こんにちは。
ブラッシュボイス・関東代表ボイストレーナーの鈴木智大です。
歌にはビブラート、フェイク、フォールオフ、ミックスボイス(歌唱方法)、ピッチベンドなど、さまざまなボーカルテクニックがあります。
今回はその中でもエッジボイスというテクニックについて、仕組みや効果から高音域での取り入れ方、練習時の注意点まで詳しくお話ししていきます。
エッジボイスとは?どんな声のこと?
エッジボイスとは、声帯をゆるく閉じた状態で少量の息を通すことで生まれる「ガラガラ」「プツプツ」とした音色の声のことです。
文字で表すと「あ゛あ゛あ゛」「う゛う゛う゛」のようなイメージになります。
映画『呪怨』のあの独特な声を想像するとわかりやすいかもしれません。
低い位置で声帯がパチパチと振動するような、あの濁った音がまさにエッジボイスの特徴です。
こうした発声はあえて声帯を締める動作を伴うため、声帯に負担がかかりやすいという点には注意が必要です。
しかし正しく行えば、声帯の閉鎖をコントロールする感覚を養うのに非常に有効な練習となります。
声帯の仕組みと発声の基礎知識についても、あわせてご確認いただくとより理解が深まるでしょう。
エッジボイスが歌唱表現にもたらす効果
エッジボイスを歌に取り入れることで得られるメリットは大きく分けて3つあります。
1. 表現の幅が大きく広がる
フレーズの出だしにエッジボイスを入れると、言葉に「引っかかり」や「重み」が生まれます。
切なさや悲しみ、力強さといった感情を声に乗せやすくなるため、聴く人の心に刺さる歌い方ができるようになります。
2. 非整数次倍音による声の魅力アップ
エッジボイスはいわゆる非整数次倍音に分類されます。
整った美しい声(整数次倍音)とは異なり、少し「濁り」のある音が混ざることで人間味のある深い響きが加わります。
この倍音成分をうまく活用できると、歌に独特の色気や存在感が生まれるのです。
3. 声帯閉鎖のコントロール力が身につく
エッジボイスの練習を通じて、声帯をどの程度閉じるかという微細なコントロール感覚が鍛えられます。
この感覚は、ミックスボイスやウィスパーボイスといった歌唱方法を習得する際にも大いに役立ちます。
高音域でエッジボイスを取り入れる方法
高音になればなるほど、エッジボイスを取り入れるのは難しくなります。
その理由は、多くの方が高音を出そうとすると喉を締めつけてしまうからです。
喉が締まった状態ではエッジボイスを乗せる余裕がなくなり、ただの苦しい声になってしまいます。
高音でエッジボイスを取り入れるためには、まず喉の力みを取ることが大前提です。
脱力と発声の関係について理解を深めておくと、スムーズに練習を進められるでしょう。
具体的には、以下のステップを意識してみてください。
ステップ1:腹式呼吸でしっかり支える
高音をパワフルに発声する場合、横腹の腹横筋という筋肉が正しく使えているかがポイントです。
高い声を勢いよく出したとき、お腹の横側がしっかり張っている感覚があれば正しく支えられている証拠です。
逆にこの腹横筋が硬くなっている場合は、正しく使えていない可能性があります。
ステップ2:喉の脱力を確認する
首や顎まわりに力が入っていないか確認しましょう。
鏡を見ながら発声して、首筋に筋が浮き出ていないかチェックするのも効果的です。
あくびの直後のような、喉がふわっと開いた状態を意識してみてください。
ステップ3:フレーズの頭にエッジを入れる
正しく発声できた状態で、フレーズの出だしにエッジボイスを軽く乗せてみます。
静かなエッジボイスとは違い、力強い濁りのある音が出せたら成功です。
なお、ヘッドボイスの発声が安定している方は、高音域でのエッジボイスも取り入れやすい傾向があります。
高音の出し方に課題を感じている方は、ヘッドボイスの練習も並行して行うと効果的です。
エッジボイスを使う代表的な歌手
エッジボイスは非常に多くのアーティストが歌唱表現として取り入れています。
代表的な例を挙げてみましょう。
- 平井堅さん ― バラードでのフレーズ頭に繊細なエッジを加え、切なさを演出
- 宇多田ヒカルさん ― 独特の「引っかかり」のある歌い出しが特徴的
- 米津玄師さん ― サビ前やブリッジ部分でエッジを効果的に使用
- 川畑要さん ― パワフルな声にエッジを乗せて力強さを表現
- 真島昌利さん ― ロックらしい荒々しさをエッジボイスで表現
曲によって取り入れているものとそうでないものがありますし、全く使わない歌手もいます。
同じアーティストの楽曲を聴き比べてみると、エッジボイスの使いどころや効果がよく見えてきますので、研究してみるのもおすすめです。
エッジボイスの練習で気をつけるべき注意点
エッジボイスは魅力的なテクニックですが、注意すべきポイントもいくつかあります。
最も大切なのは「やりすぎない」ことです。
エッジボイスはあえて声帯を締める動作を伴うため、長時間の練習や過度な使用は声帯に負担をかけてしまいます。
練習時間の目安としては、エッジボイス単体の練習は1回あたり数分程度にとどめましょう。
喉に違和感を感じたらすぐに休むことが大切です。
また歌の中での使いすぎにも要注意です。
エッジボイスを多用しすぎると、リスナーに「しつこい」と感じさせてしまい、その魅力は半減するどころか不快に思われてしまうこともあります。
「ここぞ」というポイントで効果的に使うからこそ、エッジボイスは輝くテクニックなのです。
歌唱技術を磨く上で「できない」のはもったいないですが、「できるけれどあえて使わない」「できるからこそここで取り入れる」という判断ができることこそが、本当のテクニックと言えるのではないでしょうか。
まとめ
エッジボイスは声帯の閉鎖コントロールを鍛えながら、歌の表現力を大きく高めてくれるテクニックです。
高音域で取り入れるには、腹式呼吸による支えと喉の脱力が不可欠です。
声帯への負担に気をつけながら、少しずつ練習を重ねていきましょう。
喉周りの筋肉も鍛えられ、その他の歌い回しも上手くなりやすい効果も期待できます。
ブラッシュボイスのボイトレレッスンでは、エッジボイスの出し方はもちろん、それを歌の中でどう活かすかまで、一人ひとりの声質や課題に合わせて丁寧にレッスンしています。
独学での習得が難しいと感じている方は、ぜひ一度無料体験レッスンにお越しください。
株式会社ブラッシュボイス
関東代表ボイストレーナー/鈴木 智大
