いつもボイストレーニング、お疲れ様です。
今回は歌い方の癖についてのご質問を頂きました。
歌い方の癖で良い癖と悪い癖と言うのがあると思いますが、今回ボイストレーニングの観点からこの点に関して考えてみます。
結論から言えば「良い癖」は残し、「悪い癖」は改善しましょう。
それでは詳しく解説していきましょう。
歌い方の良い癖(クセ)と悪い癖について
HN:チャコ
質問タイトル:歌い方の癖について
はじめまして。
趣味で歌を嗜んでおります。
現在40代なのですが、これまでボイトレに通ったことはなく、最近ボイトレに通い始めました。
基礎から学んでいるのですが、鼻にかけてしまう癖や、こぶしをかけてしまう癖が中々抜けません。
癖は活かしながら歌唱したいと思っていますが、これは一度癖を取り、基本的な正しい発声ができるようにならなければいけないでしょうか。
トレーナーさんの客観的な意見を聞きながらトレーニングを行っていくことはもちろんなのですが、癖を活かしたい気持ちと、基礎を一から学び身につけていきたい気持ちが半々です。
アドバイスお願いします。
質問者様は年齢が40歳と言うことですが、やはり年齢を重ねれば重ねるほど発声と言うところで見ると癖と言うのはよくも悪くも強くなります。
それは良い癖であれば残していくと言うことで問題ないのですが、悪い癖であると改善していかないと発声能力が思った以上にさらに年齢を重ねるに当たって減衰してしまいます。
歌の良い癖について
良い癖と言うのは例えば、
- ビブラートがかかる
- 声をしゃくってしまう
- 歌が個性的である
- 低い声が特徴的である
- 高い声が特徴的である…etc
これらは、一見すると人によれば悪い癖と捉える人もいるかもしれませんが、もう一つの側面から見ればその人個人の歌い方の良い特徴とも捉えることができるわけです。
ですから、総合的な判断基準にもちろんよるんですが、これらの個性を良い癖としてそのまま残しておくと言うのも1つの手ですね。
歌の悪い癖について
悪い癖と言うのは例えば、
- 声がこもる
- マイクに乗らない
- 常にウィスパーボイスになる
- 特徴がない
- 確実な喉声…etc
悪い癖と言うのは、ボイストレーニングの観点から言えば、どう考えても改善しなくてはならないと言う発声状況のことを主に言います。
改善した方が確実に良い、そういった場合はボイストレーナーの判断に基づいてやはり改善していった方が良いのは間違いありません。
質問者様は、「声が鼻にかかってしまう」「歌にコブシが出る」と言うのが癖と言うことでおっしゃられていましたけれども、この「声が鼻にかかる」と言う部分に関しては、もしかして声が抜けない、マイクに乗り辛い、と言うことであればやはり改善の余地があると思います。
しかし、この点に関してはさすがに、一度は歌声そのものを聞いてみないと正直言って判断はできません。
もしかしたら下記が参考になるかもしれませんのでリンクを貼っておきます。
『マイクで通る声』=『抜ける声』『抜けのある声』の出し方・ボイトレ方法とは
先ずは正しい発声技術を身につける事が大事である
基本的な部分で考えるのであれば、発声技術はボイストレーニングの観点から考えると、いわゆる正しい発声方法と言うのはマスターしておいた方が良いと思います。
これは現在良い癖を持っていたとしても悪い癖を持っていたとしても同じです。
正しい発声方法をしっかりとマスターしていると、その発声方法により歌を歌う場合、「ハッキリと歌詞を発音する感じで声を出したらもっと個性的になるかな?」とか「もうちょっと息っぽい感じにしたら個性的になるかな?」みたいに本来あるべき正しい発声方法に、その正しい発声方法とは異なる変化球を加えることで、キャラクターを立たせていくことができるわけです。
さらに言えば自分の歌い方を見失ってしまった場合に、基本に立ち返って、基本と言うのはどういった発声方法だったのかと言うのを改めて見直すことができるわけです。
正しい発声方法を知らない状態だと、どのように、どのぐらいの変化球を正しい発声方法に足した状態で現在歌っているのか分からなくなってしまいます。
喉の調子がちょっと悪くしてしまうと、基本が分からないと元の状態に戻せないこともよくあります。
基本の値を0とするならば、そこからどれぐらいプラスに持っていくのか?マイナスにもっていくのか?
プラスもマイナスもこの場合個性と考えると、基本の値の0の場合の歌い方や発声方法がわからないと、どのぐらいプラスに持っていっているのか、マイナスに持っていっているのか、分からなくなってしまうんです。
旅をしていて現在地がわからないようなものです。
年齢が40代50代60代と移り変わっていく場合は、この現在地と言うものが0地点からどんどんどんどん別のところにズレて行っている状態。
もしも現在地を「悪い癖」と捉えられるような場所にいるとしたら、非常に危険な状態だとボイストレーニング的には言わざるをえません。
しかしながら、ご質問内容を見てみると、そんなに悪い癖なのか?と個人的には思います。
声が鼻にかかると言うのは必ずしも悪いわけではありませんし、こぶしをつけて歌うと言うのも別に悪いと言うわけではありません。
いちど、体験レッスンでも良いと思うのでボイストレーニングでボイストレーナーに的確に判断を仰いでみると言うのが良いのかもしれません。
本日は良い癖と悪い癖について発声の観点からお話しいたしました。
また何かご質問があれば、よろしくお願いします。