ボイトレお悩み相談室に「声が裏返ってしまう」というご相談を頂きました。なぜ高音などで声が裏返ってしまうのか。その原因と対策、克服するためのトレーニング方法についてボイストレーナーが解説します。
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【質問内容】
こんにちは。初めて質問を投稿します、24歳の女性です。
私は低い声(レからファくらいまでの1オクターブ+3音)を出す方が得意で、中音や高音を苦手としています。
自分の中での鬼門は、A(ラ)の音です。
1ヶ月ほど前よりボイトレを始めた為か、地声でラ♭までは何とか出せるようになりましたが、
ラやシ♭になると、声が裏返ってしまいます。
(ラ~~~レ♭~~~というように。裏返った声は大抵がファルセットです)
カラオケで歌うときも結構な頻度で高音が裏返るのですが、
採点ではなぜか「こぶし」と判断され、「違うよ、今のは声が裏返ったんだよ」と不思議な気持ちになります。
私はこの「声の裏返り」を一番のネックに感じており、是非とも克服したいと思っています。
しかし、喉に余計な力を加えないように、また息をしっかり吸ってお腹でコントロールすることをしても、なかなか声の裏返りは克服できません。
歌を聴く方は声の裏返りは雑音や不快に感じるでしょうし、
自分でも自分の声の裏返りが許せません。
声が裏返らないように歌うには、どのような喉の使い方や歌い方、練習、意識の仕方などがありますでしょうか。
御回答頂けますと幸いです。宜しくお願い致します。
【回答 1】
ご回答が遅くなってしまいました。
すみません。
その代わりと言っては何ですが詳しくご回答させて頂きます。
声がひっくり返る
声がひっくり返るのは『A』という事ですがこれは『A4』という事でしょうか。
多分そうだろうなと思います。
音域の説明を相手にする場合はどのオクターブの話をしているかを説明しないと分からないので、数値をつけると良いでしょう。
さて。
声がひっくり返るのは直すのが大変なのですが、このyoutubeで歌ってる男性も昔は声が低い声しか出ず、高くなるとすぐに裏返っていました。
(勿論まだ荒い所はありますが)
しかし、彼は見事に成長し、結果から言って克服出来ました。
地声も裏声もキチンと出せる様になりました。
その際のレクチャー方法をお伝えしたいと思います。
まず、
①『息の量を減らす』
これは何かと言いますと、ドライな声を出す様に指導しました。
ドライな声とは息の量を減らした発声をするという事です。
例えば、悪い例ではため息に声を乗せると篭った様な質感になりますが、ミスチルの桜井氏の様な声の質感にはそれがありません(男性の例えで恐縮です)。
それ故、桜井氏などは地声と裏声の差がはっきりします。
なぜなら地声は息の量を少なく、裏声は息の量がやや多くないとそもそも発声出来ないので、必然的に声の出し方が変わるのです。
また息の量を少なくした地声は高音まで伸びます。
息の量を少なくするメリットは地声が高音まで出る事にあります。
次です。
②『喉を十分に開く』
女性の場合ですと、喉が十分に開いていない事が考えられます。
鏡に向って口を開けて喉の奥を確認してみて下さい。
舌が上がっていませんか?
で、喉の奥と舌がくっついていませんか?
またはくっつくギリギリか。
もしくは空間が狭すぎないか。
それらを「あーー」の発声で確かめてみて下さい。
その結果、喉が閉まっている場合は開く様に工夫してみて下さい。
以下は「あーー」の発声の場合の喉の開き方です。
A:舌の先端を下の歯に付ける。
B:発声時舌が平らな状態をキープして喉の奥が常に見える様にする。
ざっくり方法を言えば上記AとBをクリアーすれば喉は開きます。
「えーー」など「あーー」とは別の発声の場合は舌のポジションの状態も変わります。
その際には「あーー」を基本に考えて力の抜き具合や喉の開き方を研究してみると良いでしょう。
基準は「あーー」です。
本当にざっくりになってしまいますが、声をひっくり返らない様にするには①と②を実践される事をオススメしたいと思います。
多分、どちらかが出来ていないか、どちらも出来ていないかという状態だと思います。
口頭でのボイトレになりますからちょっと解り辛いと思いますが、何とか上手く理解してやってみて頂けないでしょうか。
喉を開くことを覚えるのは大切です。こちらのページも参考にして下さい。
ボイストレーニングの「喉を開く」とは。コツや方法をご紹介。
高音の出し方やお悩み改善(高音が出ない かすれる 裏返る など)についてはこちらのページもご確認下さい。
高音(高い声)を出すためのボイストレーニング(地声 裏声 ミックスボイス)
【回答 2】声が裏返る原因と解決方法
こんにちは。
ブラッシュボイス 関東代表ボイストレーナーの鈴木智大です。
ご質問ありがとうございます。
早速回答させて頂きます。
声が裏返る原因が幾つかありますので、その原因と解決策をお伝えしていきたいと思います。また、声や喉は個人差があるため、ご質問者様の状態と正確に合っていない場合もあり、解決に至らない場合もございます。ご了承下さい。
声が裏返る原因
- 呼吸が不安定
- 発声時の身体を上手に使いこなせていない
- 喉を閉めてしまっている
- 声帯の閉鎖が弱い
- 変声期で声帯が不安定、または声帯に異変が起こり不安定になっている
などが挙げられます。
一つずつ解説いたします。
①呼吸が不安定
歌っている時、話している時、息が安定しなければ声も当然安定しません。
ですので呼吸が不安定になることで、発声自体が不安定になり、音程も不安定になるのです。
呼吸を安定させるためにはロングブレスを行います。
腹式呼吸でたくさん息を吸って、歯と歯の間から「すー」と息の音を出しながらまっすぐ、ブラさずに一定に吐き続けるトレーニングをしましょう。
出来れば45秒以上できるようにすると良いです。
②発声時の身体を上手に使いこなせていない。
これは主にお腹、肩、胸、アゴの状態についてです。
正しい発声とは、体全体をバランス良く使えていなければなりません。
どこか一方に集中し過ぎて、他を疎かにしてしまうということが無いようにしなければならないため、慣れるまで難しいです。
全身を脱力し ⇒ 喉を開きながら腹式呼吸で息を吸い ⇒ お腹を意識しながら発声する。
この際、改めて肩や胸やアゴに余計な力が入っていないかを確認して下さい。
③喉を閉めてしまっている
声帯で声が作られてから口の外へ声が出るまでの距離は、個人差はあるものの大体10センチ前後です。
その短い道のりで通り過ぎる箇所と言えば、喉、口の中です。
そしてその周りで動かせる部分と言えば、喉の筋肉と舌です。
要するに、舌を正しい位置に置き、適切に喉を開くことで声も安定します。
例えば母音の「あ」を例にすると、舌は力を入れず、舌の先端を下歯の裏側へ自然に付くように置きます。
そして舌は盛り上がったりせずに自然な状態にします。
喉は適度に欠伸をする時のように開きます。
すると、息を吐く上での障害物がほとんど無くなります。
障害物が無くなると息もまっすぐに出ますし、声もまっすぐに出ます。
④声帯の閉鎖が弱い
声が出ている時は、2本の割り箸のような声帯がくっつき、閉じている状態です。
この声帯の閉鎖が行われないと、かすれ声になります。
ですから風邪や声帯結節の方は声帯がうまく閉じずにかすれ声になるのです。
声を出している時に声帯が閉鎖するのであれば、
「声帯を閉鎖するトレーニング」=「発声トレーニング」を定期的に行う必要があります。
腹式呼吸や喉の使い方等の基礎を抑えた上で発声トレーニングを行う事で、声帯に負担をかけずに声帯を鍛えることができます。
声を出し慣れていない方は、どんなに正しく発声したとしても、最初は喉が慣れず披露したり声がかすれたりします。
初期にこのような症状になったとしても悪いことではありませんのでご安心下さい。
継続することで声帯も声も強くなるのです。
⑤変声期で声帯が不安定、または声帯に異変が起こり不安定になっている
これらは医学的な原因ですので、ボイトレによって改善することはできません。
ただし、変声期でもボイトレ自体は行っても問題ありませんが、声帯に変化が起こっている時期ですので、お医者さんと相談の上行うようにしましょう。
また、声帯に何かしらの炎症や出来物が出来ている可能性も否めませんので、耳鼻咽喉科の医師に相談して状況を確認して貰うと良いです。
ブラッシュボイスのボイトレ
以上5項目ご紹介させていただきました。
思い当たる原因はありましたか?もし医学的な問題でない場合は、ボイトレで改善できることがほとんどですので、一度ボイトレ無料体験レッスンにお越しいただけたら幸いです。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木智大