こんにちは。
ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの鈴木智大です。
今回は「合唱で高音が出ない」というお悩みについて、楽に綺麗な高音を出すための具体的な練習方法やボイトレのコツをお伝えしていきます。
合唱部やアンサンブルで活動されている方にとって、高音域の安定は大きなテーマですよね。特にテノールパートを担当されている方は、曲によってはかなり高い音域まで求められることがあり、「高音が出ない」「出ても苦しそうに聞こえてしまう」というお悩みをお持ちの方が本当に多くいらっしゃいます。
この記事では、ブラッシュボイスに実際に寄せられたご質問をもとに、合唱における高音の出し方を基礎から実践まで丁寧に解説していきます。文章だけでお伝えできる範囲には限界もありますが、「今の自分に何が足りないのか」を見つけるきっかけにして頂ければ幸いです。
高音の出し方やお悩み改善(高音が出ない・かすれる・裏返るなど)についてはこちらのページもご確認下さい。
高音(高い声)を出すためのボイストレーニング(地声 裏声 ミックスボイス)
【ご質問内容】合唱で高音が出ない|トップテノールの高校生からの相談
ブラッシュボイスに下記のようなご質問を頂きましたので、回答をまじえて解説させて頂きます。
こんばんは。合唱をやっている高校生です。
僕はトップテノールなのですが高音がなかなか出ず悩んでいます。
うまく行くときは高いファくらいまでは出るのですが、出ないときはミも苦しくて、曲の中だと喉が苦しくなって余計に出ません。
出てもあまり綺麗に出なかったり、前に出すぎていると言われたりします。
高音を楽に出せるようになる具体的な練習方法と、聞き苦しくない綺麗な発声方法を教えてほしいです。
まず大切なこと|自分の音域を正しく把握する
ご質問頂きましてありがとうございます。
早速回答させて頂きます。
合唱で高音を安定させたいというお気持ちはとてもよく分かります。しかし、まずは自分の音域を正しく把握することがとても重要です。自分が「確実に出せる音」と「調子が良い時だけ出せる音」の区別がついていないと、練習の方向性そのものがずれてしまうからです。
例えば、ファは調子の良い時しか出ない、ということであれば、その音を前提にした選曲は避けた方が良いです。合唱の場合はソロと違って自分で選曲できないケースも多いと思いますが、指揮者やパートリーダーに相談するという選択肢もあることを覚えておいて下さい。
どうしてもその音域が必要な場合の対処法
しかし、どうしてもその曲をそのキーで歌わなければならない、という状況は合唱ではよくありますよね。そのような場合は、高いところだけ裏声を使うということも現実的な選択肢として考えた方が良いかもしれません。
曲の雰囲気によっては地声で力強くいかなければならない音かもしれませんが、失敗するかもしれない状態で歌うことの方が良くありません。合唱では一人の不安定な声が全体のハーモニーに影響しますので、この点は特に意識して頂きたいところです。
歌手は「確実に出せる」状態でステージに臨むものです。
いつでも確実に出せる音域や発声法で臨むように心がけて下さい。この考え方は合唱でもソロでも変わりません。
高い声の練習|マインド(意識)を変えることの重要性
高音を楽に出したいというお気持ちに対して、最初にお伝えしたいのは技術ではなくマインド(意識の持ち方)です。実はここが非常に大切なポイントで、多くの方がつまずいているのがこの部分なのです。
高音を出す時にやってはいけないこと
高音を楽に出したいということですが、地声も裏声も「肩や胸、喉を閉める力」は完全に抜くようにして下さい。
いかなる発声を行う時もこれらは共通する点です。合唱の場面では特に、周りの声に負けまいとして無意識に力んでしまうことがありますので注意が必要です。
脱力と正しい発声の関係についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
脱力と発声|力を抜いて歌うための考え方と練習法
無意識の力みが高音を邪魔している
人は歌う時、「キレイに歌を聴かせたい」「失敗したくない」「声が裏返らないようにしよう」などなど、このような心理が働きます。合唱であれば「周りに迷惑をかけたくない」「パートの音をしっかり出さなければ」という責任感も加わりますよね。
発声法が確立されていない人は特に、これらの心理が働くと「喉に力が入ってしまったとしてもキレイに声が出せればいい」と無意識に力みが生じてしまいます。高音になればなるほどこの傾向は顕著になり、喉が締まり、声がかすれたり裏返ったりする原因になります。
意識を「脱力の徹底」に切り替える
考え方を逆にして下さい。
最初は失敗するものです。
「脱力しても声は出る」ということを身体で覚えたほうが近道です。
ですから、「失敗したとしても、声が裏返ったとしても脱力することを徹底しよう」というマインドに切り替えて下さい。これは一見遠回りに感じるかもしれませんが、実は高音を安定させるための最短ルートです。
最初は失敗の繰り返しですが、少しずつコツが掴めてくるはずなので諦めないで練習してみて下さい。力を入れて無理やり出していた高音と、脱力した状態から出てくる高音では、音色も持続力もまったく違います。合唱で求められる「溶け合う声」を作るためにも、脱力は欠かせない要素です。
高い声の練習|押さえるべき4つの基礎技術
マインドの部分もとても大切ですし、技術も勿論大切です。
基礎はしっかり押さえて下さい。
高音を安定して出すために必要な基礎は、大きく分けて4つあります。
1. 姿勢
合唱では立って歌うことが多いと思いますが、正しい姿勢は安定した発声の土台です。猫背になっていたり、顎が前に出ていたりすると、それだけで喉に余計な負担がかかります。頭のてっぺんから糸で引っ張られているようなイメージで、背筋をまっすぐに保って下さい。
2. 腹式呼吸
高音を出す際に特に重要になるのが息の支えです。胸式呼吸では息が浅くなり、高音域で息が足りなくなったり、喉に力が入りやすくなります。お腹を使った深い呼吸で、安定した息の流れを作ることが高音発声の基盤になります。
3. 声の共鳴(声の響き)
声はただ声帯で生まれるだけではなく、口腔・鼻腔・咽頭などの空間で増幅されて「響き」になります。共鳴を意識することで、無理に声量を上げなくても通る声が出せるようになります。合唱では特に、共鳴によって他のパートと溶け合う豊かな声を作ることが求められます。
4. 脱力(肩、胸、喉を閉める力は抜く)
先ほどマインドの項目でもお伝えしましたが、技術面でも脱力は最重要ポイントの一つです。力みがあると声帯の繊細なコントロールができなくなり、高音域で声が割れたり、音程が不安定になったりします。
高音のカギ「頭声(ヘッドボイス)」の使い方
これらの基礎をしっかり押さえた上で、高音を出す時は「頭声」を使います。裏声は特にそうです。
ヘッドボイスについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧下さい。
ヘッドボイス(頭声)の出し方と練習のコツ
頭声とは何か
低い声は胸に響くように意識しますが(これを「胸声」と言います)、高い声は頭に響かせるように発声すると、とても抜けの良いキレイな声が出やすくなります。これが「頭声(ヘッドボイス)」と呼ばれる発声です。
合唱においてトップテノールが求められる高音域では、この頭声の感覚を掴めているかどうかで声の質が大きく変わります。胸声のまま高音を出そうとすると、どうしても力みが生じてしまい、質問者の方がおっしゃるような「前に出すぎている」声になりがちです。
響かせるポイントは人によって異なる
ただし個人差がありますので、眉間辺りを意識してみたり、胸を意識してみたり、試行錯誤してみて下さい。
例えば、もともと頭に響く意識が強い方は、眉間や胸に響かせるようにした方がバランス良く響く場合があります。「頭のてっぺんから声が抜けていく」イメージが合う方もいれば、「鼻の奥に当てる」感覚がしっくりくる方もいます。
大切なのは、一つのやり方に固執せず、自分にとって最も楽に高音が出るポイントを探ることです。練習中に録音して聴き比べてみるのも非常に有効な方法です。
合唱で高音を出す具体的なボイトレ方法
上記を踏まえ、おすすめする高音の出し方・ボイトレ方法をご紹介したいと思います。
ただ、これはあくまで「確認用」として行って下さい。
実際にはこの感覚をしっかり身につける事が大事ということになります。
練習法1. イスに座って発声をしてみる
最初におすすめしたいのが、椅子に座った状態での発声練習です。
- 姿勢よくイスに座ります。
- 手は座っているイスの横に添えます。
- 高音の音になったとき、イスの座面を上に引っ張ります。
座る事により脱力がしやすくなり、高音の時に椅子の座面を上に引き上げる事により、自動的に下腹に力が入り支えが出来上がります。
その為、自然と喉を痛めずにお腹からの綺麗な声が出やすくなります。
なぜこの方法が効果的なのかというと、立った状態では下半身にも無意識に力が入りやすく、それが上半身の力みに繋がることがあるからです。座ることで下半身の力みが取れ、純粋に「お腹の支え」だけを意識しやすくなります。
練習法2. 立って身体を少し反らす
次に立った状態での練習法です。
- 姿勢よく立ちます。
- 高音の音になったら、身体を少し反らしながら出します。
(※この時、顔はあまり上を向かないように注意してください)
こちらも自然とお腹の支えが入って喉を開いた綺麗な声が出やすくなります。身体を反らすことで横隔膜が自然に下がり、深い呼吸と安定した息の支えが生まれるのです。
練習法3. リップロールで高音域をなぞる
もう一つおすすめしたいのがリップロールを使った練習です。リップロールとは、唇をブルブルと振動させながら声を出すエクササイズで、脱力した状態で音域を広げるのに非常に効果的です。
リップロールの詳しいやり方はこちらの記事をご覧下さい。
リップロール(リップトリル)のやり方と効果
リップロールが安定してできる状態は、喉に余計な力が入っていない証拠です。高音域でリップロールが途切れてしまう場合は、その音域で力みが生じているサインですので、力みを外す練習に使えます。合唱の曲のフレーズをリップロールでなぞってから実際に歌うと、脱力の感覚を維持しやすくなります。
感覚を覚えることがゴール
このようなトレーニングを繰り返し、「感覚」を覚える事が大事です。
実際にステージやカラオケで高音を発声する時だけ、のけ反ったり椅子に座って座面を持ち上げていたらおかしいですからね。
お腹の支えが分かってきたら、上記のような動作をしなくてもお腹で支えて高音を出せるようにしていきましょう。最終的にはどんな姿勢でも、どんな場面でも安定した高音が出せる状態を目指します。
合唱特有の高音の悩みとアドバイス
ここまでは高音発声の基本的な練習法をお伝えしてきましたが、合唱ならではの悩みについても少し触れておきたいと思います。
「前に出すぎている」と言われる場合
質問者の方が指摘されていた「前に出すぎている」という問題は、合唱では非常に重要なポイントです。ソロであれば声が前に出ること自体は悪いことではありませんが、合唱では全体のハーモニーに溶け込む声質が求められます。
「前に出すぎる」声の原因として考えられるのは、喉の力みによって声が硬くなっていること、そして共鳴のバランスが偏っていることです。先ほどご紹介した頭声の感覚を意識すると、声が柔らかくなり、周囲と溶け合いやすくなります。
曲の中で高音が出なくなる場合
質問者の方は「曲の中だと喉が苦しくなって余計に出ない」とおっしゃっていましたが、これはとてもよくある現象です。単音で発声練習をしている時は出る音でも、曲の流れの中では出なくなる、というケースですね。
原因はいくつかありますが、最も多いのは高音の手前で身構えてしまい、フレーズの途中から喉に力が入り始めるというパターンです。「次に高い音が来る」という意識が力みを生んでしまうのです。
対策としては、フレーズ全体を一つの流れとして捉え、高音部分だけを特別扱いしない意識を持つことが大切です。曲全体を通じて脱力を維持し、高音も低音も同じ「楽な状態」から発声する感覚を身につけて下さい。
日によって調子が違う場合
「うまく行くときは高いファくらいまでは出る」という点も気になります。日によって出る音域が大きく変わるのは、発声のフォームが安定していない証拠です。
正しいフォームが身体に染み込んでいれば、体調が多少悪くても、ある程度の音域は安定して出せるようになります。逆に、調子の良い時だけ出る音というのは、たまたま力みが少ない状態で歌えたということであり、再現性がありません。
だからこそ、先ほどお伝えした「脱力の徹底」と「基礎の反復練習」が重要なのです。
高音練習で気をつけるべき注意点
喉ではなく、お腹で支えて高音を出す。これがとても大切なことです。
基本的に正しい発声法で練習する、というスタイルを崩さずに練習してみて下さい。
間違った発声法で続けてしまうと喉を痛めるだけになってしまいますので注意して下さいね。
無理な高音は絶対に避ける
特に高校生は声帯がまだ発達途上にある場合もあります。無理に高音を出し続けると、声帯にダメージを与えてしまう可能性があります。練習中に少しでも喉に痛みや違和感を感じたら、すぐに休憩を取って下さい。
毎日少しずつ取り組む
高音域の拡張は一朝一夕にはいきません。1回の練習で長時間頑張るよりも、毎日15分〜20分程度、正しいフォームで練習を継続する方が遥かに効果的です。焦らず、少しずつ音域を広げていく意識を持って下さい。
ブラッシュボイスで高音の悩みを解決しませんか
細かいケア、指導に関してはブラッシュボイスが得意としているところでもあります。
高音の歌声の出し方について、生徒様お一人お一人に合わせた方法で丁寧にアドバイスを行っています。
合唱での高音の悩みは、一人で練習しているだけでは解決が難しいことも多いです。自分の声の状態を客観的に判断してもらい、的確なアドバイスを受けることで、練習効率は格段に上がります。
ご興味のある方はぜひお気軽にボイトレ無料体験レッスンにお越し下さい。合唱で高音が出ないというお悩みから、もっと表現力を磨きたいというご要望まで、幅広く対応させて頂いております。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木智大
