いつもボイストレーニング、お疲れ様です。
ステージ上でウィスパーボイス(全体の表現を統一するため「ヴ」ではなく「ボ」と回答では表記いたします)のマイク乗りが悪いとボーカリストが感じる場合、以下の点を改良すると良いと思います。
それは本番前のリハーサルでの「PAさんへの指示出し」です。
ウィスパーボイスがマイクでしっかり通るようにする方法
HN:檸檬色
質問タイトル:ウィスパーヴォイスについて
こんにちは。
最近アーティストを活動を始め、ライブに出演させていただくことも多くなってきました。
カラオケボックスなどで歌う際は問題ないように感じるのですが、ステージで歌唱する際、Aメロなどをウィスパーヴォイスで歌うとマイクに乗りにくいと感じます。
基本の共鳴はできていると思うのですが、ライブハウスでマイクに乗りやすいウィスパーヴォイスで歌唱するためにはどのような点に意識をすればよいでしょうか。
例えば質問者様が言われているようにカラオケボックスでは自分で音の環境を整えることができるのでマイク乗りを自分なりによくする事は簡単だと思います。
それ以前に、カラオケボックスでは機材が自分自身の声に対して勝手に声にコンプレッサー(声を圧縮する機能)を加えられるため、ウィスパーボイスでマイク乗りが仮に悪い場合でもある程度マイクに声が乗るようになります。
しかしながらライブハウスでは、ライブハウスごとに環境が異なったりお客さんの数も多い少ないなどの幅があるためボーカリスト自身が自分の声の状態を客観的に感じ取り辛いものと言えます。
それなりに場数を踏んだり、自分の声を客観的に聞くことができるボーカリストの場合は、冷静に自分の声がどのような状態かを現場判断できるのですが、本来はなかなか本番では冷静に自分の声は判断できないものです。
(後述いたしますが、そもそも本文で冷静に自分の声を判断する必要もあまりありません)。
マイクに声が乗っていない状態だとボーカリスト自身が感じる場合は、ウィスパーボイスにかかわらずライブハウスでは自分の声を聞く環境が悪い状態にある可能性が高いとまず考えて良いと思います。
PAに自身の声の出音について指示出しをしておく
それであれば、本番前にリハーサルをライブハウスで行うので、その際にボーカリスト自身がPAさんに指示出しをきちんとしておくことが重要です。
その指示出しの内容としてはPAさんに「ボーカルの声の返しをかなり大き目でお願いします」と伝えましょう。
もしくは、「他の楽器のボーカルへの音の返しの音量をかなり小さ目、ボーカルだけは大き目でお願いします」と伝えると、ボーカルの目の前の転がし台(足元のスピーカーのこと)から自分の声を聞き取りやすい様にPAさんが基本的にはやってくれるはずです。
ちなみに、ライブで歌っている場合は、お客さんも入っていたりするので観客席側の音がどうであるかをボーカル側が判断するのは非常に無理があります。
観客席側の音を「外音」と言いますが、外音に関しては基本的には音を大き目でお願いします、みたいにかなりアバウトな指示しかPAさんには小さいライブハウスの規模では伝えることができないと思います。
従いまして、外音に関してはボーカルの声がマイクに乗るようにお願いします、というのはPAさんサイドとしては無理な注文になりますので、あまり期待はできません。
基本的に外音はPAさんが良いと思うサウンドにまとめられてしまいます、そういうものです。
あくまでもボーカリスト自身が歌いやすい音環境をステージ側のスピーカー(中音)で調整すると言う方向で気持ちよく歌えるように環境を整えましょう。
さらに言えば、お客さんの人数が多くなれば多くなるほど、外音はお客さんに吸収されて行きます。
それはスポンジが水を吸収するようなもので、リハーサルとはまるで環境が違ったように歌っているときに本番では感じることがあります。
ウィスパーボイスで本番でマイクへの声の乗りが悪いなと感じる場合、このようなことも原因にあるかもしれないと考えておかなければなりません。
しかしながら、PAさんサイドとしては、基本的にはボーカルにはカラオケと同じようにコンプ(コンプレッサー)をかけるので、ウィスパーボイスでもマイクに声が乗るように調整をしてくれているはずです(特に外音)。
PAがいれば普段からボイストレーニングは不要なのか?
ここで1つ疑問に思われるかもしれませんが、「それならばもともと声をマイク乗りの良いものをボイストレーニングで鍛える必要は無いじゃないか?」と言う疑念が生まれるかもしれません。
しかしこの点においてはそんな事はありません。
実は声の抜け(マイク乗りの良い声)をあらかじめネタとして新鮮に提供できる状態にあると、より一層マイクを使って臨場感のある声がライブハウスに響き渡ります。
その声に対してEQ(イコライザー…音をいじること)をPAさんが掛けるのと掛けないのとでは、全然異なった印象をお客さんに与えることになります。
もともと声が抜けるテクニックを持つ事は大事である
もともと声が抜ける状態をテクニックとして持っている方がずば抜けて良いのです。
今回はサウンド面うんぬんを書いていますが、基本的にボイストレーニングで技術を磨いておくことが一番大事だと言うのは忘れないでください。
モニターの返しで調整してみる
さて、結論ですが。
ウィスパーボイスでライブで歌っていて自分自身がどうもマイクへの声の乗りが悪いなと感じる場合は、まずは返しの音で自分の声が気持ちよく聴けるようにリハーサルの時にPAさんにきちんと指示を出しておきましょう。
あと本番の時に声が抜けているかどうかを客観的に考えながら歌っているとうまく歌えなくなります。
あくまでも、ボイストレーニングのことを考えたりしながら歌を歌うのはリハーサルの時までにしましょう。
本番では自分がそれまでに培ってきた技術をなるべく100%に近い状態でお客さんに届けるんだと言うことを念頭に歌えば良いと言う風にラフに考えましょう。
これはあくまでも私のボイストレーニングの考え方ですが、本番では自分の力の70%位が発揮できていればオッケーだと考えます。
通常時にそのかわり100%きちんと力を発揮できる状態にしておけば、本番の場合は仮に自我を忘れるようなテンションの状態に陥ったとしても70%位の力が発揮できると言うことです。
また何かご不明な点あればご質問ください。