こんにちは。
ブラッシュボイス代表トレーナーの青木です。
今回はマイクに通る声=「抜ける声」の出し方について解説していきます。
以前、読者の方からこんなご質問をいただきました。
「ライブで音量が小さいマイクを使ったところ、声がまったく通らずガラガラ声になってしまった。声量のある他のMCはしっかり声が通っていたのに、自分の声はマイクに乗らなかった。どうすれば小さいマイクでも通る声になるのか」というご相談です。
このお悩みは、ライブやスタジオ、レコーディングなど実際のマイクを使う場面で非常に多く聞かれます。
マイクに乗りやすい声のことを一般的に「抜ける声」と呼びます。
この「抜ける声」を習得できると、ライブやスタジオ、レコーディングでボーカルの存在感が格段に際立つようになります。
では、なぜ声がマイクに乗らないのか、そしてどうすれば抜ける声を出せるようになるのか。
具体的なボイトレ方法を順番にご紹介していきます。
マイクに抜ける声とはどんな声か
まず「抜ける声」がどんな声なのかを理解しておきましょう。
例えばMr.Childrenの桜井さんは、声が非常に抜けるタイプのシンガーです。
楽器の音に埋もれず、ボーカルだけがスッと前に出てくる感覚があります。
こうした声には共通する特徴があります。
それは「硬くてはっきりした声」であるということです。
ここで言う「硬い」とは、喉を締めて力んでいるという意味ではありません。
声帯がしっかり閉じた状態で発声されることで、芯のある声になっているということです。
芯のある声は音の輪郭がはっきりしているため、マイクがその振動をしっかり拾いやすくなります。
反対に、息が混じりすぎたブレシーな声は、マイクに乗りにくくなります。
息の成分はノイズとして拾われやすく、肝心の声の芯がぼやけてしまうからです。
声がマイクに通らない原因
マイクで声が通らない場合、主に以下のような原因が考えられます。
息の量が多すぎる
発声に対して息の量が多すぎると、声の芯がぼやけてマイクに乗りにくくなります。
よく「ロウソクの炎の前で発声しても炎が揺れない状態が安定した声」と言われますが、抜ける声を持つ人は実際に息が安定しています。
発声時に必要以上の息を使わないことが、抜ける声の大前提です。
力みすぎている
ライブの緊張やテンションで力んでしまうと、喉が締まり声帯の振動が不自然になります。
力みは声を潰す原因になり、結果的にガラガラ声になったり、声が詰まったりしてマイクに乗りにくい声になります。
共鳴が不十分
声は声帯で作られた後、口腔や鼻腔といった共鳴腔で響きが加わります。
この共鳴が不十分だと、声に厚みや倍音が足りず、マイクを通しても薄い印象の声になってしまいます。
共鳴をうまく使えるようになると、声量を無理に上げなくてもマイクにしっかり乗る豊かな声になります。
抜ける声を出すためのボイトレ方法
ここからは抜ける声を習得するための具体的なトレーニング方法をご紹介します。
方法1:ハミングで声の前方向への意識を作る
ハミングは抜ける声の基礎を作るのに非常に効果的なトレーニングです。
口を閉じた状態で「ンー」と声を出すと、唇がビリビリと振動する感覚があるはずです。
唇が振動しているということは、声が前方向に出ている状態です。
つまり声が抜けている状態であると言えます。
この振動の感覚を維持したまま、口を開けて「マー」や「ナー」と発声してみてください。
普段の声質よりも少し輪郭のある、はっきりした声質になっていることに気づくと思います。
このはっきりした声こそが、マイクに乗りやすい抜ける声の基本形です。
ハミングの詳しいやり方は以下の記事でも解説しています。
【ボイトレノウハウ3】ハミング
方法2:リップトリルで力みを取る
ライブ前やレコーディング前に力みを感じる方には、リップトリルがおすすめです。
リップトリルとは、唇を「ブルルル」と震わせながら発声するトレーニングです。
リップトリルを行うと自然に余計な力が抜け、声帯が適度にリラックスした状態で発声できるようになります。
ただし、リップトリルの効果を最大限に引き出すには、まず抜ける声がどんな声かを理解しておくことが大切です。
目指す声のイメージがあった上でリップトリルを行うと、力が抜けた良い状態の抜ける声が出しやすくなります。
リップトリルのやり方やコツは以下の記事で詳しく解説しています。
【ボイトレノウハウ9】リップトリル・リップロールの意味、やり方、コツや秒数について
方法3:腹式呼吸で息のコントロールを安定させる
抜ける声を出すためには、息の量を適切にコントロールする必要があります。
そのベースとなるのが腹式呼吸です。
腹式呼吸が安定すると、発声に必要な最小限の息で声を出せるようになります。
胸式呼吸だと息の量が不安定になりがちですが、腹式呼吸ではお腹周りの筋肉で息を支えるため、一定の圧力で安定した息を送り続けることができます。
結果として、声帯がしっかり閉じた状態で効率よく振動し、芯のある抜ける声につながります。
方法4:共鳴を意識したトレーニング
共鳴のトレーニングも、マイクに通る声を作る上で欠かせません。
声帯で生まれた原音は、そのままでは小さく細い音です。
これが口腔・鼻腔・咽頭腔といった共鳴腔で増幅されることで、豊かな響きを持った声になります。
共鳴を鍛えるには、ハミングの延長で鼻腔共鳴を意識する方法が取り組みやすいです。
鼻の奥や頬骨のあたりに振動を感じながら発声してみてください。
「声が顔の前面に集まっている」ような感覚が掴めると、マイクに乗りやすい声の土台ができてきます。
方法5:録音して自分の声を客観的に確認する
トレーニングの効果を確認するために、自分の声を定期的に録音することを強くおすすめします。
スマートフォンの録音アプリで構いませんので、普段の声と、抜ける声を意識して出した声を聞き比べてみてください。
最初は違いがわかりにくいかもしれませんが、毎日継続していくと段々と声の変化に気づけるようになります。
客観的に聴くことで「もう少し息を減らした方がいいな」「この発声だと力みが入っているな」といった修正ポイントが見えてきます。
自然な歌声の見つけ方~録音で自分の歌声の特性を知ろう~
ライブ本番でマイクに声を乗せるコツ
トレーニングで抜ける声の感覚が掴めてきたら、実際のライブ本番でも意識したいポイントがあります。
マイクとの距離感を把握する
マイクに近すぎると低音が過剰に拾われ(近接効果)、遠すぎると声が拾われにくくなります。
リハーサルの段階で、自分の声がもっともクリアに聞こえる距離感を確認しておきましょう。
一般的には口元から指2〜3本分の距離が目安です。
本番前にウォーミングアップを行う
本番前にリップトリルやハミングで軽くウォーミングアップをしておくと、喉がほぐれた状態で歌い始めることができます。
冷えた状態でいきなり声を出すと力みやすくなるため、5〜10分程度のウォーミングアップを習慣にしましょう。
声量ではなく声質で勝負する
マイクで声が通らないと感じると、つい声量を上げようとしてしまいがちです。
しかし声量を上げることと、マイクに声が乗ることは別の話です。
大切なのは声量ではなく、芯のある声質です。
無理に大きな声を出すと力みにつながり、かえってマイクに乗りにくくなります。
まとめ
マイクに通る「抜ける声」を出すためのポイントをまとめます。
・抜ける声とは「硬くてはっきりした、芯のある声」のこと
・息の量を適切に減らし、声帯をしっかり閉じた状態で発声する
・ハミングで声を前に出す感覚を掴む
・リップトリルで余計な力みを取り除く
・腹式呼吸で息のコントロールを安定させる
・共鳴を使って声に厚みと響きを加える
・録音で自分の声を客観的にチェックする習慣をつける
抜ける声は一朝一夕で身につくものではありませんが、正しい方法で継続的にトレーニングすれば着実に変化が現れます。
ライブやレコーディングでボーカルの存在感を出したい方は、ぜひ今日から取り組んでみてください。
ブラッシュボイスでは、マイクに乗る抜ける声の出し方をはじめ、一人ひとりの課題に合わせたボイストレーニングを行っています。
プロのトレーナーから直接指導を受けたい方は、ぜひボイトレ無料体験レッスンをお試しください。
