松たか子の歌い方|声のトーンと表現力の秘密をプロが徹底解説

    こんにちは。
    ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの立花香穂里です。

    レッスンでも「松たか子さんのように自然で聴きやすい歌声になりたい」というご相談を頂くことがあります。松たか子さんといえば「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」が大ヒットした印象が強いですが、実はその歌声の魅力はミュージカルで鍛えられた表現力と、聴く人の心にスッと届く声のトーンにあるんです。

    カラオケで「レット・イット・ゴー」を選んだことがある方も多いのではないでしょうか。あの曲は低い音域からスタートして、サビで一気に高音を歌い上げる構成になっていますから、実際に歌ってみると音域の広さと表現力の両方が要求される、かなりの難曲だということに気付かされます。

    この記事では、ボイストレーニングの視点から松たか子さんの声の特徴を分析し、あの聴き心地の良い歌声に近づくためのポイントを具体的にお伝えしていきます。文章だけでは伝えきれない部分もありますが、できるだけわかりやすく解説しますね。

    目次

    松たか子さんの歌い方の全体像|なぜあの声は心地よいのか

    松たか子さんの歌声を聴いていて、多くの方が感じるのは「聴いていて疲れない」「スーッと耳に入ってくる」という心地良さではないでしょうか。これは偶然ではなく、いくつかの要素が組み合わさって生まれる特徴なんです。

    まず大きいのは、話し声と歌声のトーンが近いということです。多くのアーティストは歌になると話し声とまったく違う声色になりますが、松たか子さんの場合はドラマや舞台でのセリフの声と歌声にあまり大きな差がありません。これが「自然体で歌っている」という印象につながり、聴く人にリラックスした心地良さを与えています。

    さらに、ミュージカルの舞台で培われた言葉の一つひとつを丁寧に届ける力も見逃せません。歌詞が聴き取りやすく、メロディに乗せた言葉がきちんと意味として伝わってくる。これはボイストレーニングの観点から見ても非常に高度なスキルです。

    こうした特徴を一つずつ掘り下げていきましょう。

    松たか子さんの歌い方の特徴①|声のトーンのコントロール

    松たか子さんの歌声の最大の魅力は、やはり「声のトーン」の絶妙なコントロールにあると思います。

    「声のトーン」というのは、声の高さ・明るさ・柔らかさなどを総合した「声の色合い」のようなものです。普段の会話でも、明るい声のトーンで話す人にはポジティブな印象を抱きますし、低く落ち着いたトーンで話す人には信頼感を覚えますよね。

    松たか子さんの場合、少し明るめの中音域をベースにした、安定感のあるトーンで歌っているのが特徴的です。高音域に上がっても極端にトーンが変わらず、低音域に下がっても暗くなりすぎない。一定の「明るさ」をキープしたまま音域を移動できるのは、声のコントロールがしっかりしている証拠です。

    「一定のトーンで歌う」ことの難しさ

    実はこの「一定のトーンを保つ」というのは、意識してみると非常に難しいことなんです。多くの方は高い音に上がるとトーンが甲高くなったり、逆に低い音では暗くこもったりしがちです。

    松たか子さんはこの点において声帯の使い方と喉の開き具合を巧みにコントロールしていると考えられます。高い音でも喉を締め上げずに、適度な「開き」を保っているからこそ、あの柔らかくも芯のある声が出せるのです。

    喉の力みを取って自然な発声を身につけることは、歌の上達において非常に大切なポイントです。脱力と発声の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
    脱力と発声の関係|力を抜いた歌い方のコツ

    トーンの使い分けを練習に取り入れるには

    声のトーンを自在に操れるようになるためには、まず自分がどんなトーンの声を持っているかを知ることが大切です。ボイストレーニングでも、犬の遠吠えやフクロウの鳴きまねなど、普段使わないような声を出して音域の幅を広げるトレーニングを行うことがあります。

    また、おしゃべりの声の高さを意識的にいくつか変えてみるのも効果的です。たとえば、普段より少し高めのトーンで話してみたり、少し低めのトーンで話してみたり。それだけでも、自分の声にどれだけの幅があるかを実感できるはずです。

    実は私たちは、普段から場面によって声を無意識に使い分けて生活しています。友達と話すとき、目上の人と話すとき、電話に出るとき――それぞれ声のトーンが微妙に違いますよね。その「使い分け」の感覚を歌にも応用していくことが、松たか子さんのような自然な歌声への第一歩になります。

    松たか子さんの歌い方の特徴②|ミュージカル仕込みの表現力

    松たか子さんの歌い方を語るうえで、ミュージカルでの経験は外せないポイントです。松たか子さんはミュージカルの舞台で長年活躍されていて、その経験が歌声の随所に表れています。

    歌詞を「言葉」として伝える力

    ミュージカルの歌は、単に美しい旋律を歌い上げるものではありません。ストーリーの一部として、お芝居のセリフの延長線上に歌があるという位置づけです。そのため、歌詞の一つひとつをハッキリと発音し、客席の隅々まで「言葉」として届ける訓練を徹底的に積んでいます。

    この「歌詞をハッキリ伝える力」は、松たか子さんのJ-POPの楽曲やアニメ映画の劇中歌でもしっかりと発揮されています。「レット・イット・ゴー」を聴いてみると、歌詞の一語一語が非常にクリアに聴き取れることに気付くはずです。サビの力強い高音パートでも言葉が潰れずに届いてくる。これはミュージカルで鍛えた滑舌と発声の賜物ですね。

    歌詞を明瞭に届ける力は、実はカラオケで高得点を取るうえでも大切な要素です。歌の語尾が不安定になってしまう方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
    語尾の安定感を高める方法

    感情表現とダイナミクスの巧みさ

    ミュージカルでは、歌によって登場人物の喜び・悲しみ・決意といった感情を観客に伝える必要があります。そのため松たか子さんは、声量の強弱(ダイナミクス)や声色の変化で感情を表現することに長けているのです。

    「レット・イット・ゴー」でいえば、冒頭のAメロは抑えた声量で孤独感を表現し、サビに向けて徐々に熱量を上げ、サビでは「ありのままの自分でいい」という解放感を爆発させる。この感情の流れに沿った声の変化が、聴く人の心を動かすわけです。

    ただ大きな声で歌えばいいのではなく、「弱く歌うところ」と「強く歌い上げるところ」のコントラストをしっかり作ることが、表現力豊かな歌い方につながります。

    松たか子さんの歌い方の特徴③|安定した音程とブレない発声

    松たか子さんの歌を聴いていると、音程が非常に安定していて、フレーズの最後まで声がブレないということに気付きます。これはプロとして当然に見えるかもしれませんが、実は音域が広い楽曲でこの安定感を保つのはかなり難しいことなんです。

    腹式呼吸に支えられた安定感

    声がブレずに安定するためには、しっかりとした呼吸の支えが必要です。松たか子さんの歌声を聴くと、フレーズの最後の音まで息が安定して流れていることがわかります。これは腹式呼吸をベースにした、身体全体で声を支える発声がきちんとできている証拠です。

    特にミュージカルの舞台では、マイクなしで歌う場面もありますから、お腹からしっかり声を出す技術は必須になります。その基礎があるからこそ、J-POPやアニメ楽曲でも安定感のある歌が歌えるのだと考えられます。

    ロングトーンの美しさ

    「レット・イット・ゴー」のサビでは、音を伸ばすロングトーンの場面がいくつもあります。松たか子さんのロングトーンは、音の始まりから終わりまで音程と音量が安定していて、自然なビブラートがかかるのが特徴です。

    ビブラートは「意図的に揺らす」のではなく、リラックスした状態で声を出し続けたときに自然に生まれるのが理想的です。松たか子さんのビブラートは、まさにその「自然なビブラート」の好例と言えます。

    ビブラートの練習方法や種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
    ビブラートの出し方と練習方法

    「レット・イット・ゴー」を歌うときのポイント

    松たか子さんの代表曲といえば、やはり「レット・イット・ゴー~ありのままで~」でしょう。2013年に大ヒットした「アナと雪の女王」の日本語版声優として、劇中歌もご自身で歌われています。いまだにカラオケのランキング上位に入るほどの人気曲ですよね。

    この曲を上手に歌いきるためのポイントをいくつかお伝えします。

    Aメロの低音域は「語りかける」イメージで

    「レット・イット・ゴー」のAメロは、かなり低い音域から始まります。ここで多くの方がやってしまいがちなのが、低い音を出そうとして声を無理に押し下げてしまうことです。

    松たか子さんのAメロの歌い方を聴くと、力んで低い声を出しているのではなく、まるで語りかけるように自然なトーンで歌っていることがわかります。コツとしては、低い音でも「喉を下に押す」のではなく、普段の話し声の延長線上で歌うイメージを持つことです。

    Bメロからサビへの盛り上げ方

    Bメロに入ると音域が徐々に上がっていきます。ここで一気に声量を上げてしまうと、サビに到達する前に喉が疲れてしまいます。Bメロでは声量を少しずつ上げながら、サビへの「助走」をつけるイメージで歌うのがポイントです。

    映画のシーンを思い浮かべてください。エルサが氷の城を創り上げていくあの高揚感に合わせて、声の熱量も段階的に上がっていく。その感情の流れに乗ることで、自然な盛り上がりを作ることができます。

    サビの高音は「突き抜ける」意識で

    サビの高音パートは、この曲の最大の見せ場です。ここで大切なのは、力任せに叫ぶのではなく、声を上に「突き抜けさせる」意識を持つことです。

    高い音を出そうとすると、つい喉に力が入って声が詰まりがちになります。しかし松たか子さんの歌い方を聴くと、サビの高音でも喉が締まった感じがしないんですよね。これは喉周りの余計な力が抜けていて、息の流れがスムーズに保たれているからです。

    具体的には、高い音を出すときに「上を向いて声を放つ」ようなイメージを持つと良いでしょう。天井に向かって声を飛ばすような感覚です。身体の力は抜きつつ、お腹の支えだけはしっかりキープする。これが高音を楽に出すためのコツです。

    松たか子さんの歌声に近づくための練習方法

    ここからは、松たか子さんのような聴き心地の良い歌声を目指すための、具体的な練習方法をご紹介します。

    練習①|話し声と歌声をつなげるトレーニング

    松たか子さんの歌声の大きな魅力は、「話し声の自然さ」が歌にも活きているところです。この感覚を身につけるための練習をしてみましょう。

    まず、普段の会話で自分がよく使う言葉を、話し声のまま少しずつ音程を上げていってみてください。たとえば「こんにちは」を普通に言うところから始めて、だんだん音を上げていく。「話している」感覚のまま高い音が出せるポイントを探すのがこの練習の目的です。

    多くの方は、ある音の高さを超えたあたりで急に「歌声モード」に切り替わってしまいます。その「切り替わりポイント」をなるべくなだらかにすることで、松たか子さんのような自然な歌声に近づけます。

    練習②|歌詞を朗読してから歌う

    ミュージカル出身の松たか子さんの強みは「言葉を届ける力」です。これを真似するためにおすすめなのが、歌う前にまず歌詞を朗読するという練習です。

    歌詞をメロディなしで声に出して読んでみると、自分がどの言葉を強調したいか、どこで息継ぎをするのが自然かが見えてきます。その感覚を持ったまま歌に移行すると、歌詞が「ただの音の羅列」ではなく「意味のある言葉」として聴く人に届くようになります。

    特に「レット・イット・ゴー」のような物語性の強い楽曲では、この練習が大きな効果を発揮します。「ありのままの自分でいい」というメッセージを、音程やリズムを追うだけでなく、「言葉の意味」を込めて歌えるようになることが目標です。

    練習③|トーンを一定に保つロングトーン練習

    声のトーンの安定感を高めるために、ロングトーンの練習も取り入れてみてください。一つの音を「あー」と伸ばすだけのシンプルな練習ですが、以下のポイントを意識するとより効果的です。

    音の出だしから終わりまで、音量・音程・声の明るさをできるだけ一定に保つことを意識してください。最初は5秒程度から始めて、徐々に伸ばしていきましょう。声が震えたりトーンが変わってしまう場合は、喉に余計な力が入っている可能性があります。

    この練習では、息を一定の速度で流し続けることが鍵になります。息のスピードが変わると声のトーンも変わりますから、お腹で息をコントロールする感覚を身につけましょう。

    練習④|抑揚の「幅」を意識した練習

    松たか子さんの歌い方は、パワフルに叫ぶタイプではありませんが、決して「平坦」ではありません。よく聴くと、繊細な抑揚をつけることで感情の動きを表現しているのがわかります。

    この抑揚の練習としておすすめなのが、同じフレーズを「ささやくように」「普通に」「力強く」の3段階で歌い分けてみることです。この3段階の切り替えがスムーズにできるようになると、曲の中で自然な抑揚をつけられるようになります。

    松たか子さんの歌い方から学べること|まとめ

    松たか子さんの歌い方を分析すると、以下のようなポイントが浮かび上がってきます。

    ・話し声に近い自然なトーンで歌っている
    ・ミュージカルで培った「言葉を届ける力」がある
    ・音程と声量の安定感が抜群に高い
    ・繊細な抑揚で感情を豊かに表現している

    これらは決して「天才だからできること」ではなく、正しい練習を積み重ねることで誰でも近づける要素です。特に「自然なトーンで歌う」ということは、声のトレーニングの基本中の基本でありながら、意外と多くの方が見落としているポイントでもあります。

    普段から自分の声に意識を向けて、場面ごとにどんなトーンで話しているかを観察するだけでも、歌に活かせるヒントはたくさん見つかるはずです。松たか子さんの歌声が心地よいのは、特別なテクニックを駆使しているからではなく、基本に忠実な発声と、言葉を大切にする姿勢があるからなのだと思います。

    ブラッシュボイスでは、レッスンにいらっしゃる方々の持っている声の良さを活かして歌が歌えるように、レッスンの中で個別にアドバイスを行っております。松たか子さんのような自然で美しい歌声を目指したい方も、まったく別のアーティストの歌い方に挑戦したい方も、あなたの声に合ったアプローチをご提案できます。

    ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンを受けて、今までよりももっと幅広い表現で歌えるようになってください。

    株式会社ブラッシュボイス
    関東代表ボイストレーナー/立花香穂里

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