今回はボイストレーニングにおける「共鳴」について詳しく解説していきます。
共鳴は発声の基礎であり、歌が上手い人とそうでない人を分ける大きなポイントのひとつです。
「声に厚みがない」「声が通らない」と感じている方は、共鳴を理解し練習に取り入れることで大きく改善できる可能性があります。
共鳴とは?声が響く仕組み
「共」に「鳴」ると書いて共鳴。つまり、空間の隅々が自分の声で振動するということです。
部屋の中の空気、頭蓋骨の中の空間――これらが声帯から発せられた音と一緒に振動することで、声に豊かな響きが生まれます。
大きな声でも小さな声でも、正しく共鳴できていれば「びりびり」という振動を感じることができます。
わかりやすい例を挙げると、お客さんがいなくても気持ち良さそうに歌えるボーカリストがいますよね。
あれは共鳴によって自分の声が頭の中で豊かに鳴り響き、バンドの音とも共鳴し合って、一種の陶酔状態を生み出しているのです。
共鳴がもたらす3つのメリット
共鳴を身につけることで得られるメリットは主に3つあります。
- 芯のある厚みのある声が出せるようになる――共鳴によって倍音が豊かになり、芯のある声が自然と生まれます。マイク乗りも格段に良くなります。
- 音程を体で感じ取れるようになる――振動を通じて音のズレを感覚的にキャッチでき、ピッチの安定につながります。
- 発声していて気持ち良さを感じられる――自分の声が体の中で響く感覚は、歌うことそのものの楽しさに直結します。
なお、音程を正確に取るにはこの練習だけでは不十分で、ソルフェージュなどの音感トレーニングも併せて行うことが大切です。
共鳴のやり方――まずは喉を開く
では、実際に共鳴させるためにはどうしたらいいのでしょうか。
文章だけでお伝えするのは正直難しい部分もありますが、できるだけわかりやすく解説していきます。
共鳴させるためにまず必要なのは、喉をしっかりと開くことです。
喉の開け方には「舌を下げる」方法と「喉仏を下げる」方法の2つのアプローチがあります。
舌のポジションを確認する
舌を下げて喉を開く場合、以下の3つのポイントをチェックしてください。
- 下の歯の前歯に舌の先端が軽く触れていること
- 舌が下の歯よりも上に上がっていないこと(凹みすぎもNG)
- 鏡で見たときに喉の奥がしっかり見えていること
この3点がクリアできていれば、基本的に喉は開いている状態だと言えます(あくまで基本的にはですが)。
男女差・個人差によるアプローチの違い
男性の場合は喉仏を下げるアプローチも有効です。
ただし、喉仏を下げても結局は舌の位置を安定させる必要がありますので、最終的にやるべきことは同じです。
「舌を下げる」か「喉仏を下げる」か、どちらのアプローチが合っているかは男女の差や個人差によって異なりますので、自分に合った方法を見つけていきましょう。
※ここでの喉の開き方の説明は、すべて「ア」の口の形を基本としています。「ア」は発声練習の基本形態です。
共鳴を深める練習法
腹式呼吸でアタックをつける
喉を開いた状態ができたら、次は腹式呼吸を使ってアタックのある息を送り出します。
喉(咽頭)は大きく分けて上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つの部分で構成されています。
この中で特に意識したいのが上咽頭です。
上咽頭へ声と息をしっかり送り込むことで、中咽頭や下咽頭にも自然と響きが伝わっていきます。

皆様、歌を歌う事において腹式呼吸の必要性とは一体何だと思いますか? 歌に使われる腹式呼吸は無意識で行う 腹式呼吸は歌だけじゃなく、スポーツでも使われていますよね。…
ハミングで共鳴を体感する
共鳴の感覚をつかむのに最も効果的な練習がハミングです。
上咽頭をしっかり意識しながらハミングで発声してみてください。
舌が正しいポジションにあり、咽頭・口腔内がきちんと拡がっていれば、唇がかなり振動するはずです。
唇が振動しているということは、声がまっすぐ前に出ているということ。
つまりマイク乗りの良い声が出ている状態です。
さらに、唇の振動が鼻の上のほうまで伝わっている感覚があれば、高い確率で正しい共鳴ができていると言えます。
声の響かせ方についてはこちらの記事でもさらに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

骨伝導と共鳴――相対音感を高める鍵
振動に関してもう少し掘り下げてみましょう。
人間は振動を感じることで音程を認識しています。これが先ほど述べた共鳴の第二のメリットにあたります。
たとえばピアノでCの和音を弾くと、その和音特有の響き(振動)が生まれます。
ライブハウスやクラブで低音がズンズン体に響いたり、音叉をギターのボディーに当てると振動が伝わったりするのと同じ原理です。
このCの和音の振動と、自分が発声している声の振動が三半規管(耳の奥)できれいにシンクロすれば、音程がある程度合致していると言えます。
声を出していて「気持ちいい」と感じるのは、まさにこの振動と振動のシンクロなのです。
これが共鳴の第三のメリットである「発声の気持ち良さ」の正体です。
共鳴がうまくできないときに見直すポイント
練習しても共鳴の感覚がつかめないという方は、以下のポイントを見直してみてください。
- 舌の位置が安定しているか――発声中に舌が浮き上がったり、奥に引っ込んでいると喉が狭くなり共鳴しにくくなります。
- 力みすぎていないか――首や顎に余分な力が入ると、喉の空間が狭まってしまいます。リラックスした状態を心がけましょう。
- 息の量は適切か――息が足りないと上咽頭まで声が届きません。腹式呼吸でしっかりと息を支えることが大切です。
- ハミングで振動を確認しているか――いきなり歌で共鳴を意識するのは難しいので、まずはハミングから始めてみましょう。
共鳴を活かした歌唱につなげるために
共鳴の感覚がつかめてきたら、次はそれを実際の歌唱に活かしていく段階です。
ハミングで感じた振動のポジションを維持したまま、母音「ア」で発声してみてください。
最初は単音のロングトーンから始め、徐々にスケール練習、フレーズ練習へと発展させていくのがおすすめです。
芯のある声を出すためには、この共鳴の土台がしっかりしていることが不可欠です。
共鳴が安定してくると、声量のコントロールも楽になり、表現の幅がぐっと広がります。
文章だけですべてをお伝えするのは正直なところ限界もありますが、共鳴の基本的な考え方と練習の方向性はご理解いただけたのではないでしょうか。
実際のトレーニングでは、プロのトレーナーに喉の状態を確認してもらいながら進めるのが最も確実です。
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