2011/12/23に頂戴した質問
質問投稿者:チルドレンさん
質問タイトル:『桜井和寿さんについて』への回答
以下質問内容:
質問失礼致します。
私はMr.Childrenが大好きなんですが、桜井和寿さんはボイストレーナーから見てどのように映るのでしょうか?
例えば、発声だったりボイストレーナーが教える基礎であったりです。
癖がありすぎてあまり真似すべきでない歌手だと昔教わりましたが、実際桜井さんの歌を聴くと世界に引き込まれますし胸にぐっときます。
声は喉を締め付けて出してるようですし喉は強いのは分かりますが、あまりよろしくない歌い方だとは思うんですが、なぜあんなに人の心を掴むのでしょうか?
表現力や声質でああなるもんでしょうか?
長文失礼しました!!
【以下回答】
こんにちは。
ブラッシュボイス代表ボイストレーナーの青木です。
素晴らしい良いご質問だと思います。Mr.Childrenの桜井和寿さんの歌い方について、ボイストレーナーの視点からしっかりとお答えしていきますね。
桜井さんの歌い方についてより詳しく知りたい方は、Mr.Children桜井和寿の歌い方の記事もぜひ合わせてお読みください。
桜井和寿さんの歌い方はなぜ人の心を掴むのか
まず以下の記事を読んでみて下さい。人を感動させる声の出し方について書きました。
【ボイトレノウハウ11】歌とハートの関係/その1
【ボイトレノウハウ12】歌とハートの関係/その2
【ボイトレノウハウ13】作らない声は大事
なぜ桜井さんの声に多くの人々が魅了され続けているのか。
その答えは上記のボイトレノウハウに全て書いてございます。
桜井さんの歌には、テクニックを超えた「ハート」が宿っているのです。歌は技術だけでは人の心に響きません。どれだけ正確な音程で歌えても、どれだけ高音が出せても、そこに「伝えたい」という気持ちがなければ聴く人の胸には届かないのです。
桜井さんの歌唱には、歌詞の一言一言に対する深い解釈と、それを声に乗せて届けようとする圧倒的な表現力があります。「名もなき詩」や「HANABI」を聴けば分かるように、桜井さんは声のトーンや強弱、息の混ぜ方を曲の場面ごとに繊細にコントロールしています。これが「世界に引き込まれる」「胸にぐっとくる」という感覚の正体です。
桜井さんの歌い方は良いのか?悪いのか?
ボイストレーナーから見て桜井さんの歌い方は良いのか?悪いのか?
という趣旨のご質問だと思いますが、ここは非常に重要なポイントです。
結論から言うと、桜井さんはわざと「崩して」歌っているのです。
昔、『Tomorrow Never Knows』をリリースした頃って喉が結構開いてて、ストレートな歌い方をしていたと記憶しています。
という事は、本来は正統派の声の出し方を理解しているんですよ。
勿論ボイストレーニングの内容だって理解しているんです、基本をしっかりと。
それを理解した上で、オリジナリティーを出したいとか、喉を限界ギリギリまで閉めて歌ってみたいとか、ウケる声の作り方ってどうなんだろとか研究するわけです。
基本を理解した上で、基本を壊す。
これがアーティストとしてとても大事な事なのです。
ピカソが写実画を完璧に描ける画力を持った上で抽象画に進んだのと同じように、桜井さんも正しい発声の基礎を身につけた上で、あえて「崩す」という選択をしているのです。だからこそ、崩しているのに破綻しない、独自の世界観が成立しているのです。
桜井さんの歌唱テクニックを分析する
桜井さんの歌い方をもう少し具体的に分析してみましょう。
まず特徴的なのは、声に「息」を混ぜる技術です。特にAメロやBメロの静かなパートでは、あえて息混じりの声で歌うことで、語りかけるような親密さを生み出しています。これはウィスパーボイスという歌唱方法に近いアプローチで、聴く人との距離をぐっと縮める効果があります。
また、桜井さんはサビに向かってダイナミクス(声量の強弱)を大きく変化させます。静かなAメロから徐々に盛り上げ、サビで一気に爆発させる。この緩急の使い方が非常に巧みで、聴く人の感情を自然と引き上げていくのです。
さらに、桜井さんの歌には独特のビブラートがあります。教科書通りの均一なビブラートではなく、フレーズの最後に感情を込めるように揺らすビブラートです。この「不完全さ」がかえって人間味を感じさせ、聴く人の心に響くのです。
加えて、高音域ではファルセットへの切り替えも効果的に使っています。地声からファルセットへの移行が自然で、曲の中で切なさや儚さを表現する際に非常に効果的なテクニックとなっています。
桜井さんの歌い方から学べること
チルドレンさんがもし桜井さんのような歌い方を目指すのであれば、まず大切なのは基礎をしっかりと身につけることです。先ほどお伝えしたように、桜井さんは基礎を理解した上で崩しています。基礎がない状態で真似をしてしまうと、ただ喉を痛めるだけの歌い方になってしまいます。
腹式呼吸、正しい姿勢、身体の脱力、そして中低音域での安定した発声。これらの基礎をしっかり固めた上で、初めて桜井さんのような「崩し」の表現に挑戦できるようになるのです。
引き続きがんばってみて下さい。
また不明な点が見つかったらご質問下さい。ご遠慮なくお願い致します。
ブラッシュボイスでは、基礎から表現力まで一人ひとりに合わせた指導を行っております。桜井さんのように人の心を掴む歌い方を身につけたい方は、ぜひ一度ボイトレ無料体験レッスンにお越しください。

