大きな声を出す方法・声量アップの方法

    今日は女性の生徒さんから「大きな声を出したい、内向的な性格で声が小さいとよく言われる。大きな声で歌も歌いたい」というお悩みがあったのでお答えしたいと思います。

    普段から大きな声を出すことに慣れていないと、いざというときになかなか大きな声を出すことは難しいですよね。
    大きな声を出そうとしたとき、呼吸量が少なかったり息を多く吐きすぎていたりすると、なかなか大きな通る声は出せません。

    そこで、まず大事になってくるのが腹式呼吸です。
    大きな声を出す基本となる腹式呼吸についてお話しします。

    次に大事なのが共鳴です。
    がむしゃらに喉の力に頼って大きな声を出すのではなく、腹式呼吸の作用と共鳴というテクニックを用いて体への負担なく発声する方法を具体的にお伝えしていきます。

    目次

    腹式呼吸とは

    腹式呼吸は腹部のみが動く呼吸です。
    反対に、肩や胸部が動く全身呼吸を胸式呼吸と言います。
    スポーツなどをして息が上がっている際は胸式呼吸になる方がほとんどだと思います。
    大きな声を出す、大きな声で歌う際、なぜ胸式呼吸ではなく腹式呼吸が基本になるのかと言うと 、

    • 息を吸う際の0.5秒あたりの呼吸量が多い
    • お腹周りしか動かないため全身が安定しリズムがブレにくくなる
    • アタック(音の立ち上がり)のある声を促進する
    • 声を共鳴させることができる (※共鳴については後半で解説致します。)

    この4点が主な理由です。
    これはすべて、胸式呼吸では解決することができません。

    腹式呼吸で息を吐くとき・吸うとき

    腹式呼吸で息を吐くときは、下腹部(おへそから指3本分程度下)をへこませます。
    この下腹部のへこみと同時に、横腹の腹横筋は外側へ押し出されます。
    (腹横筋を押さえ咳払いをすると、腹横筋の動きがわかりやすいです。)

    そうすることにより、肺の真下にある横隔膜(腹部から背中まで広がる膜状の筋肉)が押し上がり肺が圧縮され、鋭いパンチのある空気が口から出ていきます。
    腹式呼吸で息を吸うときは、お腹の力を一気に緩めます。このとき、背中まで緩んだことを確認しましょう。
    お腹の形状が元に戻り、肺や横隔膜も元の位置に戻ります。
    あまりお腹を意識的に膨らませすぎると力みが生じ、腹式呼吸として成立しない為注意しましょう。

    腹式呼吸を行う際の人体の上半身は、スポイトと同じ原理です。
    スポイトのゴムの取っ手の部分を指の力で潰したときが、腹式呼吸で息を吐いた状態です。
    スポイトのゴムの取っ手の部分から指を離すと空気は自然に入ってきます。
    それが、腹式呼吸で息を吸う状態と同じということです。

    では実際に腹式呼吸を練習してみましょう。

    腹式呼吸の練習方法

    ①椅子に座って前にかがむ

    足は肩幅より少し広く開き、肘を両膝に付けます。
    この姿勢により、上半身も下半身も固定された状態になります。
    腹部以外は固定されるため、腹式呼吸で息を吸うコツを掴むことができます。

    ②背筋に手を当てて息を全部吐いてから、脱力するように息を吸う

    このとき、背中までふわっと膨らむのを確認しましょう。
    筋肉が緩み、横隔膜が元の場所に戻ったという状態です。

    立った状態での腹式呼吸が難しいという方は、まずはこの座って行う練習から初めてみましょう。
    練習していて腹式呼吸がわからなくなったら、先程述べたスポイトの原理を思い出してみてください。

    座った状態で腹式呼吸の感覚が掴めたら、今度は立った状態で腹式呼吸の練習をしてみましょう。

    立った状態での腹式呼吸の練習姿勢

    まずは、足を肩幅に開きます。
    足のつま先は左右対称になるようにしましょう。
    次に、全身の力を抜いてリラックスします。

    このときに、つむじは天井に向かって吊り上げられていくイメージで背中はしっかりと伸ばしてください。
    胸部も少し張った状態になりますが、余計な力が入ってしまわないようにしましょう。
    歌唱時は特に、力が入ってしまうとリズムやピッチ(音程)も落ち着かず安定しません。
    発声する際にアクションを起こしたりパフォーマンスをする場合も、力の抜き加減を知っておくことが大切です。
    そのため練習をする際は、力を抜いてリラックスした状態で行います。

    腹式呼吸を理解しマスターできたら、次は実際に発声してみましょう。

    腹式呼吸については過去にも別の記事にて説明させて頂いていますので、下記などもあわせてお読み下さい。

    発声練習・腹式呼吸の習得におすすめのトレーニング方法

    腹式呼吸とあわせて行うとよい上半身の脱力について

    【ボイトレノウハウ1】歌唱における腹式呼吸の必要性とは? (図解あり)

    声を共鳴させる

    芯のある大きい声を出すためには、声を共鳴させることが必要です。
    共鳴とは、部屋の中で発声する場合、部屋の四隅まで振動し、さらに自分の頭の中もすべてが共に鳴り振動している状態のことをいいます。
    共鳴をマスターすることにより、声帯にかかる負担を軽くし、芯のある大きな声を出すことができます。
    さらに、音程を感じとるスキルも向上します。

    共鳴が起きるメカニズム

    鼻の中は、何重ものヒダにわかれています。
    そのさらに奥へいくと、軟口蓋という柔らかい部分があります。飲食時に食物が鼻に入るのを防ぐ部分です。
    その一帯の空洞を、上咽頭といいます。
    この上咽頭に声を当てることによって共鳴が起こり、芯のある大きな声を作り出すことが出来ます。

    共鳴させる方法

    ①喉を開く

    喉を開くということは、簡単に言えば喉仏を下げることです。
    女性の場合は、喉仏が目視できないことが多いですよね。
    その為、喉が開いているか確認する最適な方法は、舌を目安にすることです。
    男性の場合も、喉仏を確認するよりも舌を目安に確認するほうが有効であると言えます。

    男女共通で、この方法が有効的です。

    喉が開いている舌の状態(母音A「あ」の場合)とは、

    • 舌の先端が下の歯の先端裏側にくっついている
    • 舌全体が下の歯よりも上に浮かない
    • 舌が滑らかに安定している (舌の真ん中がへこんだり盛り上がったりしていない)
    • 舌根から舌の先端にかけて滑り台のように滑らかに舌が下がっている
    • 歯と歯の間隔は小指一本分程度開ける

    以上5点を守ることにより、喉全体に空洞がしっかりとできます。
    上咽頭に声が当たる基本準備が整ったということです。
    このとき口は脱力し、あんぐり開いた自然な状態です。
    唇は少し横に開けます。
    この状態は大砲の筒のような状態であるため、声は真っ直ぐに突き抜けます。
    鏡で見て、舌の位置や状態を確認しながら行ってみてください。
    舌や顎に力を入れてしまわないように注意しましょう。

    ②息を減らす

    声に対して、息は多すぎても少なすぎても共鳴は成立しません。
    腹式呼吸をしっかりと理解した上で声を出し、息と声の大きさのバランスを知ることが重要です。

    胸式呼吸で息を多く吐いている状態では、共鳴させることは不可能です。
    息を減らし、声質を固くしていきましょう。

    息の量が多い発声、息の量を減らした発声を区別すること、共鳴しているのか判断が難しい場合は、録音して自分の声を客観的に聞いてみる、またはボイストレーナーに聞いてもらうといった方法があります。

    今回は、芯のある大きな声を出すことについてお話ししましたが、冒頭にありました「内向的な性格」は、自分に自信を持つことができれば表情が柔らかくなり、自然と声も明るくなり大きな声を出すことにも繋がっていきます。
    是非ご自身の長所や魅力について探ってみてください。
    ボイスレッスンに通いレッスンを通じ、トレーナーに客観的に見てもらうことも、新しい魅力を発見するひとつの手段でもありますよ♪
    自分自身を知ることが、スキルアップにも繋がります。

    共鳴についても過去に別の記事にて解説してありますので、あわせて下記もお読み下さい。

    響く声を出すために、「鼻腔共鳴」を学ぼう
    共鳴を歌に活かす方法について
    【ボイトレノウハウ6】共鳴 (図解あり)

    まとめ

    • 腹式呼吸をマスターする
    • 発声に対して息を減らす
    • 部屋で発声する場合、部屋の四隅まで振動し自分の頭の中もすべてが共に鳴り振動する
    • 録音して自分の声を客観的に聞いてみる、または人に聞いてもらう

    大きな芯のある声を出すためにはもちろん、歌唱技術を取得するためにも基本は腹式呼吸をマスターすることが大切です。
    基本の土台をしっかり作り、芯のある大きな声を取得しましょう!

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