皆さん、こんにちは。
ブラッシュボイス、ボイストレーナーの青木亮です。
本日はMr.Children/桜井和寿さんの歌い方について、ボイストレーニングの観点から詳しく検証してみようと思います。
Mr.Childrenといえば、日本の音楽シーンにおいて確固たる地位を築いてきたバンドです。
そのフロントマンである桜井和寿さんの歌い方は、一聴すると自由奔放に聴こえるかもしれませんが、実はボイストレーニング的に見ると非常に高い技術に裏打ちされたものです。
今回はその魅力と技術を一つひとつ紐解いていきたいと思います。
Mr.Children/桜井和寿さんとは
Mr.Children/桜井和寿さんといえば、歌い方うんぬんの前にクリエイターとしても非常に評価が高いアーティストです。
小室哲哉氏全盛期のサウンド時代にMr.Childrenというバンドで切り込んできた印象があります。
当時の「名もなき詩」などは爆発的に売れまして、Mr.Children/桜井和寿・・・別に好きじゃないけど、流行に乗り遅れるから一枚買ったという人もいたぐらいでした。
あの頃はまだCDで音楽を聴いていた時代ですが、つい最近のように感じます。
そこから30年以上経った今もなお第一線で活躍し続けているというのは、桜井和寿さんの歌い方やMr.Childrenの楽曲が本物である証拠でしょう。
桜井和寿さんの歌い方をボイストレーニング的に分析
さて、ここからが本題です。
Mr.Children/桜井和寿さんの歌い方について、ボイストレーニング的な面から分析していきましょう。
世間的には「なんとなく感覚で歌っている」ように見えるかもしれませんが、桜井和寿さんの歌い方は腹式呼吸がしっかりできていないと絶対に真似できないものです。
Mr.Childrenの楽曲は一曲のレンジ(音域)が非常に広いですから、腹式呼吸に基づく発声ができていないと高い声を安定して出し続けることができません。
また、桜井和寿さんの年齢を考えても、基礎をしっかりマスターしていないとあれだけのパフォーマンスを長年維持するのは難しいでしょう。
つまり、桜井さんはボイストレーニングの面において基本がしっかりできている――これはもう結論です。
腹式呼吸と桜井和寿さんの発声の関係
桜井和寿さんの歌い方を支えている根幹が腹式呼吸です。
腹式呼吸とは、横隔膜を使ってお腹の深い部分から息を支える呼吸法のことです。
この呼吸法が身についていると、声の土台がしっかりするため、高音域でも安定した発声が可能になります。
Mr.Childrenの楽曲では、サビで一気に高音に駆け上がるフレーズが多いですが、桜井和寿さんはそれを軽々とこなしているように聴こえます。
あの「軽さ」こそが腹式呼吸による息の支えがあってこその技術なのです。
胸式呼吸のままだと高音域で喉に力が入り、あのような自然体の歌い方にはなりません。
発声における脱力の重要性については、以下の記事でも詳しく解説しています。
脱力と発声について
桜井和寿さんの歌い方の特徴
桜井和寿さんは基本ができているうえで、非常に独特な歌い方の個性を持っています。
私の思う特徴は大きく分けて二つです。
特徴1:「わざと音を外す」テクニック
まず一つ目は、「わざと音を外す」という点です。
これは桜井和寿さんの歌い方の中でも特に特徴的な部分だと思います。
わざと音を外すことによって、乱暴に歌っている感じをリスナーに印象付ける。
音程(ピッチ)を正確に取ることができるボーカリストの歌をリスナーが聴くと、「歌がお上手ですね」で済んでしまう部分があります。
ある種の「きれいすぎる歌」は若干興味を削いでしまう面があるのです。
敢えてそう思わせないために、ピッチを意図的に外すということをやってしまうのが桜井和寿さんの歌い方のすごい部分ですね、私的には。
これは音程が取れない人がたまたま外しているのとは根本的に違います。
正確に歌える技術があったうえで、あえて崩すからこそ「味」として成立するのです。
わざと音を外す効果とは
この「わざと外す」テクニックには、いくつかの効果があります。
まず、感情表現としてのリアリティが増します。
完璧なピッチで歌われた楽曲よりも、少しブレや揺らぎがあるほうが「人間味」を感じやすいものです。
桜井和寿さんの歌い方がリスナーの心に深く刺さるのは、この人間味が大きく関係しているでしょう。
次に、楽曲の世界観への没入感が生まれます。
Mr.Childrenの歌詞は日常の葛藤や感情の揺れを描くものが多いですが、完璧すぎる歌い方では歌詞の世界と歌声にギャップが出てしまいます。
あえてピッチを揺らすことで、歌詞の情感と歌声が一体になっているのです。
ただし、ここで注意したいのは、ボイストレーニングの段階ではまず正確な音程を取れるようにすることが大前提だという点です。
基礎ができていない状態で「わざと外す」ことはできません。
まずは正確なピッチコントロールを身につけてから、その先の表現として取り入れるものと考えてください。
特徴2:「声がとことん抜ける」発声
二つ目の特徴は、「声がとことん抜ける」という点です。
「抜ける」というのはマイクに乗りやすい発声のことを指します。
マイクに乗りやすいということは、声に対して息をあまり使っていないということでもあります。
ですから、桜井和寿さんのあの特徴的な甲高い声質は、極端に息の量を減らしたものであると断言できます。
これは実はステージなどでも喉に負担がかからないことでもあるのです。
長年にわたってライブ活動を続けられている一因もここにあると考えます。
声が「抜ける」とはどういうことか
声が「抜ける」という感覚は、ボイストレーニングにおいて非常に重要な概念です。
簡単にいえば、必要最小限の息の量で最大限の声の響きを得ている状態を指します。
多くの方は「大きな声を出そう」とするとき、息を大量に使ってしまいがちです。
しかし、息の量が多すぎると声が拡散してしまい、かえってマイクに乗りにくくなります。
桜井和寿さんはこの「息の量のコントロール」が非常に巧みです。
この抜ける声には、もう一つ大きなメリットがあります。
声が抜けるとリスナーとの距離感が一気に縮まり、親近感を生む特性があるのです。
Mr.Childrenの楽曲が多くの人に愛される理由の一つに、桜井和寿さんの声が持つこの親近感があるのではないでしょうか。
ポップスにおいては、この「抜け感」は非常に有利に働くと考えます。
声の抜けを良くするためのポイント
声の抜けを良くしたいと思われる方は、まず以下の点を意識してみてください。
1. 息の量を減らす意識を持つ
声を出すときに息を吐きすぎていないかチェックしましょう。
手のひらを口の前に置いて発声したとき、息の風圧が強すぎる場合は息を使いすぎている可能性があります。
2. 喉を開く
喉が締まった状態では声が詰まってしまいます。
あくびをするときの喉の開き具合をイメージすると良いでしょう。
3. 声の響きを前に集める
鼻腔や口腔の前側で声が響く感覚を掴むことが大切です。
声が前に出る感覚が身につくと、少ない息でもよく通る声になっていきます。
桜井和寿さんの高音域の出し方
Mr.Childrenの楽曲は高音域を多用するものが多いです。
「HANABI」「Sign」「Tomorrow never knows」など、サビでの高音のフレーズが印象的な曲がたくさんありますよね。
桜井和寿さんの高音の出し方にはいくつかの特徴があります。
地声と裏声の切り替え
桜井和寿さんは地声から裏声への切り替えが非常にスムーズです。
一般的に、地声から裏声に移行する際に「ガクッ」と声が途切れてしまう方が多いのですが、桜井和寿さんの場合はそのつなぎ目がほとんどわかりません。
これはミックスボイスという歌唱方法に近いアプローチとも言えます。
ミックスボイスとは地声と裏声を滑らかにつなぐ歌唱方法で、高音域でも地声のような力強さを保ちながら歌うことができます。
桜井和寿さんの歌い方では、この地声と裏声の境目をあえて曖昧にすることで、楽曲の流れを途切れさせない技術が光っています。
高音でも力まない発声
桜井和寿さんの高音域の歌い方で特筆すべきは、高音でも力んでいないように聴こえるという点です。
これは先ほど述べた腹式呼吸による息の支えと、声の抜けの良さが合わさった結果です。
高い声を出そうとすると、多くの方は喉に力を入れてしまいます。
しかし喉に力を入れてしまうと、声が硬くなり、伸びやかさが失われてしまいます。
桜井和寿さんは高音域でも喉周辺の脱力ができているため、あの伸びやかで透明感のある高音が実現しているのです。
脱力して歌うことの重要性は脱力と発声についての記事でも詳しく触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
Mr.Childrenの楽曲を歌うためのボイトレポイント
ここからは、実際にMr.Childrenの楽曲を歌いたいという方に向けて、ボイストレーニング的なアドバイスをお伝えします。
まずは腹式呼吸を徹底する
Mr.Childrenの楽曲を歌ううえで、最も基本となるのが腹式呼吸です。
桜井和寿さんの歌い方の土台は腹式呼吸にありますので、ここを疎かにしては先に進めません。
腹式呼吸の練習方法としては、仰向けに寝た状態でお腹に手を当て、息を吸ったときにお腹が膨らむことを確認する方法がおすすめです。
立った状態でも同じ感覚を再現できるようになるまで、繰り返し練習しましょう。
声のレンジを広げる
Mr.Childrenの楽曲は音域が広いものが多いため、声のレンジ(音域)を広げるトレーニングが必要です。
ただし、無理に高い声を出そうとして喉を痛めてしまっては本末転倒です。
まずは自分が楽に出せる音域を把握し、そこから少しずつ上下に広げていくことが大切です。
スケール練習(ドレミファソラシドを上下に歌う練習)を毎日少しずつ行うことで、無理なくレンジを広げていくことができます。
ビブラートを身につける
桜井和寿さんの歌い方には、フレーズの語尾に自然なビブラートがかかる部分があります。
このビブラートは声に深みと表現力を加えてくれる重要な技術です。
ビブラートの練習方法についてはビブラートのかけ方の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
無理にかけるのではなく、リラックスした状態で自然に揺れるビブラートを目指すことがポイントです。
感情表現を大切にする
Mr.Childrenの楽曲の魅力は、桜井和寿さんの感情表現にあります。
テクニックだけを追い求めても、桜井和寿さんのような歌い方にはなりません。
歌詞の意味を深く理解し、そのフレーズでどんな感情を伝えたいのかを考えながら歌うことが重要です。
先ほど述べた「わざと音を外す」テクニックも、感情表現の延長線上にあるものです。
技術と感情の両方が揃ってこそ、リスナーの心に響く歌い方になるのだと思います。
桜井和寿さんの歌い方から学べること
桜井和寿さんの歌い方を分析してきましたが、ここから学べることは多いです。
基礎があっての個性
桜井和寿さんの歌い方は一見すると「型破り」に見えます。
しかし実際には、しっかりとした基礎の上に個性が成り立っているのです。
ボイストレーニングにおいても、まずは基礎をしっかり固めることが大切です。
腹式呼吸、正しい発声、音程のコントロール――これらの基礎があってこそ、自分だけの歌い方を見つけることができます。
基礎を飛ばして個性を出そうとしても、それは単なる「クセ」になってしまいがちです。
引き算の美学
桜井和寿さんの歌い方で学ぶべきもう一つの点は、「引き算の美学」です。
声の抜けの良さも、息の量を「減らす」ことで実現しています。
あれもこれもと詰め込むのではなく、必要なものだけを残す――この考え方はボイストレーニングにおいても非常に重要です。
力を抜くこと、息の量を減らすこと、完璧を求めすぎないこと。
桜井和寿さんの歌い方には、そうした「引き算」の発想が随所に見られます。
Mr.Childrenの歌い方に挑戦したい方へ
Mr.Children/桜井和寿さんの歌い方は、基礎がしっかりしたうえでの個性的な表現が魅力です。
独学で真似しようとしても、どうしても「なんか違う」という壁にぶつかることが多いかもしれません。
それは、桜井和寿さんの歌い方の根底にある腹式呼吸や声の抜け感といった基礎的な発声技術が身についていないことが原因であることが多いです。
基礎は一人ではなかなか正しく身につけるのが難しいものですので、プロのボイストレーナーに客観的に見てもらうのが上達への近道です。
ブラッシュボイスではボイトレ無料体験レッスンを実施しています。
Mr.Childrenの曲を上手に歌いたい方や、桜井和寿さんのような表現力のある歌い方を目指したい方は、ぜひお気軽にお試しください。
まとめ
以上、Mr.Children/桜井和寿さんの歌い方についてボイストレーニング的な観点から考察してきました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
・桜井和寿さんは腹式呼吸をベースとした基礎がしっかりしている
・「わざと音を外す」ことで感情表現とリアリティを生み出している
・「声の抜け」が良く、少ない息で響く声を実現している
・地声と裏声の切り替えがスムーズで、高音域でも力まない
・基礎の上に個性が成り立つという、ボイトレの本質を体現している
あくまでも「歌い方」という点での考察です。
本当は私もクリエイターの端くれですので、もっと別のこともMr.Childrenについては書いてみたいのですが、それはまた別の機会にしたいと思います(ここはボイストレーニングのブログの場なので)。
それではまた。
株式会社ブラッシュボイス
ボイストレーナー/青木 亮

