透明感のある声の出し方|澄んだ歌声に近づくための歌唱テクニックと練習法

    いつもボイストレーニング、お疲れ様です。ブラッシュボイスです。

    声の透明感」というテーマでご質問を頂きました。草野マサムネさん(スピッツ)や川嶋あいさんのような、濁りのない澄んだ歌声で歌いたいというご要望です。
    生まれ持った声の質感がベースになるのは事実ですが、それだけで全てが決まるわけではありません。
    ミックスボイスやウィスパーボイスといった歌唱方法を活用することで、声の方向性を「澄んだ響き」に寄せていくことは十分に可能です。

    今回は透明感のある歌声を手に入れるために意識したいポイントと、具体的な練習方法を一緒に考えていきたいと思います。ぜひ最後まで読んでみて下さい。

    目次

    ご質問:草野マサムネさんや川嶋あいさんのような透明感のある声の出し方について

    ボイトレ簡単質問箱

    HN:C.s
    性別:女性
    年齢:30
    ご質問タイトル:声の透明感

    はじめまして。
    声の透明感について質問させてください。
    濁りのないような透き通った声で歌唱するためにはどのようなトレーニングが必要でしょうか。
    もともとの声質が関係してきますでしょうか。
    もちろん感性的な部分があり個人の捉え方次第ということはあると思うのですが、男性であればスピッツの草野マサムネさん、女性であれば川嶋あいさんなどのようなクリアな発声で歌えるようになりたいです。
    ご回答宜しくお願いします!

    「透明感のある声」とはどういう状態か

    まず「透明感のある声」の正体を整理しておきましょう。なんとなくのイメージはあっても、具体的に何がどうなっている状態なのかを掴んでおくと練習の方向性が明確になります。

    透明感のある声とは、声帯が効率よく振動し、余計な力みやノイズが混じっていないクリアな発声状態のことです。
    濁りのない澄んだ水をイメージしてみて下さい。不純物がなく流れが穏やかであれば、水は自然と透き通って見えますよね。声も同じで、喉に余計な力が入っていなければ、声は自然と澄んだ響きを持ちます。

    草野マサムネさんや川嶋あいさんの歌声を聴くと、共通しているのは「力感のなさ」です。力で声を押し出すのではなく、息に声を乗せるように軽やかに歌っている。この「軽やかさ」こそが透明感の正体だと言えるでしょう。

    息の量をプラスして発声することで声質に変化をつける

    さて、具体的なアプローチに入っていきましょう。まず最初に挙げられるのが、ミックスボイスやウィスパーボイスの活用です。

    ミックスボイス・ウィスパーボイスで声を「コーティング」する

    ミックスボイスやウィスパーボイスは、もともとの声質に対して息の量を足して発声する歌唱方法です。
    もともとの声が少し硬かったり、ザラつきを感じる場合でも、息でコーティングすることによって、ある種の澄んだ歌い方に変えていくことは可能だと考えています。

    たとえば草野マサムネさんの歌声を注意深く聴くと、地声とファルセット(裏声)の境目がほとんど感じられないですよね。これはまさにミックスボイスの歌唱方法を高い精度で使いこなしている結果です。
    川嶋あいさんも同様に、息を多めに混ぜた柔らかい歌い方で透明感を出しています。ウィスパーボイスの要素が入ることで声に温かみと透き通った質感が加わるのです。

    息の混ぜ方のコツ

    「息を足す」と言われてもピンとこない方もいらっしゃると思いますので、もう少し具体的にお伝えします。

    息を混ぜるポイントは「声を出す前に、まず息だけを流すイメージを持つ」ことです。
    「はぁー」とため息をつくように息を出して、その流れの途中から少しだけ声帯を閉じて声にしていく感覚です。声を出してから息を足すのではなく、息が先で声が後。この順番を意識するだけで声質がかなり変わります。

    最初は小さな声で構いません。声量を上げることよりも、息と声のバランスを丁寧に探っていくことが大切です。

    脱力こそが透明感の最大のカギ

    息の量を足すアプローチと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが脱力(力を抜くこと)です。

    力みが透明感を奪うメカニズム

    力んで発声すると呼吸が荒くなり、声帯や咽頭全体に過剰なボリュームと振動が生まれてしまい、声質がざらついてしまうということがあります。
    これは高い音域を出そうとするときに特に起こりやすいのですが、中低音域でも緊張や癖によって喉に力が入っている方は少なくありません。

    磨いたガラスを強く握れば指紋がついて曇りますよね。喉の力みとはまさにそういうもので、力を入れれば入れるほど声の透明感から遠ざかってしまうのです。

    全身の力を抜いて息を安定させる

    全身の力をしっかり抜いて息の量をしっかりと安定させて歌えば、いつもより澄んだ声が出てくるはずです。
    特に意識したいのは、首・肩・顎の3箇所です。歌う前に首をゆっくり回したり、肩を上げてストンと落としたりして、余計な力が入っていないことを確認する習慣をつけてみて下さい。

    「息の量が安定する=息の量が減る」ということでもあるのですが、ここで「ウィスパーボイスやミックスボイスでは息を足すんじゃなかったの?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、実はこの2つは矛盾しません。

    脱力と息の関係を整理する

    ウィスパーボイスやミックスボイスも基本は全身の力を抜いて発声するところ、これは同じなのです。
    力を抜いたリラックスした状態を土台にして、そこに意図的に息の量を足していく。これがウィスパーボイスやミックスボイスの歌い方のコツです。

    つまり順番としては、まず脱力ありきなのです。力んだ状態に息を足しても、透明感は生まれません。脱力した土台の上に、コントロールされた息を乗せる。この組み合わせが透明感のある声をつくるのです。

    透明感のある声に近づくための具体的な練習法

    ここからは、日々の練習に取り入れやすい具体的なトレーニング方法をご紹介します。

    練習法1:ため息発声トレーニング

    最も手軽で効果的な練習です。大きなため息をつくように「はぁー」と息を吐き、そのまま自然に声を乗せていきます。
    ポイントは「声を出そう」と意識しすぎないこと。あくまで息の延長線上に声がある感覚を大切にして下さい。

    これを繰り返すうちに、力まずに声を出す感覚が身体に馴染んでいきます。最初は低い音域から始め、少しずつ音を上げていくと、高音域でも力まないコツが掴めてきます。

    練習法2:ハミングで響きを確認する

    ハミングは声の響きを確認するのに非常に有効な練習法です。口を閉じた状態で「んー」と声を出すだけですが、喉に力が入っているとハミングは綺麗に響きません

    ハミングが楽に、鼻の奥や額のあたりに振動を感じるように響いている状態が理想です。ハミングで得られた響きの感覚をそのまま口を開けた発声に繋げていくと、透明感のある声の感覚が掴みやすくなります

    練習法3:リップロール+音階練習

    唇を「ブルルル」と震わせながら音階を上下するリップロールも効果的です。リップロールは喉に余計な力が入っていると続けることができないので、脱力の確認と声帯のウォーミングアップを同時に行える優れた練習です。

    リップロールをしながら低音域から高音域まで滑らかに上がっていく練習を繰り返すと、声区の切り替え(地声と裏声の移行)がスムーズになり、ミックスボイスの感覚にも近づいていきます。

    練習法4:ファルセットの強化

    ファルセット(裏声)を安定して出せるようにすることも、透明感のある声づくりには欠かせません。
    ファルセットは最も息の成分が多い声の出し方であり、透明感という観点では最も「澄んだ響き」に近い状態です。

    まずはファルセット自体の質を高めること。息漏れが多すぎてスカスカの裏声ではなく、芯のある柔らかいファルセットを目指しましょう。この「芯のあるファルセット」をミックスボイスへと発展させていくことで、地声の音域でも透明感を保てるようになっていきます。

    練習法5:母音の統一感を意識する

    実は見落とされがちですが、母音ごとに声の質感がバラバラだと透明感が損なわれます
    「あ」は開放的に出せるのに「い」で喉が詰まる、「う」で声がこもるといった状態は非常によくあります。

    5つの母音(あ・い・う・え・お)を同じ響きの位置、同じ息の量で出せるように練習することで、歌全体の透明感が格段に上がります
    鏡を見ながら、口の開き方を意識して一音ずつゆっくり発声してみて下さい。どの母音でも喉の奥が開いている感覚が保てていれば正解です。

    声質は変えられないのか?生まれ持った要素との付き合い方

    ご質問の中でも触れられていましたが、「もともとの声質が関係しますか?」という点についてお答えしておきます。

    正直に申し上げると、生まれ持った声帯の長さ・厚み・声道の形状などは、声の個性を大きく左右する要素です。草野マサムネさんの声が唯一無二であるように、声の個性は一人ひとり異なります。

    しかし、それは「変えられない」という意味ではありません。声質そのものを別人の声にすることはできなくても、自分の声の中にある「透明感の要素」を最大限に引き出すことは誰にでもできます

    たとえば同じ楽器でも、演奏者によって音色が全く違いますよね。声という楽器の「鳴らし方」を磨いていくことで、自分だけの澄んだ歌声に近づくことができるのです。回答というよりもアドバイス程度に捉えていただければ幸いですが、この点はぜひ前向きに取り組んでみて下さい。

    透明感のある声を目指す上で気をつけたいこと

    声量と透明感は別物

    「もっとしっかり声を出さなきゃ」と力んでしまうのは逆効果です。透明感のある歌声は、必ずしも大きな声である必要はありません
    小さな声量でもスッと耳に届く歌声は存在します。まずは声量のことは一旦忘れて、声の「質」だけに集中してみて下さい。

    焦らず段階的に取り組む

    今回ご紹介した内容を全て一度にやろうとすると、かえって力みが生まれてしまいます。まずは脱力とため息発声から始め、それが自然にできるようになったらハミングやファルセットの練習を追加していくのがおすすめです。

    焦らず、一歩ずつ。声の変化は地道な積み重ねの中で少しずつ表れてきます。

    まとめ

    今回は、透明感のある声の出し方について一緒に考えてみました。ポイントを整理すると以下の通りです。

    ・ミックスボイスやウィスパーボイスといった歌唱方法で息を足し、声をコーティングする
    ・全ての基本は脱力。力を抜いた状態を土台にする
    ・ため息発声、ハミング、リップロール、ファルセット強化を段階的に練習する
    ・母音の統一感を意識して歌全体のクリアさを底上げする
    ・生まれ持った声質がベースにはなるが、「自分の声の中の透明感」は必ず引き出せる

    声の透明感は一朝一夕で手に入るものではありませんが、正しい方向で練習を続ければ必ず変化が実感できるはずです。またのご質問をお待ちいたしております。

    もし独学での練習に限界を感じたり、自分の声に合ったアドバイスが欲しいという方は、ぜひボイトレ無料体験レッスンにお越し下さい。一人ひとりの声質に合わせたトレーニングプランをご提案いたします。

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