こんにちは。
ブラッシュボイス 関東代表トレーナーの鈴木智大と申します。
今回は「声変わり(変声期)中にボイトレをしても大丈夫なのか」というご質問をいただきましたので、詳しく回答させていただきます。
声変わりの時期は、歌が好きな方にとって不安が大きい時期です。
「高い声が出なくなった」「声がひっくり返る」「音程が安定しない」など、さまざまな悩みを抱える中学生・高校生の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、声変わりの仕組みやボイトレとの関係、そして変声期でも安全に取り組めるトレーニング方法について、ボイストレーナーの立場から詳しくお伝えしていきます。
【質問内容】声変わり中にボイトレは良くない?
声変わり真っ只中の中学二年生です。今度ボイトレに通ってみようかな…と思うのですが、声変わり中にボイトレは良くないと聞きます。実際のところどうなんでしょうか。
歌うことが大好きで、今もカラオケにいます。教えてください。声は低く、ある音程を出そうとすると、どうしてもずれて入ってしまいます。高い声も出なくなりました。
尾崎豊さんのI LOVE YOUを歌わせて頂きました。
※ご質問者様からは音声(歌唱)データを頂きましたが、公開は控えさせて頂いております。
基本歌は下手で悩んでいます。
改善したほうがよいところや、僕の良いところを教えてください。
遠慮なく厳しくいってください。そっちのほうが伸びるタイプです。
【ご回答】ボイトレと声変わりの関係
早速回答していきたいと思います。
まさに私がボイトレを始めたきっかけが「声変わり(変声)」でした。声変わり中に喉を痛めるような「激しい」ボイストレーニングはお勧めしませんが、適度であれば行った方が良いと思います。
これはあくまでも私の例ですが、12歳から14歳にかけて声変わりが起こり、その間もずっと歌い続けておりました。
どうしても声変わり前のような高い声は維持できませんが、ボイストレーニングを行っていない人に比べて声の出は良い状態を保つことが出来ましたので、行った方が良いです。
変声期に適切なボイトレを続けることで、声変わり後の声域が広がりやすくなるというメリットもあります。
大切なのは「やらない」ことではなく、「正しい方法で、無理のない範囲で行う」ことです。
そもそも声変わり(変声期)とは?
声変わりとは、成長期に声帯が大きく変化する現象のことです。
男子の場合は声帯の長さがおよそ1.5倍〜2倍に伸び、声が約1オクターブほど低くなるのが一般的です。女子も声変わりはありますが、男子に比べると変化が小さいため、気づかないことも多いです。
声変わりの時期には個人差がありますが、おおよそ以下のような目安があります。
男子:11歳〜15歳頃(中学生の時期と重なることが多い)
女子:10歳〜14歳頃(男子よりやや早め)
声変わりの期間中は、声帯が急速に成長しているため、声がかすれたり、ひっくり返ったり、思うようにコントロールできなくなることがあります。
これは成長に伴う自然な現象ですので、過度に心配する必要はありません。
声変わり中にボイトレをしても大丈夫な理由
「声変わり中はボイトレをしない方がいい」という情報を見かけることがありますが、これは半分正解で半分不正解です。
確かに、無理に高い声を出そうとしたり、長時間にわたって大声を張り上げるようなトレーニングは避けるべきです。
成長途中の声帯に過度な負荷をかけることは好ましくありません。
しかし、以下のようなトレーニングは声変わり中でも安全に行うことができます。
1. 呼吸法のトレーニング
腹式呼吸をはじめとする呼吸法は、声帯に直接的な負荷をかけずに行えるトレーニングです。
声変わり中であっても、しっかりとした呼吸の土台を作っておくことは将来の歌唱力向上に大きく役立ちます。
息の使い方やコントロールは歌の基礎中の基礎です。
この時期に正しい呼吸法を身につけておけば、声変わりが落ち着いた後のスタートダッシュが全く違ってきます。
2. リップロールなどの軽い発声練習
リップロールは唇を振動させながら声を出すトレーニングで、声帯への負担が非常に少ないのが特徴です。
声変わり中の繊細な時期にも取り入れやすく、声の安定感を養うのに効果的です。
リップロールを行う際のポイントは、無理に高い音域まで上げようとしないことです。
今出しやすい音域の中で、リラックスした状態で行うようにしましょう。
3. 音感やリズム感のトレーニング
声を大きく出さなくても、音感やリズム感を鍛えることは可能です。
音楽を聴きながらリズムに合わせて手を叩いたり、メロディーを小さな声でなぞったりするだけでも十分なトレーニングになります。
声変わり中は声のコントロールが難しい分、耳を鍛えることに集中するのも良い時間の使い方です。
4. 軽めの発声練習
ハミングや小さな声でのスケール練習など、声帯に大きな負荷をかけない発声練習は有効です。
「無理のない範囲で、短時間で行う」ということを意識すれば、声変わり中でも安全にトレーニングを続けることができます。
声変わり中に避けた方がいいこと
逆に、声変わりの時期に気をつけるべきことも押さえておきましょう。
無理に高い声を出そうとする
声変わり前と同じ高さの声を無理に出そうとすると、成長途中の声帯に過度な負荷がかかります。
「高い声が出なくなった」と感じたら、それは正常な変化です。
今の自分の声域を受け入れて、出しやすい範囲で歌うようにしましょう。
長時間の歌唱やカラオケ
カラオケが好きな方も多いと思いますが、声変わり中は長時間歌い続けることは避けた方が無難です。
1〜2時間程度にとどめ、喉に違和感を感じたらすぐに休憩するようにしてください。
特に友達とのカラオケでは、つい盛り上がって叫ぶように歌ってしまうことがありますが、この時期はできるだけ控えめに歌うことを心がけましょう。
声が割れるような状態になったら、それは声帯に大きな負担がかかっているサインです。
喉を締めて歌う癖をつけてしまう
声変わり中は思うように声が出ないため、喉を締めて無理やり声を出そうとする癖がつきやすい時期です。
この癖は声変わり後も残ってしまうことが多く、将来的な歌唱力の伸びを大きく妨げる原因になります。
だからこそ、この時期にプロのボイストレーナーから正しい発声のフォームを学んでおくことが重要なのです。
歌唱診断
ここからは、実際に質問者さんの歌唱を聴かせていただいた上での診断をお伝えします。
尾崎豊さんのI LOVE YOU、いつの時代も親しまれる大名曲ですね。
音程のズレに関して
さて、早速ですが…恐らく、歌い始めから丁寧に歌っていない可能性が高いです。
曖昧に発音してしまうとその分音程のズレも大きくなります。
(※今回は大きなズレはありませんでしたが、少しフラット気味(音程が下がり気味)なので注意した方が良いです。)
どれだけ歌に集中できているか、という点がポイントになってきます。
声変わり中は特に音程が不安定になりやすいため、一音一音を丁寧に歌うことを意識してみてください。
歌い出しの最初の一音を正確に捉える練習をするだけでも、音程の安定感は大きく変わってきます。
具体的には、伴奏をよく聴いてから歌い出す、ワンフレーズごとに区切って練習するなどの方法が効果的です。
譜割りの理解
2コーラス目の「触れられぬ秘密がある♪」の「秘密」と、「今の暮らしの中では♪」の「なか」の部分のリズムと譜割りに大きなズレがあります。
ボーカルは生きた楽器ですので、譜面どおりに歌うことがすべてではありませんが、明らかなズレは聴き手を不快にしてしまいます。
原曲のリズム、ボーカルメロディーをよく聴いて、どこで何拍伸ばしているのか、裏のリズムで入っているのか、表で入っているのかなどを確認して歌うようにしましょう。
特に日本人は外国の方に比べてリズム感が弱い傾向があると言われていますので、細かく意識してリズムを体に染み込ませるのが重要です。
メトロノームを使った練習や、手拍子をしながら歌う練習も効果的です。
棒うたいになってしまっている
ご質問者様は全体を通して、いわゆる棒うたいになってしまっています。
※棒うたいとは、棒読みの歌バージョンということです。
前述したように多少音程のズレなどはありますが、全体を通して大きなズレはありませんし、滑舌もそこまで悪くなく、声もまっすぐ出せています。
しかし感情がまったく入っていない、ただ譜面の音符を追って発声しているだけになってしまっているので、歌に表情をつけるトレーニングを行うことをお勧めします。
これは音程をしっかり取れるようにする、という部分にも繋がってきますので是非行うようにしましょう。
歌の表現力を高めるために必要なこと
どのようにすれば感情表現が出来るようになるか。
それは「歌詞の理解を深めて感情移入をすること」「ボーカルの歌唱テクニックを身につけること」の2つです。
歌詞の理解と感情移入
まず大前提として、歌っている曲の歌詞をしっかり理解することが大切です。
尾崎豊さんのI LOVE YOUであれば、歌詞に込められた切なさや愛情を自分なりに解釈し、感情を込めて歌うことが必要です。
ただし、「感情移入すれば感情表現は出来る!」というボイストレーナーさんも多いですが、技術の引き出しなくして表現することは至難の技です。
極端に言えば、めちゃくちゃ音痴な人が感情移入しまくりで歌っていたとしても誰も感動しないということです。
歌唱テクニックの引き出し
例えば歌い始めの発音一つとってみても、10パターン以上の発音が考えられるのです。
プロフェッショナルの歌手はこれらの感情と技術を存分に発揮しているので、たった3秒のワンフレーズだけでも聴き手を感動させることが出来るのです。
歌だけでなく、声優業界やバンドサウンド、本や映画、初対面で会ったときの相手の印象などもそうですが、人間が直感的に「良い!」と思える物は開始3秒で決まるとよく言われます。
声変わり中であっても、表現力を磨くための学びは十分に可能です。
むしろ、声が安定しない今の時期だからこそ、表現力や技術的な引き出しを増やしておくことで、声変わりが落ち着いた後に大きく飛躍できます。
声変わり後に身につけたい歌唱方法
声変わりが落ち着いてきたら、より本格的な歌唱方法にも挑戦していきましょう。
ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
ミックスボイス
ミックスボイスは、地声と裏声をバランスよくブレンドした歌唱方法です。
高い声を力強く出したい場合に非常に有効で、多くのプロの歌手が活用しています。
声変わり後、声が安定してきたタイミングで少しずつ練習を始めると良いでしょう。
ただし、独学で身につけるのは難しい歌唱方法でもありますので、ボイストレーナーの指導のもとで取り組むことをお勧めします。
ウィスパーボイス
ウィスパーボイスは、ささやくような息混じりの声で歌う歌唱方法です。
バラードなど静かな楽曲で効果を発揮し、楽曲に繊細な表情を加えることができます。
この歌唱方法は声帯への負担が比較的少ないため、声変わりが完全に終わっていない段階でも、注意しながら練習に取り入れることができます。
ビブラート
ビブラートは音を細かく揺らすテクニックで、歌に深みと安定感を与えます。
自然なビブラートが出せるようになると、歌全体の完成度が格段に上がります。
声変わり中はビブラートが安定しにくいですが、腹式呼吸をしっかり身につけた上で、無理のない範囲で練習していくと良いでしょう。
声変わりの時期をチャンスに変えるために
声変わりの時期は確かに歌いにくい時期ですが、見方を変えれば歌の基礎力を徹底的に固められる絶好の時期でもあります。
声を大きく出せない分、以下のような基礎練習に集中できます。
呼吸法の習得:腹式呼吸を完全にマスターする
音感トレーニング:正確な音程を聴き取る耳を育てる
リズム感の向上:さまざまなリズムパターンを体に染み込ませる
歌詞解釈の力:楽曲の世界観を深く理解する力を養う
軽い発声練習:リップロールやハミングで声の安定感を保つ
これらの基礎がしっかりしていれば、声変わりが終わった後の上達スピードは飛躍的に速くなります。
声変わり中のボイトレで気をつけるべきポイントまとめ
ここまでの内容を整理すると、声変わり中のボイトレで大切なポイントは以下の通りです。
1. 無理をしないこと
高い声が出なくなるのは自然な変化です。無理に声変わり前と同じ声を出そうとせず、今の声域を受け入れましょう。
2. 短時間で行うこと
長時間の練習は避け、1回の練習は30分〜1時間程度にとどめることをお勧めします。
喉に少しでも違和感を感じたら、すぐに休憩を取ってください。
3. 喉を締める癖をつけないこと
声が出にくいからといって、喉を締めて力任せに声を出す癖は絶対につけないようにしましょう。
この時期についた悪い癖は、声変わり後もなかなか抜けません。
4. 正しい指導を受けること
声変わり中のボイトレは、独学よりもプロのボイストレーナーの指導を受けた方が安全で効果的です。
状態に合わせたメニューを組んでもらえるため、声帯への負担を最小限に抑えながら着実にスキルアップできます。
5. 声が割れるなど異変を感じたら休むこと
声が割れる、かすれが長期間続くなどの症状が出た場合は、練習を中断して休養を取りましょう。
声変わり中・声変わり後のボイトレはブラッシュボイスで
全国的に見ても、表現力まで切り込んだレッスンが出来るボイストレーナーさんはとても少ないです。
ブラッシュボイスでは、その表現力や技術まで切り込んだレッスンが体験レッスンから可能です。
声変わり中のお子様にも、状態に合わせた安全で効果的なレッスンメニューを提供しております。
「声変わり中だけど歌が上手くなりたい」「声変わりで声の出し方が分からなくなった」という方は、ぜひ一度ブラッシュボイスのボイトレ無料体験レッスンをお試しください。
声変わりの時期を不安に感じる必要はありません。
正しいトレーニングで基礎を固めれば、声変わり後にきっと大きな武器になります。
是非正しくボイトレを行って、たくさんのボーカルテクニックや技術を身に付けていってください。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木 智大
