こんにちは。ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの鈴木智大です。
今回はデスボイスの出し方やコツについて詳しくお話ししていきます。
「デスボイスに挑戦してみたいけど、やり方が分からない」「喉を傷めそうで怖い」という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、グロウルとスクリームの違いから具体的な練習方法、よくある失敗とその対策、そして喉のケア方法まで、段階的に解説していきます。
デスボイスは確かに喉への負担が大きい発声ですが、正しいアプローチを知っておくことで、リスクを最小限に抑えながら練習に取り組むことができます。
ぜひ最後まで読んでみて下さい。
デスボイスとは?
デスボイスとは、「悪魔の声」とも呼ばれる、歪んだダミ声のような発声のことです。
メタル、デスメタル、ハードコアといったジャンルを中心に使われており、楽曲に激しさや重厚感、独特の世界観を加える表現技法として知られています。
通常の歌声とは全く異なる響きを持つため、初めて聴く方は驚かれるかもしれませんが、実はきちんとした技術に基づいた発声方法です。
力任せに叫んでいるように聞こえるかもしれませんが、上手なボーカリストほど効率的な身体の使い方をしています。
グロウルとスクリームの違い
デスボイスは大きく分けて「グロウル」と「スクリーム」の2種類に分類されます。
一般的に「デスボイス」と言うとグロウルを指すことが多いですが、それぞれ特徴が異なります。
グロウル(Growl)は、低音域を中心とした太く唸るような声です。
英語で「唸り声」を意味する通り、地を這うような重厚で暗い響きが特徴です。
デスメタルやブルータルデスメタルなどで多く用いられ、楽曲にヘヴィな迫力を与えます。
スクリーム(Scream)は、中〜高音域を中心とした鋭く叫ぶような声です。
グロウルと比べると金属的で攻撃的な響きを持ち、ブラックメタルやメタルコアなどでよく使われます。
「シャウト」に近い印象を受ける方もいるかもしれませんが、スクリームはより歪みが強く、持続的に出す点が特徴です。
基本的な発声の仕組みは共通しているため、この記事では両方に共通する出し方をベースに解説していきます。
デスボイスの出し方・コツ
ここからはデスボイスの具体的な出し方をお伝えしていきます。
いきなり完成形を目指すのではなく、段階的に感覚を掴んでいくことが大切です。
ステップ1:チェストボイスの響きを確認する
デスボイスの土台となるのはチェストボイス(胸声)の響きです。
まずは自分の楽な低音域で「あーー」としっかり胸に響かせる声を出してみましょう。
胸に手を当てて、振動を感じられればOKです。
この胸に響く感覚をしっかり覚えておいて下さい。デスボイスでは、音域が上がってもこのチェストボイスの共鳴ポイントを維持することがとても重要になります。
ステップ2:息の量と勢いを増やす
チェストボイスの響きが掴めたら、次は吐く息の量と勢いを大きく増やして発声してみましょう。
通常の歌声よりもかなり多めの息を、勢いよく流すイメージです。
息が少なすぎると通常のきれいな声になってしまい、歪みが生まれません。
「お腹の底から一気に息を押し出す」くらいの感覚で試してみて下さい。
このとき腹筋にしっかり力が入っている感覚があれば、正しい方向に進んでいます。
ステップ3:声を歪ませる
チェストボイスの響き+強い呼気が合わさると、声に少しずつ歪みが加わってきます。
ここで意識してほしいのは、喉を適度に開いた状態を保つことです。
喉の開き具合が非常に重要なポイントで、閉じすぎるとクリアな声になってしまいますし、開きすぎると息が抜けてしまってうまく歪みません。
あくびをする直前くらいの喉の開き方をベースにしながら、歪みが出るちょうど良いポイントを探ってみて下さい。
ステップ4:音域を広げていく
低音域で歪みの感覚が掴めたら、少しずつ音域を上げていきましょう。
音程が上がっても、共鳴ポイントはチェストボイスのまま維持することがコツです。
音が上がるにつれて響きが頭の方に移ってしまいがちですが、意識的に胸の響きをキープすることで、デスボイスらしい太さのある歪みを保つことができます。
低いグロウルから始めて、徐々にスクリーム寄りの高い音域に挑戦していくのが安全な進め方です。
具体的な練習方法
ここでは段階的に取り組める練習メニューをご紹介します。
焦らず、一つずつ確実にこなしていきましょう。
練習1:呼気のコントロール
まずは声を出さずに、強く勢いのある息だけを吐く練習をします。
お腹に力を入れて「ハーッ!」と短く強い息を何度か出してみて下さい。
この呼気の強さが、デスボイスを生み出す原動力になります。
慣れてきたら、短い息から徐々に長く持続できるように練習していきます。
5秒、10秒と安定して強い息を吐き続けられるようになると、実際にデスボイスを出す際の息のコントロールが格段に楽になります。
練習2:低音のグロウルから始める
自分が最も楽に出せる低い音域で、チェストボイス+強い呼気を組み合わせて声を出してみましょう。
最初は「ア」や「オ」など、口を大きく開ける母音が出しやすいです。
短い音(1〜2秒)から始めて、徐々に伸ばしていくのがおすすめです。
最初から長時間やらないことを強く意識して下さい。1回の練習は5〜10分程度にとどめ、喉の状態を確認しながら進めましょう。
練習3:楽曲に合わせて実践する
ある程度デスボイスの感覚が掴めてきたら、実際の楽曲に合わせて練習してみましょう。
最初はテンポがゆっくりで、デスボイスのパートが短い曲を選ぶと取り組みやすいです。
いきなり難易度の高い曲に挑戦すると、無理な力みにつながりやすいので注意して下さい。
お気に入りのアーティストの曲を少しずつ真似していくことで、自分なりのデスボイスが磨かれていきます。
よくある失敗と対策
デスボイスの練習でつまずきやすいポイントと、その対策をまとめました。
失敗1:ただの叫び声になってしまう
力任せに大声で叫んでいるだけでは、デスボイスにはなりません。
声帯を締め上げるのではなく、息の勢いで歪みを生み出すという意識が大切です。
喉を力ませるのではなく、呼気の圧力で声を歪ませる感覚を探ってみて下さい。
失敗2:息が足りずに普通の声になる
デスボイスには通常の歌声よりもはるかに多くの息が必要です。
息の量が足りないと、いくら頑張っても歪みが生まれず、普通の声や小さな声になってしまいます。
腹式呼吸をしっかり使い、お腹から押し出すように息を流すことを意識しましょう。
失敗3:喉が痛くなる
練習中に喉の痛みを感じたら、すぐに練習を中止して下さい。
痛みがあるということは、発声のバランスが崩れている可能性が高いです。
正しいデスボイスは「喉が少し疲れる」程度の感覚で、鋭い痛みを伴うものではありません。
痛みが続く場合は無理をせず、専門のボイストレーナーに相談されることをおすすめします。
喉のケア・注意点
デスボイスは他の発声と比較して喉への負担が大きい発声です。
ボイストレーニングの現場では基本的にあまりおすすめしていませんし、むしろやらない方が良いとお伝えすることもあります。
しかし、表現として取り入れたいと考える方も多いと思いますので、練習に取り組む際は以下のケアを徹底して下さい。
練習前のケア
喉が潤った状態で練習を始めることがとても重要です。
練習前に常温の水をしっかり飲み、喉の粘膜を潤しておきましょう。冷たい水よりも常温〜ぬるめの水が喉に優しいです。
また、いきなりデスボイスから始めるのではなく、通常の発声練習でウォームアップをしてから取り組むようにして下さい。
練習中の注意点
- 喉の痛みや違和感を感じたら即座に練習を中止すること
- 出しやすい音域から始め、無理に高音・低音を攻めない
- 1回の練習時間は短めに設定し、こまめに休憩を入れる
- 練習中もこまめに水分補給を行う
練習後のケア
練習後は喉をしっかり休めることが大切です。
温かいレモンティーやはちみつ入りのお湯など、ビタミンCが摂れる飲み物で喉を労わりましょう。
練習後すぐに大声を出したり、長時間話し続けたりするのは避けて下さい。
また、デスボイスだけでなく通常の発声トレーニングも日常的に行うことを強くおすすめします。
通常の発声がしっかりできていることが、デスボイスを安全に出すための土台になります。
デスボイスが使われる音楽ジャンルとアーティスト
デスボイスは様々なジャンルで表現技法として使われています。
どんな場面で使われるのかを知ることで、練習のモチベーションや目標設定にもつながるでしょう。
主なジャンル
- デスメタル:グロウルを中心に、重く激しいサウンドが特徴
- ブラックメタル:高音のスクリームが多用され、冷たく荒涼とした世界観を演出
- メタルコア・デスコア:クリーンボイスとデスボイスを曲中で切り替えるスタイルが主流
- ハードコア:シャウトに近いデスボイスが使われることも多い
参考になるアーティスト例
海外ではCannibal Corpse(グロウルの代表格)、Arch Enemy(メロディックなデスボイス)、Bring Me The Horizon(多彩なボーカルスタイル)などが有名です。
日本国内では、DIR EN GREYの京さんが多彩なデスボイスを駆使するボーカリストとして広く知られています。
好きなアーティストの歌い方をよく聴き込んで、歪みの質感や息の使い方を観察することも良い練習になります。
まとめ
デスボイスの出し方のポイントをまとめると、以下の通りです。
- デスボイスにはグロウル(低音・太い歪み)とスクリーム(高音・鋭い歪み)の2種類がある
- 出し方の基本はチェストボイスの響き+勢いのある強い呼気
- 喉の開き具合と息の勢いのバランスが最も重要
- 低音域から始めて、段階的に音域を広げていく
- 喉への負担が大きいため、ケアを怠らないこと
デスボイスは練習段階ではとにかく喉への負担が大きいので、なるべく負担がかからない状態で歪ませられるようにすることを目標に練習して下さい。
独学では発声のバランスを崩しやすい分野でもありますので、不安な方はプロのトレーナーに見てもらうのが安心です。
ボイストレーニングでお悩みの方は、ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンにお越し下さい。
デスボイスに限らず、あなたの声の特徴や課題に合わせたトレーニングをご提案させて頂きます。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木 智大
