ドッグブレスのやり方と効果|横隔膜を鍛えるボイトレ法をプロが解説

    こんにちは。ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの立花香穂里です。

    「ドッグブレスって聞いたことはあるけど、実際どうやるの?」「やってみたけど合ってるか不安……」そんな声を、レッスンの中でも本当によくお聞きします。

    安心して下さい。ドッグブレスは特別な道具も必要なく、コツさえつかめばどなたでも取り入れられるボイトレメニューです。この記事では、ドッグブレスのやり方と効果を、正しいフォームから練習時間、よくある失敗パターンまで、できるだけ具体的にまとめました。

    文章だけで呼吸のすべてをお伝えするには限界もありますが、「まずは自分で試してみたい」という方の道しるべになれば嬉しいです。ぜひ最後まで読んでみて下さい。

    目次

    ドッグブレスとは|名前の由来と基本の仕組み

    犬の呼吸をまねるトレーニング

    ドッグブレスとは、その名のとおり犬が「ハッハッハッ」と荒く息をしている様子をまねた呼吸トレーニングです。暑い日に犬が舌を出して「パンティング」しているところを想像して頂くと分かりやすいかもしれません。

    ボイストレーニングの世界では非常にポピュラーなメニューで、プロの歌手やアナウンサーがウォーミングアップとして取り入れているケースも多いです。「ドッグブレス ボイトレ」で検索される方が多いのも納得ですよね。

    横隔膜(おうかくまく)がカギになる

    ドッグブレスを理解するうえで欠かせないのが、横隔膜(おうかくまく)という筋肉です。横隔膜は肋骨の下あたりにあるドーム状の筋肉で、呼吸をコントロールする役割を担っています。

    ドッグブレスで短く素早い呼吸をくり返すと、この横隔膜が上下にポンポンと動きます。いわば横隔膜の筋トレのようなもの。歌うときに安定した息を送り出すための土台を作ってくれるわけです。

    自分の横隔膜の位置がよく分からないという方は、みぞおちから左右に広がる肋骨の下側に手をあてた状態で「コホン」と空咳をしてみて下さい。身体の内側から指を押し返すように「ポン」と飛び出してくる筋肉——それが横隔膜です。

    ドッグブレスの効果|歌にどう役立つのか

    声の安定感が増す

    ドッグブレスで横隔膜のコントロール力が高まると、息を一定のスピードで送り出せるようになります。これは歌声の安定に直結します。ロングトーンで声が揺れてしまう方や、フレーズの最後で息が足りなくなる方には特に効果を実感して頂きやすいです。

    腹式呼吸の練習と組み合わせると、さらに効率よく息のコントロール力を高めることができます。

    ビブラートの下地になる

    意外に思われるかもしれませんが、ドッグブレスはビブラートの基礎練習としても有効です。ビブラートは横隔膜の細かな動きによって生まれるものなので、ドッグブレスで横隔膜を自在に動かせるようになると、自然なビブラートが出やすくなります。

    「ビブラートをかけたいのにうまくいかない」という方は、まずドッグブレスで横隔膜の感覚をつかむところから始めてみて下さい。

    喉への負担が減る

    息のコントロールが甘いと、足りない分を喉の力で補おうとしてしまいがちです。結果として喉が締まり、声がかすれたり、すぐに疲れたりする原因になります。

    ドッグブレスでお腹(横隔膜)主導の呼吸が身につくと、喉に余計な力を入れなくても十分な息を送れるようになります。喉を痛めやすい方にとっては、予防の意味でもぜひ取り入れて頂きたいトレーニングです。

    ドッグブレスの正しいやり方|4ステップで解説

    ステップ1:姿勢を整える

    まずは背筋を伸ばして立ちましょう。足は肩幅くらいに開き、身体の力は抜いて下さい。肩が上がっていると胸式呼吸になりやすいので、肩はリラックスさせてストンと落とすイメージです。

    慣れないうちは肋骨の下側に両手をあてて練習するのがおすすめです。横隔膜の動きを手で感じながらやると、正しくできているかどうかの確認になります。

    ステップ2:「ハッハッハッ」と短く息を吐く

    口を軽く開けて、「ハッハッハッ」と短く鋭く息を吐きます。ちょうど犬がパンティングしているような感じです。このとき大切なのは、吐くことに意識を集中すること。吸う息は意識しなくても、吐いた反動で自然に入ってきます。

    テンポの目安は、最初は1秒に2回(ハッ・ハッ)くらいのゆっくりしたペースで大丈夫です。肋骨の下に当てた手が、吐くたびにポンポンと動いていれば正しくできている証拠です。

    ステップ3:テンポを上げていく

    ゆっくりのペースで横隔膜の動きを感じられるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう。最終的には1秒に4回くらいのスピードを目標にします。

    焦って速くする必要はありません。速さよりも横隔膜がちゃんと動いている感覚を大事にして下さい。肩や胸が激しく動いてしまう場合は、まだテンポが速すぎるサインです。

    ステップ4:声を乗せてみる

    息だけのドッグブレスに慣れてきたら、次は「ハッ」に軽く声を乗せてみましょう。最初は小さな声で構いません。声を出しながらでも横隔膜がしっかり動いている感覚があればOKです。

    この段階まで来ると、ハミングリップロールと組み合わせたウォーミングアップも効果的になってきます。

    ドッグブレスの練習時間と頻度|やりすぎに注意

    1回あたりの目安は30秒〜1分

    ドッグブレスはシンプルなトレーニングですが、1回あたり30秒〜1分程度を目安にして下さい。それを3〜5セット、間に休憩を挟みながら行うのが理想的です。

    短い時間でも毎日続けることが大切です。1日5分でも、2週間ほど続けると横隔膜の動きが明らかにスムーズになってくるのを実感して頂けると思います。

    やりすぎると逆効果になることも

    頑張り屋さんほど長時間やってしまいがちですが、ドッグブレスのやりすぎには注意が必要です。過換気(かかんき)と言って、短い呼吸を続けすぎると酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、めまいや手のしびれを感じることがあります。

    少しでもクラクラしたら、すぐに練習を中断して深呼吸をして下さい。無理は禁物です。「短時間×こまめに」が、ドッグブレスの鉄則だと思って頂ければ大丈夫です。

    ドッグブレスでよくある失敗と対処法

    肩や胸が動いてしまう

    ドッグブレスで最も多い失敗が、肩や胸で呼吸してしまうパターンです。これは胸式呼吸になっている状態で、横隔膜がうまく使えていません。

    対処法としては、鏡の前で練習して肩が上下していないかチェックしてみて下さい。また、椅子に座った状態で前かがみになり、お腹に手を当てて行うと、自然とお腹周りに意識が向きやすくなります。腹式呼吸の基本を先に確認しておくのもおすすめです。

    喉に力が入ってしまう

    「ハッハッハッ」を勢いよくやろうとするあまり、喉を締めて息を押し出してしまう方もいらっしゃいます。喉が痛くなったり、声がガラガラする場合はこのパターンの可能性が高いです。

    ドッグブレスは喉ではなくお腹(横隔膜)で息を動かすトレーニングです。喉はリラックスした状態で、あくまでも息の通り道として開けておくイメージを持って下さい。あくびをした直後のような喉の開き方が理想的です。

    声を乗せたときに不安定になる

    息だけならできるのに、声を乗せた途端にうまくいかなくなるというケースもよくあります。これは声を出すことに意識が偏って、横隔膜への意識が抜けてしまうのが原因です。

    まずは息だけのドッグブレスをしっかりマスターしてから、ごく小さな声で「ハッ」と声を乗せる練習に移って下さい。ファルセット(裏声)で軽く声を乗せるところから始めると、喉に余計な力が入りにくいのでおすすめです。

    ドッグブレスを歌の練習に活かすコツ

    ウォーミングアップに取り入れる

    ドッグブレスは歌の練習前のウォーミングアップとして非常に優秀です。いきなり声を出すのではなく、ドッグブレス → リップロールハミング → 発声という流れで段階的に身体を温めていくと、喉に負担をかけずにスムーズに歌い始められます。

    歌っていて息が続かないときに

    カラオケなどで「サビで息が足りなくなる」「ロングトーンが安定しない」と感じたら、日頃のドッグブレスの量を少し増やしてみて下さい。横隔膜のコントロール力が上がると、必要なだけの息を効率よく使えるようになります。

    歌は最終的に、呼吸・発声・共鳴・発音といった要素の組み合わせです。
    ピアノ伴奏を使った発声練習メニューも合わせて取り入れると、呼吸力がそのまま歌の安定感に繋がります。ドッグブレスはそのうちの「呼吸」という土台を強化するトレーニングですので、地味に思えるかもしれませんが、続けることで確実に歌の質が変わってきます。

    テキストでの練習に限界を感じたら

    ここまでドッグブレスのやり方をお伝えしてきましたが、正直なところ、文章だけでは呼吸の細かい感覚まではどうしてもお伝えしきれない部分があります。「自分のやり方が本当に合っているのか分からない」「効果が実感できない」と感じたら、一度プロのトレーナーに見てもらうのが上達への近道です。

    ブラッシュボイスでは、ドッグブレスをはじめとした呼吸トレーニングを一人ひとりの状態に合わせてレッスンしています。無料体験レッスンも行っておりますので、気になる方はお気軽にお問い合わせ下さい。

    株式会社ブラッシュボイス
    関東代表ボイストレーナー/立花香穂里

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    目次