージを持っている方は多いですが、実際はその逆。
息の支えさえしっかりしていれば、喉は力まずに高い音を出すことができます。
高音域での脱力と力強い発声の関係もぜひ参考にして下さい。
日常的な鼻のケアも大切
歌声のコンディションは、鼻やのどの粘膜の状態にも左右されます。
適度な加湿、鼻うがい、十分な水分補給といった日常的なケアを心がけることも、鼻声を防ぐうえでは重要です。
乾燥した部屋で長時間歌の練習をすると粘膜が乾いて鼻詰まりを引き起こしやすくなります。
練習環境の湿度にも気を配ると、より良いコンディションで歌えるようになるでしょう。
まとめ|鼻声・こもり声は正しいトレーニングで改善できる
共鳴バランスを整えることがゴール
歌声が鼻にかかる・こもるという悩みの多くは、口腔と鼻腔の共鳴バランスの偏りから生まれています。
軟口蓋のコントロール、口の奥の空間確保、舌のポジション、そしてお腹からの声の出し方による息の支え。これらをひとつずつ改善していくことで、鼻がかりのないクリアな歌声に近づいていけます。
焦らず継続することが一番の近道
発声の癖は長い時間をかけて身についたものですから、すぐには変わりにくいこともあります。
でも正しい方向のトレーニングを焦らずコツコツ積み重ねれば、歌声は着実に変わっていきます。
録音で定期的に自分の声を振り返りながら、小さな変化を楽しんでみて下さい。
プロの指導で効率的に改善を
この記事でご紹介したトレーニングはどれも自宅で取り組めるものですが、やはり自分の声の状態を客観的にチェックしてもらえるプロの指導があると改善の効率は格段に上がります。
ブラッシュボイスでは、歌声のこもりや鼻にかかる状態を改善するために、まずその原因を丁寧にチェックし、お一人おひとりに合ったボイストレーニングをご提案しています。
ぜひ一度、ボイトレ無料体験レッスンにお越し下さい。
株式会社ブラッシュボイス
