こんにちは。
ブラッシュボイス 関東代表トレーナーの鈴木智大です。
今回はTBS系火曜ドラマ「中学聖日記」の主題歌として大きな話題を呼んだ、Uruさんの『プロローグ』の歌い方についてボイトレの観点から解説していきます。
この曲はUruさんならではの透明感あふれる歌声が印象的で、聴いていると一見シンプルに聴こえるかもしれません。しかし実際に歌ってみると、息の使い方やビブラートの加減、裏声と地声の切り替えなど、さまざまなテクニックが求められる楽曲です。
ここでは各セクションごとのポイントを整理しながら、具体的な練習のコツまでお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
Uru「プロローグ」の特徴と難しさ
『プロローグ』は全体的に柔らかく繊細な歌声で構成されている楽曲です。Uruさんの持ち味である透き通った声質が存分に活かされており、聴く人の心に静かに染み込んでくるような魅力があります。
しかし、この「柔らかさ」を再現するのは決して簡単ではありません。力を抜いて歌おうとすると声が不安定になったり、逆に力みすぎると曲の世界観を壊してしまったりと、パワーバランスのコントロールがとても重要になります。
また、Aメロ・Bメロ・サビと進むにつれてダイナミクス(強弱の幅)が大きく変化していく構成になっているため、セクションごとの歌い分けがこの曲を上手く歌い上げるための大きなカギとなります。
Aメロの歌い方|息を混ぜた柔らかい声づくり
『プロローグ』のAメロは、とても優しく静かに歌い始めるのがポイントです。
ボリューム的にも話し声よりも小さな声で、少々息を混ぜるようなパワーバランスで歌っています。
この「息を混ぜる」という感覚は、いわゆるウィスパーボイスと呼ばれる歌唱方法に近いニュアンスです。完全な息声にするのではなく、声帯を軽く合わせた状態で息の成分を多めに含ませるイメージを持ってみてください。
具体的な練習としては、まず普通に発声した状態から徐々に声量を落としていき、息の割合を増やしていく練習が効果的です。このとき注意したいのは、喉を締めて声量を落とすのではなく、息の流れはしっかり保ったまま声帯の合わせ具合だけを調整するという点です。
喉を締めてしまうと苦しそうな声になりますし、フレーズの途中で息が続かなくなってしまう原因にもなります。リラックスした状態で息を流しながら、声に「そっと触れる」くらいの感覚で歌い出してみましょう。
Bメロの歌い方|Aメロからスムーズにつなぐコツ
Bメロに差し掛かると音程も徐々に上がっていき、裏声も混ぜていく場面が出てきます。ここで大切なのは、極端に声色を変えずAメロからスムーズにつなぐように歌うことです。
Uruさんは元々声質が柔らかい方なので裏声と地声の境目が目立ちにくいという特徴がありますが、これを再現するためには地声と裏声を滑らかに行き来する技術が必要になります。
ミックスボイスと呼ばれる歌唱方法を意識すると、地声から裏声への移行がスムーズになりやすいです。地声の響きを保ったまま徐々に裏声の要素を混ぜていく感覚で、声の「切り替えポイント」をできるだけ目立たなくすることを意識してみてください。
練習のポイントとしては、BメロとAメロの境目だけを繰り返し歌ってみることをおすすめします。Aメロ最後のフレーズからBメロの冒頭にかけて、声の質感やボリュームが急に変わっていないかを録音して確認すると効果的です。
サビの歌い方|力強さと滑らかさの両立
サビではいよいよ表声で力強く、大きく伸びやかに歌い上げていきます。
サビの高音に関してはボリュームも大きくパワーを込めて歌い込んでOKですが、フレーズを滑らかに運んでいくことを忘れないようにしましょう。
「力強く歌う」と聞くとつい全力で声を出したくなりますが、この曲のサビで求められるのは「叫ぶような力強さ」ではなく「伸びやかな力強さ」です。声を張り上げるのではなく、しっかりとした息の支えの上に声を乗せて遠くへ飛ばすようなイメージを持つと、Uruさんのような伸びやかな高音に近づきやすくなります。
また、サビのフレーズは一つひとつの音をぶつ切りにせず、フレーズ全体を一つの流れとして歌うことが大切です。音と音のつなぎ目をなめらかにすることで、とてもまとまった歌になります。
高音の出し方やお悩み改善(高音が出ない・かすれる・裏返るなど)についてはこちらのページもご確認ください。
高音(高い声)を出すためのボイストレーニング(地声 裏声 ミックスボイス)
ビブラートの使い分け|セクション別のポイント
『プロローグ』を歌う上で、ビブラートの使い分けは非常に重要なポイントです。セクションごとにビブラートの入れ方を変えることで、曲全体の表現に大きな奥行きが生まれます。
Aメロ:ビブラートを控えてストレートに
Aメロはつぶやくように優しく歌っていく部分ですので、あまりビブラートは入れず語尾はまっすぐ伸ばす方がより世界観が伝わりやすくなります。
Aメロ部分で毎回ビブラートを入れてしまうと、スタートから華やかになり過ぎてしまい雰囲気が壊れてしまう可能性があります。静かで繊細なAメロだからこそ、ストレートな伸ばし方でUruさんの透明感を再現していきましょう。
語尾をまっすぐ安定させるコツについては、こちらの記事も参考になります。
語尾の安定についてのボイストレーニング
Bメロ〜サビ:徐々にビブラートを混ぜていく
Bメロからサビに掛けては少しずつビブラートを混ぜていき、華やかさをプラスしていくと全体的に大きな表現につながります。
ここで意識したいのは「少しずつ」という点です。Bメロの前半はまだ控えめに、後半からサビにかけて徐々にビブラートの幅や速さを増していくイメージで歌うと、曲全体のダイナミクスが自然に表現できます。
ビブラートのやり方・かけ方やお悩み改善(かけられない・できない・小刻み/ゆるやかなどの表現ができないなど)についてはこちらのページもご確認ください。
ビブラートのやり方・かけ方、その練習方法やコツ まとめ
サビの裏声切り替え|スムーズに行き来するための練習法
サビになると裏声が頻繁に出てきます。ここで難しいのは、地声から裏声、裏声から地声への行き来を瞬時に切り替えられるかどうかという点です。
すぐにできる方もいるかもしれませんが、慣れないとこの切り替え自体で声が安定しない方も多いです。特に『プロローグ』のサビでは、地声と裏声の切り替えが短いフレーズの中で何度も発生するため、一つひとつの切り替えに時間がかかっていると歌全体のリズムが崩れてしまいます。
部分練習のすすめ
このような特殊な箇所は、抜粋して部分練習を反復することを強くおすすめします。具体的には以下のような手順で練習してみてください。
まず、地声から裏声に切り替わるフレーズだけを取り出して、ゆっくりしたテンポで繰り返します。切り替えがスムーズにできるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう。
次に、裏声から地声に戻るフレーズも同様に練習します。戻るときに声が「ガクッ」と変わってしまう場合は、裏声の状態から少しずつ地声の要素を混ぜていく感覚で練習すると改善しやすいです。
最終的に、切り替えを含むサビのフレーズを通して歌い、録音で確認してみてください。切り替えポイントが目立たなくなっていれば、かなり上達している証拠です。
裏声・ファルセットの出し方やお悩み改善(かすれる・声量UP・換声点)についてはこちらのページもご確認ください。
裏声・ファルセットの出し方・コツや練習方法
「プロローグ」全体の表現力を高めるために
ここまでセクション別のポイントをお伝えしてきましたが、最後に曲全体を通して意識していただきたいことをまとめます。
ダイナミクスの設計を意識する
『プロローグ』は、静かなAメロからサビに向かって徐々に盛り上がっていく構成です。この「徐々に」という部分がとても大切で、急激にボリュームや声質を変えてしまうと曲の流れが不自然になってしまいます。
歌い始める前に、Aメロを1、サビを10としたときに各セクションがどのくらいの強さなのかをイメージしておくと、全体のバランスが取りやすくなります。
感情表現と技術のバランス
Uruさんの歌の魅力は、技術的な上手さだけでなく、歌詞の世界観に寄り添った感情表現にもあります。テクニックの練習はもちろん大切ですが、歌詞の意味をしっかり理解した上で「どんな気持ちで歌うか」を考えることも忘れないようにしましょう。
特に『プロローグ』は切ない恋心を描いた楽曲ですので、その感情を声に乗せることで聴く人の心に響く歌になります。
録音チェックの重要性
原曲を聴くとUruさんはさらっと歌い上げているように感じますが、その中には実はさまざまな技術がちりばめられています。自分では上手く歌えているつもりでも、録音して聴き返すと改善点が見つかることは非常に多いです。
練習する際はぜひ録音してチェックしながらボイトレを行ってみてください。客観的に自分の歌を聴くことが、上達への一番の近道です。
まとめ
Uru『プロローグ』の歌い方について、各セクション別のポイントを解説してきました。改めて要点を整理すると以下のとおりです。
Aメロ:息を混ぜた柔らかい声で、ビブラートは控えめにストレートに歌う
Bメロ:Aメロからスムーズにつなぎ、少しずつ声量とビブラートを増やしていく
サビ:力強く伸びやかに歌い上げつつ、裏声と地声の切り替えは滑らかに
全体:ダイナミクスの設計と感情表現を意識して、録音チェックで仕上げる
繊細な表現が求められる楽曲ですが、一つひとつのポイントを丁寧に練習していけば、きっとUruさんの世界観に近づけるはずです。
ブラッシュボイスでは、このような楽曲の歌い方はもちろん、基礎的な発声から丁寧にレッスンを行っています。「自分に合った練習方法がわからない」「独学では限界を感じている」という方は、ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンにお越しください。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木 智大
