こんにちは。ブラッシュボイスです。
「声が小さいと言われる」「何度も聞き返される」「騒がしい場所では全く声が届かない」——こうしたお悩みを抱えている方は、実はとても多くいらっしゃいます。
職場の会議やプレゼン、飲み会の席、日常の会話まで、声が通らないというだけで大きなストレスになりますよね。
ご安心下さい。声が通らないのには必ず原因があり、その原因を正しく理解して適切なトレーニングに取り組めば、声の通りは確実に改善できます。この記事では、声が通らない5つの原因を詳しく分析し、通る声を作るための6つのトレーニング方法をプロの視点から解説していきます。
文章だけで発声のすべてをお伝えするのには限界がありますが、「自分の声がなぜ通らないのか」「何から取り組めばいいのか」が明確になるように心がけました。ぜひ最後まで読んでみて下さい。
声が通らない5つの原因
原因①:呼吸が浅く、息の支えが弱い
声が通らない方に最も多く見られるのが、呼吸の浅さです。
胸式呼吸(肩や胸が上下する浅い呼吸)になっていると、声を支えるための安定した空気圧が作れません。その結果、声に芯が生まれず、ふわっとした弱い声になってしまいます。
具体的には次のような症状が出ます。
- 話し始めは声が出ても、文末にかけて消えていく
- 息が長く続かず、一文が途切れ途切れになる
- 声に力を込めようとすると喉が苦しくなる
腹式呼吸が使えていないと、息の量を細かくコントロールできません。声を遠くに飛ばすためには、お腹から安定した息の圧力を送り続ける必要があるのです。
原因②:声の共鳴が不足している
楽器のボディが音を増幅させるように、人間の声も体内の空間で響くことで豊かになります。この現象を共鳴と呼びます。
声が通る人と通らない人の大きな違いは、この共鳴の効率にあります。声が通らない方は、喉・口・鼻の空間を十分に活用できていないケースがほとんどです。
共鳴が不足する主な原因としては、次のようなものがあります。
- 喉に力が入りすぎて、咽頭(いんとう)の空間が潰れている
- 口の開きが小さく、口腔(こうくう)に十分な響きのスペースがない
- 鼻腔(びくう)への息の流れが遮断されている
共鳴がうまく機能していないと、声量を上げても「うるさいけど聞き取れない」という状態になります。共鳴の仕組みを理解することが改善への第一歩です。
原因③:喉に力が入りすぎている
声が通らないと感じて「もっと大きく出さなきゃ」と力んでしまう方は多いのですが、これが逆効果になっていることがあります。
喉に力が入りすぎると、声帯周辺の筋肉が硬直して振動を妨げてしまうのです。
喉を締めた状態で無理に声を出すと、次のような問題が起こります。
- 声が硬く、キンキンした質感になる
- 響きのない、詰まったような声になる
- すぐに喉が疲れて声が枯れる
- 声帯に過剰な負担がかかる
通る声に必要なのは「力」ではなく「効率」です。リラックスした状態で声帯が自然に振動できる環境を作ることが大切です。
原因④:口の開きが小さく、滑舌が甘い
声がこもる方に共通して多い特徴のひとつが、口の開きが小さいということです。
口があまり動かないまま話すと、母音の区別が曖昧になり、言葉の輪郭がぼやけてしまいます。
日本語は「あいうえお」の5母音が基本です。この5つの母音がはっきり区別されていないと、相手の耳には「モゴモゴした音のかたまり」として届いてしまいます。
声量があっても聞き取りにくいという方は、滑舌や口の動きに原因がある可能性が高いです。
原因⑤:声の方向性が定まっていない
もう一つ見落とされがちなのが、声を「どこに向けて出しているか」という方向性の問題です。
声が通る人は、無意識のうちに声を前方に飛ばすように発声しています。一方で声が通らない方は、声が口の中にこもったまま、あるいは下に落ちてしまっていることが多いのです。
声の方向性が定まらない原因としては次のようなものがあります。
- 視線が下を向いている(姿勢の問題)
- 声を出すことに自信がなく、無意識にボリュームを抑えている
- 舌の位置が奥に引っ込んでいて、声が前に出にくい
声は「意識」の影響を強く受けます。「相手に届けよう」という意識を持つだけでも、声の到達距離は変わってくるのです。
通る声の仕組み——共鳴のメカニズム
声が体の中で響くポイント
通る声の秘密は共鳴にあります。声帯で作られた原音は、それ自体は小さく細い音です。この原音が体内の3つの共鳴腔を通過することで増幅され、豊かな「通る声」になります。
3つの共鳴腔とは次のとおりです。
- 咽頭腔(いんとうくう):喉の奥の空間。声の「太さ」に関わる
- 口腔(こうくう):口の中の空間。声の「明瞭さ」に関わる
- 鼻腔(びくう):鼻の奥の空間。声の「抜け」や「遠鳴り」に関わる
この3つが適切なバランスで機能すると、小さな労力でも遠くまで届く「通る声」が生まれます。
「大きい声」と「通る声」は違う
ここで重要なのが、大きい声と通る声はイコールではないということです。
無理に大声を出しても共鳴がなければ声はこもりますし、逆に共鳴が効率よく使えていれば、小さめの声でもスッと相手に届きます。
イメージとしては、拡声器(メガホン)が分かりやすいでしょう。拡声器に向かって叫ぶのではなく、普通の声量で話しても音が前方に集まって遠くに届きますよね。通る声とは、体の中に「天然の拡声器」を作るようなものなのです。
声を通すための6つのトレーニング
トレーニング①:腹式呼吸で息の土台を作る
すべてのベースとなるのが腹式呼吸です。声の支えとなる安定した息の流れを作るために、まずはここから取り組みましょう。
基本のやり方:
- 仰向けに寝転び、お腹に手を当てる
- 鼻からゆっくり4秒かけて息を吸い、お腹が膨らむのを確認する
- 口から細く長く8秒かけて息を吐く(お腹がゆっくりへこむ)
- これを10回繰り返す
- 慣れてきたら立った状態で同じことを行う
仰向けの状態では自然と腹式呼吸になりやすいため、感覚がつかみやすいです。毎日5分程度の練習を2週間続けると、立った状態でも安定した腹式呼吸ができるようになってきます。
トレーニング②:ハミングで共鳴感覚を養う
ハミングは共鳴の感覚をつかむのに最も効果的なトレーニングです。口を閉じて「ん〜」と声を出すことで、声が自然と鼻腔に集まります。
具体的なやり方:
- 口を軽く閉じ、歯はわずかに開ける
- 鼻から息を吸い、「ん〜」と楽な音程で声を出す
- 鼻の付け根や眉間あたりに振動(ビリビリ感)を感じるか確認する
- 振動を感じたら、その感覚を維持しながら音程を上下させる
- 慣れたら「ん〜まぁ〜」と口を開け、ハミングの響きをそのまま声に乗せる
ポイントは、力まずリラックスした状態で行うことです。力を入れれば響くわけではなく、むしろリラックスしているほど声は効率よく共鳴します。
トレーニング③:リップトリルで息のコントロールを鍛える
リップトリル(リップロール)は、唇を「ブルルル」と振動させながら声を出すトレーニングです。息の量が適切でないと唇の振動が止まるため、自然と正しい息の量を体で覚えることができます。
具体的なやり方:
- 唇をリラックスさせ、軽く閉じる
- 一定の息を吐きながら唇を「ブルルル」と振動させる(まずは息だけで)
- 安定して振動が続くようになったら、声を乗せて「ブルルル〜♪」と音をつける
- 低い音から高い音まで、サイレンのようにスムーズに上下させる
- 1回30秒を目安に、3〜5回繰り返す
唇が振動しない場合は、指で頬を軽く押さえてサポートするとやりやすくなります。毎日のウォーミングアップとしても非常に効果的です。
トレーニング④:「あ・え・い・う・え・お・あ・お」で口の動きを鍛える
滑舌改善と口の開きを大きくするための定番トレーニングです。母音を一つひとつはっきり発音する意識で行います。
具体的なやり方:
- 鏡の前に立ち、口の動きを確認しながら行う
- 「あ・え・い・う・え・お・あ・お」をゆっくり、大きく口を動かして発音する
- 「あ」は指が縦に3本入るくらい大きく開ける
- 「い」は口角をしっかり横に引く
- 「う」は唇を前に突き出す
- 慣れてきたらテンポを上げ、口の動きのスピードを鍛える
最初は顔の筋肉が疲れるかもしれませんが、それは今まで口の筋肉を使えていなかった証拠です。1日3分程度で十分効果が出ます。
トレーニング⑤:舌のポジション矯正
声がこもりやすい方は、舌が口の奥に引っ込んでしまっていることが多いです。舌を正しい位置に置く意識をつけるだけで、声の抜けは大きく変わります。
具体的なやり方:
- 舌先を下の前歯の裏に軽くつける
- その状態で「あー」と声を出す
- 舌の奥が持ち上がっていないか、鏡で確認する
- 「たらたらたら」「なまなまなま」と早口で繰り返し、舌先が毎回下の歯に戻るか確認する
- 日常会話でも舌先の位置を意識する時間を設ける
舌のコントロールは喉を開くトレーニングとも密接に関わっています。喉の開き方については関連記事も合わせてご覧下さい。
トレーニング⑥:壁に向かって声を飛ばす練習
声の方向性を鍛えるための実践的なトレーニングです。「相手に届ける」イメージを体に染み込ませる効果があります。
具体的なやり方:
- 壁から2〜3メートル離れて立つ
- 壁に向かって「あー」と声を出し、壁に声がぶつかるイメージを持つ
- 次に5メートル離れて同じことを行う(声量を上げるのではなく、意識で飛ばす)
- 「おはようございます」などの挨拶フレーズで同じことを繰り返す
- 目標点を決めてそこに向かって声を飛ばす感覚を身につける
声量を無理に上げるのではなく、声を「前に集めて飛ばす」という感覚を養うことがポイントです。この練習を続けると、日常会話でも自然に声が前方へ向かうようになっていきます。
日常生活で意識すべき4つのポイント
姿勢を正して声の通り道を確保する
猫背や首が前に出た姿勢は、声の通り道を物理的に狭めてしまいます。頭のてっぺんから糸で吊られているようなイメージで立つと、自然と喉や胸が開き、声が通りやすくなります。
特にスマートフォンを長時間見ていると首が前傾し、喉が詰まった状態になりがちです。意識的に姿勢をリセットする習慣をつけましょう。
相手の目を見て話す
視線の方向と声の方向は連動しています。相手の目を見て話すだけで、自然と声が相手の方向に飛びます。
逆に下を向いたまま話すと、声も下に落ちてこもりやすくなります。
文の最後まではっきり話す
声が通らない方に多い特徴として、文末に向かって声が小さくなるというものがあります。特に「〜です」「〜ます」の部分が消えるように小さくなる方は多いです。
文末までしっかり声を出すことを意識するだけで、相手からの聞き返しは格段に減ります。声量の安定についてはこちらの記事も参考にして下さい。
日頃から声を出す機会を増やす
在宅勤務やテキストベースのコミュニケーションが増えた現代では、そもそも声を出す機会が減っています。声は筋肉を使って出すものですから、使わなければ衰えていきます。
意識的に声を出す機会を作ることが大切です。歌を歌う、音読をする、独り言でもいいので毎日まとまった時間声を出す習慣をつけてみて下さい。
話し声と歌声——通る声のアプローチの違い
話し声と歌声で共通すること
話し声と歌声は使い方が異なりますが、「通る声を作る」という点では共通する基礎がたくさんあります。
具体的には次の点が共通しています。
- 腹式呼吸による安定した息の支え
- 共鳴腔を効率よく使った声の増幅
- 喉のリラックスと声帯の自然な振動
- 舌や口のポジションの適切さ
つまり、ボイストレーニングで歌声を鍛えると話し声も良くなりますし、話し声の改善は歌にもプラスに働きます。
歌声では「音域」と「表現」が加わる
歌声の場合は、話し声に加えて音域の広さと感情表現が必要になります。高い音や低い音でも声が通るようにするためには、より精密な呼吸コントロールと共鳴の技術が求められます。
話し声の改善だけが目的の方も、歌の練習を取り入れることで声のコントロール力が飛躍的に向上します。カラオケで好きな曲を歌うのも立派なボイストレーニングになりますよ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 声が通らないのは生まれつきですか?
生まれつきの声質は確かにありますが、声が通る・通らないは後天的な要素が大きいです。呼吸法、共鳴の使い方、口の動かし方はすべてトレーニングで改善できます。「生まれつきだから仕方ない」と諦める必要はありません。
Q2. どのくらいの期間で効果が出ますか?
個人差はありますが、毎日5〜10分のトレーニングを2〜4週間続けると変化を感じ始める方が多いです。特に腹式呼吸とハミングは比較的早く効果が出やすいトレーニングです。ただし、長年の癖を完全に直すには数ヶ月〜半年程度かかることもあります。
Q3. 声が小さいのと声が通らないのは同じですか?
同じではありません。声が小さい(声量が不足している)のは原因の一つですが、声量があっても通らない人はいます。逆に、声量が小さくても通る声の人もいます。共鳴や滑舌、声の方向性など、声量以外の要素が大きく影響しています。
Q4. ボイストレーニングに通わなくても改善できますか?
この記事で紹介したトレーニングは自宅で一人でもできるものばかりです。独学でも一定の改善は可能です。ただし、自分の声を客観的に聞いてもらい、的確なフィードバックをもらえるという点で、プロのトレーナーに見てもらうメリットは大きいです。特に「何が原因か分からない」という方は、一度プロに相談されることをおすすめします。
Q5. 電話やオンライン会議で特に声が通らないのですが、対策はありますか?
電話やオンライン会議では、マイクが低音を拾いにくいという特性があります。普段よりも意識的に口を大きく開け、母音をはっきり発音することを心がけて下さい。また、マイクとの距離が遠すぎないか、部屋の反響が大きすぎないかなど、機材面の確認も有効です。声のトレーニングとしては、ハミングで鼻腔の共鳴を強化すると、マイク乗りが良くなる傾向があります。
まとめ
声が通らない原因は、呼吸の浅さ・共鳴不足・喉の力み・口の動きの不足・声の方向性の5つに集約されます。そして、これらはすべて適切なトレーニングで改善が可能です。
まずは腹式呼吸とハミングから始めてみて下さい。この2つだけでも、声の土台と共鳴の感覚が変わり始めます。毎日5分の積み重ねが、数週間後には目に見える変化をもたらしてくれるはずです。
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