こんにちは。ブラッシュボイスです。
「覚声類のような声を出してみたいけど、どうすればいいの?」「自分の声帯でも覚声類になれるのかな……」そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
YouTubeやニコニコ動画の歌い手文化が広まるなか、覚声類と呼ばれる歌唱スタイルに憧れる方が増えています。
結論からお伝えすると、覚声類の歌い方は特別な才能がなくても目指せます。声帯の仕組みを理解し、正しいトレーニングを積み重ねることで、覚声類の特徴である「声の振り幅」を身につけることは十分に可能です。
今回はブラッシュボイスの関東代表トレーナー・鈴木智大が、覚声類に必要なトレーニング方法を具体的にお伝えしていきます。ぜひ最後まで読んでみて下さい。
覚声類とは|意味と特徴を解説
覚声類の定義
覚声類とは、主にニコニコ動画の「歌ってみた」文化から生まれた用語で、急激に声が高くなったり、極端な抑揚で楽曲の盛り上がりを演出する歌い手に付けられるタグのことです。
主に、急に声が高くなったり(キーをあげたり)極端な盛り上がりを見せる歌い手、歌ってみた動画につけられるタグである(現在は鋼兵(歌い手)、よっぺい(歌い手)、灯油(歌い手)、ゴム(歌い手)、まふまふ(歌い手)などにもつけられている)。
引用:ニコニコ大百科 覚声類
ニコニコ大百科の解釈にもある通り、覚声類の最大の魅力はサビなどの楽曲の盛り上がり部分で、しっかりと抑揚をつけて歌うことにあります。低い音域から一気に高音域へ駆け上がるようなダイナミックな歌い方が、聴く人の心を揺さぶるのです。
覚声類の代表的な歌い手
覚声類の代表的な歌い手として知られるまふまふさんの歌唱を例に見てみましょう。
まふまふさんはAメロ・Bメロでミックスボイスという歌唱方法を用いて歌唱されています。そしてサビに入ると一気に高音域へ切り替わり、その声の振り幅の大きさが覚声類ならではの魅力を前面に出しています。
覚声類の歌い手に共通しているのは、地声の低い音域と裏声の高い音域の「振り幅」を最大限に活かしているという点です。
覚声類は女性でもなれる?男女の違い
「覚声類は男性のイメージが強いけど、女性でもなれるの?」という質問をいただくことがあります。
特に男性は地声が女性より1オクターブ以上低い音を出せることが多いため、高音との振り幅を大きく取りやすいという特徴があります。覚声類に男性の歌い手が多い理由のひとつは、この声域の広さにあります。
しかし、女性でも「声の振り幅」というポイントに注目してボイストレーニングを行えば、覚声類のような歌い方を身につけることは可能です。大切なのは音域の絶対的な広さではなく、自分の声域のなかでいかにダイナミックに抑揚をつけられるか、という点です。
覚声類に近い歌い方を目指す方は、「両声類になりたい」という記事もあわせて参考にしてみて下さい。両声類と覚声類はアプローチが異なりますが、声の切り替えという共通のスキルが求められます。
覚声類に必要な声帯の仕組みを理解しよう
声帯の伸縮と音の高さの関係
覚声類のトレーニングに入る前に、まず声帯の基本的な仕組みを知っておきましょう。
声帯はゴムのように伸び縮みする組織で、低い声を出すときは短く縮み、高い声を出すときは長く伸びます。覚声類のように低音から高音まで幅広い音域を自在に操るには、この声帯の伸縮をスムーズに行えるようにトレーニングすることが重要です。
声帯の仕組みについてもっと詳しく知りたい方は「声帯についての解説」の記事もあわせてお読み下さい。
声帯の伸縮を促すトレーニングが覚声類への近道
覚声類の歌い方を実現するためには、声帯の伸縮を促すボイトレを行うことが最も効果的です。声帯周りの筋肉を柔軟にし、低音から高音への切り替えをスムーズにすることで、覚声類に必要なダイナミックな声の振り幅を手に入れることができます。
ここで大切なのは、声帯に過度な負担をかけないことです。無理に高い声を出そうとして力んでしまうと、声帯を傷めてしまう原因になります。正しいフォームを意識しながら、段階的に練習を進めていきましょう。
覚声類になるための具体的なトレーニング方法
ここからは、覚声類の歌い方を身につけるための具体的なトレーニング方法を3つご紹介します。
トレーニング1:1オクターブ離れた音を地声と裏声で交互に発声する
覚声類のトレーニングとして最も基本的で効果的なのが、地声と裏声を1オクターブの間隔で交互に発声する練習です。
具体的な練習方法は以下の通りです。
- 中音域のド(C4)を地声で発声する
- 1オクターブ上のド(C5)を裏声で発声する
- この2音を交互に「ドドドドドー」と繰り返す
- 慣れてきたらド#、レ、レ#……と半音ずつ上げていく
例:「ドドドドドー」→「ド#ド#ド#ド#ド#ー」→「レレレレレー」
(下線部分は1オクターブ上の音)
この練習のポイントは2つあります。
- 声の切り替えをスムーズにする:地声から裏声へ、裏声から地声へと瞬時に切り替える練習になります
- 声帯の伸縮を促す:1オクターブの差がある音を繰り返すことで、声帯が効率よく伸び縮みするようになります
最初はうまく切り替えられなくても問題ありません。毎日少しずつ続けることで、声帯の柔軟性が高まり、切り替えがスムーズになっていきます。
トレーニング2:自分の音域に合わせた選曲で実践練習
声帯の伸縮トレーニングと並行して、自分の声域をフルに使える曲を選んで歌う実践練習も効果的です。
選曲のポイントは以下の通りです。
- 自分が出せる一番低い音から一番高い音(裏声を含む)までを使っている曲を選ぶ
- ぴったりの曲がなければ、カラオケでキーを調整してもOK
- 低音パートと高音パートの差が大きい曲が理想的
例えば、自分が出せる一番下の音がソ(G3)で一番高い音が2オクターブ上のソ(G5)だとします。この場合、G3からG5までの音域を使っている曲を選ぶと、声帯の伸縮を最大限に活かしたトレーニングが可能になります。
1曲はおよそ4〜5分程度のものが多いですが、その時間のなかで声帯に負担をかけずに声を出すことに重きを置いて練習しましょう。無理に力を入れて高音を出すのではなく、リラックスした状態で声帯を効率的に使うことを意識して下さい。
裏声を使った高音域の練習については「ファルセットの出し方」の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみて下さい。
トレーニング3:グリスアップ・グリスダウン
グリスアップ・グリスダウンは、自分が出せる地声の最低音から裏声の最高音までを一繋ぎで発声するトレーニングです。覚声類に必要な声の振り幅を効果的に鍛えることができます。
具体的には以下のように行います。
- グリスアップ:自分の最低音から最高音まで、途切れさせずに声を滑らせるように上げていく
- グリスダウン:最高音から最低音まで、同じく途切れさせずに声を滑らせるように下げていく
このトレーニングには以下のメリットがあります。
- 声帯をしっかり使うことで、声帯周りの筋肉が鍛えられる
- 高い声を出すために必要な筋力と柔軟性が身につく
- 地声と裏声の境目(パッサージョ)をスムーズに越える練習になる
【関連リンク】
グリスアップグリスダウン
裏声が苦手な方へ|覚声類の前にやるべき基礎練習
覚声類のトレーニングを始める前に、そもそも裏声がうまく出せないという方もいらっしゃるかもしれません。
元々裏声が苦手な場合は、まず以下のステップから始めてみましょう。
- ステップ1:裏声を安定して出す練習:息漏れの多い柔らかい裏声でOKです。まずは裏声の感覚に慣れましょう
- ステップ2:裏声で強く発声する練習:裏声に慣れてきたら、少しずつ息の量を増やして声量を上げていきます
- ステップ3:地声と裏声の切り替え練習:上記の1オクターブ交互発声に取り組みます
ファルセット(裏声)の出し方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。裏声に自信がない方は、まずこちらから取り組んでみて下さい。
時間はかかるかもしれませんが、声帯をこの振り幅の音域に慣らしていく必要がありますので、焦らず気長に練習を続けることが大切です。
覚声類を目指すうえでの注意点
喉への負担に気をつける
覚声類の歌い方は声の振り幅が大きい分、喉への負担も大きくなりやすいです。以下の点を意識して練習しましょう。
- 練習前にはしっかりウォーミングアップを行う
- 喉に痛みや違和感を感じたら、すぐに練習を中止する
- 1回の練習時間は長くても30分程度に留める
- 練習後は声を使いすぎないよう休息を取る
独学の限界を知る
覚声類のトレーニングは、正しいフォームで行うことが非常に重要です。間違った発声方法を続けると、声帯結節などの喉のトラブルにつながる恐れもあります。
文章だけでは発声のすべてをお伝えするのに限界がありますので、より確実にスキルを身につけたい方は、プロのボイストレーナーに直接指導を受けることをおすすめします。
覚声類のトレーニングまとめ
今回の内容をまとめます。
- 覚声類の最大の特徴は声の振り幅の大きさにある
- 声帯はゴムのように伸び縮みし、この伸縮をスムーズにするトレーニングが覚声類への近道
- 具体的な練習法として「1オクターブ交互発声」「音域に合わせた選曲」「グリスアップ・グリスダウン」の3つが効果的
- 裏声が苦手な方はまず裏声の基礎練習から始める
- 女性でも声の振り幅を意識した練習で覚声類の歌い方は身につけられる
覚声類の歌い方は一朝一夕で身につくものではありませんが、正しいトレーニングを続ければ確実に成長を実感できます。まずは今回ご紹介した練習メニューから、できるものを一つずつ試してみて下さい。
ブラッシュボイスでは、覚声類を目指す方へのボイストレーニングも行っています。声帯の使い方や自分に合った練習メニューについて、プロのトレーナーから直接アドバイスを受けてみたい方は、ぜひボイトレ無料体験レッスンにお越し下さい。

